――お昼の生放送バラエティということで、どうしても『笑っていいとも!』と比較されることが多いと思います。やはり、「ぽいぽいトーク」(※1)を頭で5曜日に横串で入れるというのは、「テレフォンショッキング」を意識されたのでしょうか?

全然別ものだと思って作りながら、僕も『いいとも』を最後にやらせてもらったんですけど、「テレフォンショッキング」のタモリさんとゲストの2ショットを見て、『ぽかぽか』でもMCとゲストの4ショットにこだわりたかったというのはありますね。タモさんってやっぱり特別な人なんで、2ショットになると誰もが特別に見えましたけど、いつか澤部くんというより岩井くんですかね、彼がそうなってくれたらいいなと思って、セットもああいう横並びにしてます。

――「◯◯っぽい」でゲストに質問して展開するというのは、発明だなと思いました。

「っぽい」って言えば何でも聞けるっていうことなんですけど、ゲストの皆さんも本気で答えてくれるんで、僕は来ていただいた方全員の好感度爆上がりで大好きになります。「こんなにしゃべってくれるんだ」「こんなにチャーミングなんだ」と毎回思って、初回の北川景子さんとかも大大大好きになりましたから。そうやって魅力が視聴者にも伝わって、来てくれた人全員が得するようにしたいと思ってます。

でも、最初は不安だったんです。岩井くんと神田さんには本番中にフリップに質問を書いてもらってますけど、事前にこっちで調べたことを渡したほうがいいのかなとも考えてました。でも、何も渡さず自由にやってもらったら、出せないフリップがいっぱい残るくらい書いてもらって、「っぽい」の精度も上がってるので、他の番組では出てこない話がいっぱい聞けるんです。打ち合わせもせず、2人の偏見と価値観からの角度で質問してくれるので、そこにエピソードがない可能性もあるんですけど面白いなあと思って、本当に助かってますね。

――ホストとしてゲストの話も聞きながら、その上で質問を書くから大変ですよね(笑)

そうなんです。あの2人が何を出すのかっていう興味があるので、トーク中もフリップに書いてる画は絶対スイッチングで入れるようにしてます。

  • 「ぽいぽいトーク」でゲストの話を聞きながら、勝手なイメージをフリップに書く

――「牛肉ぴったんこチャレンジ」(※2)も、ただ目標の重さに肉を切るというだけのコーナーなのに、盛り上がりますよね。

あれは最初1カ月で終わろうと思ってたんですよ。お肉も毎回買って、結構お金かかってますから(笑)。でも、2月に来ていただいた小堺(一機)さんが打ち合わせで「肉切りたい」とおっしゃったんで、小堺さんまでは延長しようとなったんですけど、意外と他の方も「私ならできる」っておっしゃってくださるので、そのままやってます。やっぱり成功すると、あの興奮する瞬間を、出演者が視聴者とお客さんと同タイムで味わえるっていうのがいいですよね。別に牛肉じゃなくてマグロでもいいんですけど、まだ続けていきたいと思います。

  • 「牛肉ぴったんこチャレンジ」の牛肉の塊を運ぶまんぷく昼太郎

その後に、「たぶん自分が1番ランキング」(※3)ってやってますけど、僕が『いいとも』で一番好きだったのが、「100分の1アンケート」(※4)だったんですよ。シンプルだけど面白い優秀な企画だなと思ってたんですけど、同じことをやってもしょうがないので、事前にアンケートを採って何かやれないかということで、これは完全に『いいとも』からの逆算で考えました。

――オープニングでテーマ曲に乗せてMCが正面から降りて登場するというのも、『いいとも』を思い出します。

そこは実はそんなに意識してないんです。お客さんを入れるって決めたことと、チャラン・ポ・ランタンさんの曲を聴いたときに、やっぱりお客さんの前に登場したほうがいいなと思ってこの形になりました。

――『いいとも』は本番後の反省会がなかったといいますが、『ぽかぽか』はどうですか?

ないです。毎日のことなんで、スタッフだけで反省して、よっぽどのことがなければ、演者さんは本番が終わったらもう気持ちよく帰ってもらおうと思ってます。本番前に「昨日はこうだったんで」って毎日打ち合わせしますから。


(※1)「ぽいぽいトーク」…ゲストにまつわる勝手なイメージ「◯◯っぽい」をテーマに展開するトークコーナー。

(※2)「牛肉ぴったんこチャレンジ」…「ぽいぽいトーク」のゲストが、牛肉の塊から300g目指してカットに挑戦する企画。

(※3)「たぶん自分が1番ランキング」…「ぽいぽいトーク」のゲストが、50人アンケート調査で自分が1位になれるテーマを考える企画。

(※4)「100分の1アンケート」…「テレフォンショッキング」のゲストが、スタジオの100人のうち1人だけ該当するアンケートを考える企画。


  • 『ぽかぽか』総合演出の鈴木善貴氏

●鈴木善貴
1980年生まれ、岐阜県出身。同志社大学卒業後、03年にフジテレビジョン入社。『トリビアの泉』『笑う犬の太陽』『アイドリング!!!』『キャンパスナイトフジ』『笑っていいとも!」『アウト×デラックス』『ホンマでっか!?TV』『さんまのお笑い向上委員会』などを担当する。今年1月にスタートした『ぽかぽか』の総合演出を務める。