30年という長きにわたり、早朝の番組を担当してきた軽部アナだが、この生活を続けることがつらいと思ったことはなかったのか。

「毎日夜中に起きるのは、30年経っても大変なんですよ。だけど、この生活に“もうしんどい”と思うことはないんです。ただ、番組を卒業していった多くの人が言うのは、辞めるといかに大変な生活をしていたかが分かる。つまり、“二度と戻れない”と。仲の良い笠井信輔が『とくダネ!』を辞めてフジテレビを辞めたときに『あの生活はもう無理』と言っていたし、女性MCで最長の7年やった高島彩も『今はできません』と言ってたので、走っているときは気づかないんですよ」

また、“飽きる”という感覚もないのだという。

「やはり、エンタメそのものがどんどん変わっていってますからね。僕が1994年に伝えていたことと、2023年に伝えていることは違いますから、どんどん移り変わって、それに一生懸命ついていってるということがありますので」

扱う内容だけでなく、番組の中で新たに挑戦する機会が設けられるのも、飽きない理由だそうで、「それまでハリウッドのセレブや、芸能人にインタビューしていた僕が、一般の皆さんとふれあいながらいろんな声を拾っていく『カル調(かるしら)』というコーナーがあったんですけど、面白かったですね。これは角谷(公英)というCPが考えて、みんな『え、軽部さんを外に出すの?』みたいな感じだったんだけど、すごく長く続くコーナーになったんですよ」と回想した。

■どんどん創造していく「歌舞伎」との共通点

高橋CPは「初代CPの克さんの話を聞いていたら、私が番組作りのなかで大切にしていることと、あまり変わっていないことに気づいたんです。時代が変わっても根幹が変わらないところは、歌舞伎の継承みたいに思うときがあります。このフジテレビの看板番組を、次の世代にどう引き継ぐかというところが1つのモチベーションになっているのですが、ただ継承するだけでは古くなっていくので、どんどん創造して新しいエッセンスを加えていくことが大事だと思います」と話し、八木も「歌舞伎というのはすごく分かる気がしますね。歌舞伎の世界の人も、常に新しい歌舞伎を探っていますもんね」と納得する。

その具体例として、高橋CPは「放送だけをやっていればいい時代ではないので、YouTubeやSNS、配信(※一部見逃し配信「さくっと!めざましテレビ」がTVerで4月からスタート)を始めたり、スタジオ演出に最新技術を入れたり、新しいことをどんどん取り入れていく必要があると思います」と説明。

その上で、軽部アナは「やっぱり、いち番組に変わりはないという謙虚さも、どこかに持ってなきゃいけないし、毎日の生放送で、一番分かりやすく、一番大事なところを押さえて伝えていくという原点は、1994年の4月1日と何ら変わっていないし、変わってはいけないと思いますね」と強調した。

  • (左から)現メインキャスターの三宅正治アナ、井上清華アナ、生田竜聖アナ

●八木亜希子
1965年生まれ、神奈川県出身。早稲田大学卒業後、88年フジテレビジョンに入社し、同期の有賀さつき、河野景子とともに“三人娘”と呼ばれて人気を博す。『めざましテレビ』で初代女性メインキャスターを務めたほか、『笑っていいとも!』『さんまのスポーツするぞ!大放送』『スーパーニュース』などを担当し、00年に退社してフリーに。その後、『BSフジLIVE プライムニュース』(BSフジ)、『久米宏のテレビって奴は』(MBS)などで司会を務めたほか、映画『みんなのいえ』で本格的に女優デビューを果たし、『あまちゃん』(NHK)、『カルテット』(TBS)などのドラマにも出演。現在は『八木亜希子 LOVE&MELODY』(ニッポン放送)、『八木亜希子のおしゃべりミュージアム』(BSフジ)、『AS-Lab(アスラボ)チャンネル』(東京大学エクステンション)、『明石家サンタの史上最大のクリスマスプレゼントショー』(フジ)などに出演する。

●軽部真一
1962年生まれ、東京都出身。早稲田大学卒業後、85年フジテレビジョンに入社。『おはよう!ナイスデイ』を担当後、94年に『めざましテレビ』がスタートして以来、一貫してエンタメコーナーを担当する。現在はほかにも、『MUSIC FAIR』、『男おばさん!!』(CS・フジテレビTWO)、『日曜邦画劇場』(日本映画専門チャンネル)、イベント『めざましクラシックス』を担当。22年7月から役員待遇エグゼクティブアナウンサー。

●高橋龍平
1978年生まれ、東京都出身。慶應義塾大学卒業後、01年にフジテレビジョン入社。情報制作局で、『とくダネ!』『スタメン』のほか、『椎名誠のでっかい旅!』『ザ・ノンフィクション』『NONFIX』『FNSドキュメンタリー大賞』などを担当し、『ノンストップ!』『アゲるテレビ』総合演出を経て、『めざましテレビ』でプログラムディレクター、総合演出、19年7月から第8代チーフプロデューサー。