フジテレビお昼の生バラエティ番組『ぽかぽか』(9日スタート、毎週月~金曜11:45~)のMCを担当する神田愛花。NHKアナウンサー仕込みの丁寧な口調ながらもパンチ力あるコメントが人気でバラエティに引っ張りだことなり、今回の大役に抜てきされたが、かつては“面白い人”枠でオファーされることに悩んだこともあったという。

そこから、今はどのように意識を変えて仕事に臨んでいるのか――。

  • 『ぽかぽか』MCの神田愛花

    『ぽかぽか』MCの神田愛花

■ブレイクのきっかけ「自分の中ではないんです」

NHKのアナウンサーからフリーになり、今や様々なバラエティ番組で活躍する神田だが、「コメンテーターのお仕事をさせていただいて、『あ、やっていけるかも』と思ったことはあったんですけども、バラエティで“これがきっかけだった”みたいなものは、自分の中ではないんです」とのこと。

「制作のスタッフの方とすごく通じている方がいなくて、“あの番組でブレイクした”といった裏話も聞くことがないので」というだけに、今回の平日昼帯の生バラエティMCというオファーには「本当に最初はびっくりしました」と振り返る。

フリーになって最初に出演したバラエティは、フジテレビの深夜に放送され、三宅裕司とMCでタッグを組んだ『ワラッタメ天国』。ほかにも、『ヌメロン』『世界行ってみたらホントはこんなトコだった!?』など、フジのバラエティに出演する機会が多かったといい、「そこから他のお仕事が増えていくということもあって、今回もこういうご縁を頂きましたので、ありがたいです」と感謝した。

■「面白いことを言っているつもりはないんです」

その独特なコメントで現場の笑いをかっさらい、『ぽかぽか』の総合演出・鈴木善貴氏が「思考が素直、この方しか言えないコメントが痛快、生放送で事故る香りがする」と表現するなど、バラエティでは“面白い人”としてポジションを確立した神田。しかし、それを期待してオファーされることに、悩んだこともあったという。

「私としては、面白いことを言っているつもりはないんです。皆さんが、私の発言を『ちょっと変わってる』と言ってくださって面白くしてくださっているので、自分自身が面白いということではないと思います。それでも、“面白い人”の枠で呼んでいただいたのかなという気配を感じるときがあるので、すごくプレッシャーを感じることもありました」

“面白い人”の期待に応えるため、「その面白さを自分でコントロールしていきたいと考えて、私の何が面白いかを教えてもらって、そこを自分でもっと意識してやっていったほうがいいかなと思ったときもあったんです」というが、「やっぱり意識しないで出た言葉を意識するというのは難しくて、諦めました」と断念。

そこから考え方を変え、「私はもともと理系でして、理系の大学を出た友達と話すときは、自分のロジックに何も違和感がないようなのですが、そこがバラエティの世界では“面白い”と思って見ていただけているのかなという分析で今は落ち着いていまして、自分で何かコントロールしようというのはやめました」と、自然体で臨むことにした。

王林、滝沢カレン、渋谷凪咲(NMB48)というバラエティ最強女性タレントと対決した「IPPON女子グランプリ」(フジテレビ『まっちゃんねる』)において、いわゆる大喜利の常道から外れ、我が道を行く回答で松本人志にストップをかけられる場面もあったが、それも自分の思ったことを素直に出していたということだったのだ。

■コンプレックスから生まれたネタ「猪木さんのおかげです」

では、芸人笑わせ合いバトル『ドキュメンタル』の女性タレント版「女子メンタル」(『まっちゃんねる』)で披露した本気のアントニオ猪木モノマネは、どのようにして生まれたのか。

「あれはコロナ禍になってお仕事が休みの日が多くなったときに、エゴサーチをしてしまったんです。そのときに、昔から自分でも気づいていたのですが、『神田愛花、アゴ長いよね』と書かれているのを見つけてしまって、やっぱりそうなんだな…と落ち込んだときに、自粛中で時間もあるから、このコンプレックスをプラスにできないかと思って、猪木さんのモノマネを練習しました」

やはり“自分は面白い”という発想ではなく、コンプレックスの解消から生まれたものだった猪木モノマネは反響が大きく、「女子メンタル」の放送後に別番組で披露する機会も。「自分のコンプレックスが皆さんの笑顔につながっていったのは、本当に猪木さんのおかげです。そして、何か嫌なことがあっても諦めちゃいけないんだということを感じました」と、得るものが大きかったようだ。

そうした経験を踏まえ、『ぽかぽか』でも自然体で臨んでいく構えを見せている。

「“ちゃんとやらなきゃ”と意識して硬くなってしまうのは、求められていないと思うんです。やはり、自分の中でNHKのアナウンサーだったということを大事にしてきましたし、誇りにも思ってきたので、そこは残しつつ、自分を求めてくださる現場ではまた新しいところにも枠を広げていきたいと感じております」

  • ともにMCを務めるハライチの岩井勇気、澤部佑と (C)フジテレビ

●神田愛花
1980年生まれ、神奈川県出身。学習院大学理学部卒業後、07年日本放送協会(NHK)に入局し、『爆笑オンエアバトル』『BSベストスポーツ』『ワンダー×ワンダー』などで司会を担当。12年にフリーとなり、『めざにゅ~』『めざましテレビアクア』(フジテレビ)、『BSニュース 日経プラス10』(BSテレ東)などを担当し、現在は『スッキリ』(日本テレビ)、『報道ランナー』(カンテレ)、『おとななテレビ』(TVQ九州放送)などに出演。1月9日スタートの『ぽかぽか』でMCを務める。