フジテレビお昼のバラエティ番組『ぽかぽか』(毎週月~金曜11:50~)に水曜担当として出演する入社3年目の山本賢太アナウンサー。進行で噛み倒してしまったり、目線を向けるカメラが見つからなかったり、クイズのシンキングタイムで突然正解を発表してしまったりと、テンパりまくって生放送をザワつかせ、ついには『芸能人が本気で考えた!ドッキリGP』でターゲットになると、アナウンサーらしからぬ見事なリアクションを披露した。

このキャラクターに加え、真面目で一生懸命な姿勢から「ヤマケン」と呼ばれて愛される存在に。生放送でのミスをなくすため、出演者・スタッフら“チーム”を盛り上げるため、画面に映らないところで地道な努力を重ねているのだ。そんな山本アナにインタビューをすると、熱すぎる“ぽかぽか愛”や、テンパってしまう現状打破への決意を語ってくれた――。

  • フジテレビの山本賢太アナウンサー

    フジテレビの山本賢太アナウンサー

■落ち込みやすい性格も「ぽかぽか ヤマケン」でエゴサ

――最初に『ぽかぽか』の担当アナウンサーに決まったのを聞いたときの心境は、いかがでしたか?

採用試験の面接から「バラエティをやりたい」という希望をずっと言ってきたんです。そのバラエティのレギュラーを持つのが初めてだったので、すごくうれしかったですね。でも、それまでの担当が報道・情報番組とスポーツ実況だったので、どうすればいいのか分からなくて不安もありました。

――そして実際に始まって4カ月が経過しましたが、手応えはどうでしょう?

いやあ…反省しかないです。毎回OAが終わるとすごく落ち込むんです。伊藤(利尋)アナウンサーや佐野(瑞樹)アナウンサーみたいに、実況も進行もできて、共演者の人たちの面白さを引き出すというのに憧れて目指しているのですが、僕が言い間違えたり、ミスしてワチャワチャしてしまったりすると、そこで流れが止まってしまうじゃないですか。つい放送中に反省してしまうのですが、岩井(勇気)さんに「ヤマケン、すごい反省してる顔してるじゃん」って見つけられて、神田(愛花)さんにも「反省は裏でしなさい」と指摘されまして。毎回OAを見返すのですが、「あのときこう言えたな」とか「もっと落ち着いてできたな」と反省ばかりです。

――結構落ち込みやすい性格なのでしょうか?

そうですね。エゴサもしてしまいます。「ぽかぽか ヤマケン」で検索するんです。

――愛称だと好意的なコメントも多いのでは?

いえいえ、ご批判も結構あります。入社3年目なのに「新人アナウンサー」って書かれていることもありますから。

――すべての要因は「テンパる」に集約されると思うのですが、なぜ慌てふためいてしまうのでしょうか?

いやあ、何ででしょう!? 昔からそうなんです。人見知りは全くしないですし、人としゃべるのはとても好きなのですが、人の前に立ってしゃべると頭が真っ白になるんです。

――『ぽかぽか』は特に緊張しますか?

そうですね。カメラの数も多いですし、目の前にお客さんもいらっしゃるので…。

――しかし、図らずもそのテンパる様子が1つのキャラクターになっています。

そこを早く打破しないといけないと思っています。「山本、しっかり進行できるじゃん」と任せてもらえるようになるのが目標なので。

■出演者・スタッフ全員が“ファミリー”の意識

――そのためにも、毎週の担当曜日に向けて入念な準備をされているんですよね。

いろいろなルーティンがあるのですが、まず早めに台本をもらい、前日の火曜を担当している『(Live News)イット!』が終わったら、そのまま7階の『ぽかぽか』の会場に行って、誰もいない中1人で声を出して自分の部分を何回か読んで、ある程度流れを覚えます。その後、水曜演出の高橋正尚さんとフロアディレクターの伊藤嘉彦さんが準備されているところに行ってフィードバックをもらい、それから3人で「ラ・ポルト」(社員食堂)でご飯を食べて、「明日はこういう感じでいきたい」など番組のことや他愛もない話をします。

