女優の上白石萌歌が、フジテレビのドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』(毎週日曜14:00~ ※関東ローカル)のナレーション収録に臨んだ。担当したのは、3月26日・4月2日の2週にわたって放送される『新・上京物語 2023』。東京・浅草の人気洋食店「レストラン大宮」に入社した若者たちの奮闘を追った作品だ。

前編では期待の若手が退職することになったが、上白石も、女優の仕事に悩んで辞めようと思った時期があったという。それでも、現在続けられているのには、父親にかけられた言葉があった――。

『ザ・ノンフィクション』のナレーションを担当した上白石萌歌

『ザ・ノンフィクション』のナレーションを担当した上白石萌歌

■『ちむどんどん』とレストラン大宮の若者たちを重ねる

番組が追ったのは、レストラン大宮で一流の料理人を目指し、2年前の春に上京した3人の若者たち。2年目に入って仕事も任されるようになったが、それぞれの夢は深い迷いの中にいた。

3年連続でレストラン大宮の新人たちを見つめてきた上白石。1年前の前回放送後、朝ドラ『ちむどんどん』(NHK)で料理人を目指して上京するヒロインの妹役を演じたが、「お姉ちゃんを見守るという視点を持つ中で、厨房の雰囲気はこんな感じなのかなと思いました」と、レストラン大宮に入社した若者たちを重ねたという。

そんな朝ドラを経た今回のナレーション収録では、「やっぱりドラマの中じゃなくて、リアルの中にもドラマがあるんだなというのを感じました」と印象を語った。

■「やっぱり自分はこの仕事が好きだ」

3月26日放送の「前編」では、期待の若手だった「らいち」さんが、大宮勝雄シェフの説得も届かず、レストラン大宮を去ることになったが、「大宮シェフの気持ちに寄り添うと、もし自分だったら辞めずにそのままいられたらいいのに…と思ったりするんですけど、働き始めの1年目、2年目って、普通の人に流れる1年、2年とは全然違うもので、彼らにとってはものすごく重たいものが乗っかっている月日だったと思うんです。だから、彼らにしか分からない苦しみや迷いがあったんじゃないかと思いますね」と、双方に共感。

その上で、「入社したときにみんなで包丁を買うシーンは、『ああ、こんな日々もあったな』と思いながら見ていて、らいちさんは今回のような選択になったけど、みんなたくましくなっていることは間違いないと思うんです。私が偉そうなことは言えないんですけど、きっとこれからの人生も前を向いて歩いていくんだろうなと思いました」と希望を感じた。

翻って、自身にも女優の仕事を辞めようと思ったことがあるといい、「10代のときに、すごく苦しい時期がありました」と回想。そのとき相談した父親の言葉で踏みとどまり、現在も続けられているのだという。

「今回も、らいちくんが『このままいったら、料理が嫌いになっちゃうんじゃないかと思って』と言ってましたが、私は父に『仕事にする以上、自分のやりたいことがやりたくなくなる瞬間は絶対にあるはずだから、それでも自分がどうしたいかが大事なんだよ』と言われたんです。仕事をするってそういうことなんだと一つ割り切れたのと、“やっぱり自分はこの仕事が好きだ”というのを見いだせた気がするので、それは今でも大事にしている言葉です」

  • 『ザ・ノンフィクション 新・上京物語2023 後編 ~二十歳の決断~』より (C)フジテレビ

●上白石萌歌
2000年生まれ、鹿児島県出身。11年、第7回「東宝シンデレラ」オーディションでグランプリを受賞し、デビュー。以降、テレビ、映画、舞台、「adieu」名義での音楽活動など幅広く活躍。18年『羊と鋼の森』で第42回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。主な出演作に、映画『子供はわかってあげない』、ドラマ『義母と娘のブルース』(TBS)、『3年A組-今から皆さんは、人質です-』『金田一少年の事件簿』(日本テレビ)、『いだてん~東京オリムピック噺~』『ちむどんどん』(NHK)、『教場II』(フジテレビ)、『警視庁アウトサイダー』(テレビ朝日)など。4月からは金曜ドラマ『ペンディングトレイン―8時23分、明日 君と』 (TBS)に出演する。