お笑いコンビのハライチと、フリーアナウンサーの神田愛花がMCを務めるフジテレビ系お昼の生バラエティ番組『ぽかぽか』(毎週月~金曜11:50~)が、スタートして3カ月が経過した。生放送ならではの何が起こるか分からないワクワク感に加え、MCとレギュラー陣に観覧客も含めたチーム感が醸成され、Twitterでトレンド入りするなど話題になる放送回も増えてきた。
4月から放送時間が1時間短縮され、より凝縮して展開する同番組の総合演出を手がけるのは、お昼の代名詞だった『笑っていいとも!』を担当し、『アウト×デラックス』で個性的すぎる人たちを次々に発掘してきたフジテレビの鈴木善貴氏。『ぽかぽか』に『いいとも』を思い出すという声もあがるが、どのように番組を立ち上げていったのか――。
■港社長からの「1月から昼の帯番組を命ずる」に虚を突かれる
――お昼の生バラエティで総合演出をやるという話は、最初どのように聞いたのですか?
バラエティ制作センターの戸渡(和孝)室長と中嶋(優一)部長に「港(浩一社長)さんから話があるから、今度呼ぶわ」って言われて、ちょっと「怒られるかな…」「俺、なんかやっちゃったかな…」って思いました。それで社長室に行ったら、港さんから開口一番に「善貴に1月から昼の帯番組を命ずる」って言われて、全然意味分からなくて。“虚を突かれる”というか、まごつきました(笑)
でも、とりあえず怒られなくてよかったなと(笑)。それと、会社員なんで基本、断ることは選択肢としてないし、新番組の立ち上げっていうのはディレクターにとってワクワクすることなので、大変さとかは関係なく面白そうだなって思いました。実際にフタを開けてみたらスタートまで数カ月しかない中で毎日3時間のバラエティをやるって結構大変なことなんですけど、僕は楽観主義なので、気楽に構えてました。最初に聞いたときは青天の霹靂でまごつきましたけど、もう覚悟を決めてやるしかないなあと思いましたから。
――番組の立ち上げにあたって、スタジオだったりMCだったりタイトルだったり、いろんな要素がありますが、どこから決めていったのですか?
MCとスタジオとタイトルの3つは同時並行でしたね。前にやってた『バイキング』みたいにニュースは扱わない、裏の『ヒルナンデス!』(日本テレビ)は情報を扱っているのでうちはやめよう、時間帯は違うけど『ラヴィット!』(TBS)は芸人さんがいっぱい出てワチャワチャやってるから芸人さんをいっぱい置くのもやめようとか、そんなことをおぼろげに考えながら、『(笑って)いいとも!』のスタジオアルタって良かったなあと思ったんです。フジテレビのスタジオの中でやったら外を向いてないなと思って、渋谷とか原宿とかに良い場所がないかちょっと探したんですけど、諸々の条件に合う場所がなくて、そんなときに何かないかなと思ってある日、会社の中をウロウロ歩いてたんですよ。
そしたら、7階の屋上庭園に「あれ? これって入社したとき確かレストランだったな」と思って、ちょっと隙間があったんで覗いてみたら、いろんな部署の机とか置いてあったんですけど、もしかしたら、ここ使えるかも…という感じだったんですよ。ここだったら外からも見られるし、南條(祐紀チーフプロデューサー)とも話してちょっと改装したらいけるんじゃないかとなって、上に話したら戸渡さんも中嶋さんも「めちゃくちゃいいじゃん!」ってなってくれて、会社全体で頑張ってくれて今のところが生放送の会場になった次第です。
――外から観覧できるのと、お客さんと一体になれるサイズ感もいいですよね。
まだそんなに認知されてませんけど、休みの日とかであそこに人がいっぱい来てくれると出演者のテンションも上がりますので、ありがたいなと思いますね。
――セットも自販機の飲み物のラベルや、マヨネーズにキャラが自分用の名前を書いていたりと、細かいところまでかなりこだわっている印象です。
「みんなの楽しいが集まる場所」がテーマなので、勝手に渋谷のミヤシタパークを意識しています。美術さんと一緒に見に行って参考にさせてもらって、よく見ると似てる部分があります(笑)
■『ドリフに大挑戦』での感動が決め手に
――MCのハライチさんと神田愛花さんは、どのように決めていったのですか?
MCは特に澤部(佑)くんがいろんな番組をやってますから、半分ダメ元だったんですけど、若い人でやりたいというのが第一にあったので、30代で好感度もあって面白い人で、いろんな名前が候補に挙がってたんですけど、どうしてもとハライチさんにお願いしました。
――ハライチさんとは『キャンパスナイトフジ』(2009~10年)でご一緒されていて、その後お仕事はされていなかったのですか?
プライベートではちょくちょくって感じで、仕事はずっとやってなかったんですが、1年くらい前に『ドリフに大挑戦スペシャル』という番組で演出をさせてもらったときに澤部くんに来てもらったら、「合唱隊」のコントでMCとして見事に回すし、「刑務所」のコントでも加藤茶さんをはじめ大物の先輩たちを相手に反応が素晴らしかった。収録後、「澤部くんの腕、想像の5倍上を行ってた」とスタッフ一同感動でした。それがすごく頭に残っていまして。『ぽかぽか』は主婦に見てもらうし、ゲストもいっぱい呼ぶだろうから、澤部くんは良いなあというのがありましたね。OAで見るのと裏方で一緒にやるのはだいぶ違いますから、『ドリフ』がなかったら気づいてなかったかもしれないです。
――神田愛花さんは、この番組で魅力が爆発してますよね。
突拍子もなくて面白いですよね(笑)。神田さんは『アウト×デラックス』に「安藤優子の次は私だと思っている女子アナ」として出てもらったんです。そのとき、ベランダにやたら落ち葉が溜まるんだけど、隣がきれいなのは風の通り道のせいだから、家賃を下げてくれてもいいんじゃないかって話をしてて。前からテレビで見ていて変だと思ってましたけど、実際触れ合ってみてさらに、神田さんの考え方は面白いなと思ったんです。それを、ハライチに加えてもう1人欲しいなと考えてたときに思い出して、アナウンサーとしてではなく、プレイヤーとして出てもらおうと思いました。
この番組を僕がやるってことは“お昼のアウト×デラックス”をやれたらいいんじゃないかってちょっと思ったんです。個性的な人がいっぱい出てるのがテレビだと思うんですけど、神田さんは生放送で何言うか分からない怖さじゃなくて楽しさがある。僕が港さんに言われたときの虚を突かれる感じを、神田さんだったら20分に1回くらい出してくれるんじゃないかと。生放送を見てもらう理由ってそれしかないですからね。だから、今はVTRでアレン様とかアウト軍団も出てますけど、いろんな人をどんどん生放送に出していきたいですね。