この正尚さんが、僕にとって超スーパースーパースペシャルサンクスな方で!! 水曜の本番が終わった後にスタッフの反省会があって、僕もそこに参加するのですが、その後に正尚さんが時間を設けてくれて、「今日どうでした?」と聞くと、「あれはめちゃくちゃ良かった」「あれはもう少しこうした方がいい」といったフィードバックをくれるんです。僕が結構気にしやすい性格だということを分かってくれているので、その夜に電話をくれたり、土日も『ぽかぽか』の準備があるのに「暇だったら飯行こうぜ」って誘ってくれて、そこで番組のことからプライベートの話もしてくれます。前日なんて本当に忙しいのに、僕がしっかり本番に臨めるよう全てのストレスがなくなるように、丁寧に打ち合わせをしてくれたりして、結構頻繁に連絡を取っていますね。

――1週間を通して常に気にかけてくれているんですね。本番当日はどんな流れですか?

8時45分から9時ぐらいに技術さんと制作陣の打ち合わせがあるので、そこから参加します。

――普通、演者さんは入らない打ち合わせですよね。

僕は水曜日全員がチームだと思ってるので、最初に集まるところから参加したいんです。なので、その2時間前に起きて、7時45分に出社してスーツに着替えてメイクして、技術打ち合わせから出て、その後に出演者のリハーサルです。前日にやっているリハーサルは、このリハを完璧にするためのリハですね。そして本番に入ります。

――完璧に準備をして、リハで不安を解消して本番に臨むものの、生放送ですから、なかなかその通りにいかないということですよね。

そうなんです…。でもリハで意識してるのは、一番声を出すということです。それによって少しでも活気が出ると思いますし、大きく拍手をしたり、率先して荷物も運んだりすることで、皆さんの士気が上がるんじゃないかと思って。

――学生時代はずっと野球をやられていたということですが、その経験を生かしているという感じですか?

そうですね。僕、野球は下手で、大学は1軍に上がったことがなく、高校もずっとベンチから途中出場だったのですが、チームに貢献したいという思いがあって、そこからよく声を出すようになったんです。チーム全体を考えるようになったのは高校生からで、下手なりに頑張るという思いでした。

――自分にできることを、ということですね。

それで高校でも大学でもムードメーカーという感じで、声をからしてやっていました。ハライチさんにも、「とにかく声を出して元気にやっていれば大丈夫だから」と言っていただいたので、それが自分の持ち味だと思ってすごく意識するようにしています。

――毎週オープニングで、「頑張るぞー!」「おー!」と、令和の番組とは思えないコールアンドレスポンスをするようになりましたよね。

正尚さんが考えてくれて、毎週出演者リハの最後に、“今週のヤマケン”みたいな感じで、僕が「この前見た映画のセリフがすごく心にしみたので、放送でもこういうのができたらいいなと思います」といった意気込みを言うのが恒例になってるんです。出演者はもちろん、ディレクターさん、ADさん、技術さん全員がファミリーなので、そこの締めで「みなさん、楽しんでいきましょう! 全員で『おー!』でお願いします!」とやっているのですが、それを本番でもやるようになりました。ハライチさんには「水曜日はダサいスタート」と言われるのですが、“みんなで”作るというのが僕のモットーなので。

――声と言えば木曜ではナレーションを担当されていますが、「お母さん大好き党」(※1)の優しい感じや、「新家電プロレス」(※2)の激しい感じなど、声色を使い分けて、すごく耳心地がいいです。

えーっ! ありがとうございます!! ナレーションではだいたい3種類くらいの声を意識していますね。

(※1)「あつまれ!お母さん大好き党」…お母さんが大好きな芸能人が、その愛を熱弁。お母さんのための政策「ママフェスト」を街頭演説で発表し、党首・ハライチ岩井が入党を受け入れるかを決めるコーナー。

(※2)「最新商品使い方バトル 新家電プロレス」…最新家電をプロレスラーが説明書なしで使いこなすことに挑戦するコーナー。これまで本間朋晃、長州力が挑むも予想外すぎる操作で撃沈する試合が続出している。