俳優・歌手の木村拓哉がこのほど、フジテレビ系ドラマ『風間公親-教場0-』(4月10日スタート、毎週月曜21:00~ ※初回30分拡大)の取材に応じ、今作への向き合い方などについて語った。

木村拓哉=フジテレビ提供

スペシャルドラマ『教場』(20年)、『教場II』(21年)で風間公親(木村)が教官として警察学校に赴任する以前、新人刑事の教育に“刑事指導官”として当たっていた時代を描く今作。「連続ドラマで風間をやること自体が、僕の中では不可能だと思っていた」というが、『若者のすべて』『ギフト』『眠れる森』『空から降る一億の星』『プライド』と数々の作品でタッグを組んできた中江功監督からのラブコールに、「ある意味、自分は“中江教場”で育ってきたと思っているので、その本人からの説明と熱意を受けて、『じゃあお願いします』っていう形になれました」と作品の“風間教場”になぞらえながら、快諾したことを明かした。

「フジテレビ月曜9時という“物件”にこういう内容をやってもいいのかというのは、若干挑戦的な部分はあると思うんです」と懸念もあったものの、「監督だったり慣れ親しんだスタッフが現場にいてくれるので、現場に立たせていただいた状態ではもう何の不安もないです」と臨めているそう。

「スペシャルの2本を共に作ってくださったスタッフと今回もご一緒させてもらってるので、どこに立っていようが、誰が相手であろうが、どんなケースを目の前で見据えていようが、“彼(風間)だったらこうしますよね”っていうのを、自分だけじゃなくて、スタッフの皆さんも共有してくださってる感じがものすごくしているんです。例えば、監督が“こういう映像を撮ってくれ”って要求する前に、スタッフの皆さんが自分たちに求められるであろうパフォーマンスをそれぞれの部署で理解していて、ベクトルが非常に同じ向きになっている感じがします」と、以心伝心のチームワークを発揮しているようだ。

一方で、「高いクオリティを求める監督なので、そこに対する現場の緊張感というのは毎日ありますけど、その気持ちいい緊張感の中で、ワンカットワンカット進んでいるので、今は非常に充実しています」と心境を語った。

時系列としては、これまでの2作より過去を描くため、「いろんな逆算をしていかないといけない」という今作。中江監督とは、「スペシャルを2本やらせていただいて、もうちょっと見てみたいという皆さんの気持ちを頂いた上で、どういうふうに皆さんにドキドキしてもらおうか」と、議論を重ねているそうだ。

監督からは、「水を飲む、鼻をかむ、何かを飲み込む、咀嚼(そしゃく)するとか、彼のそういう生活面、人らしい部分が、一切求められない」という中で、「『教場』というものを後ろに持っていって『風間公親』っていうのを前に持ってくる作業なので、彼のパーソナルをどこまで不思議に、どこまで不気味に見せるか。それなのに“なんでこの人、こんなに芯を突いてるんですか?”というところを見せていかなければ」と腐心している。

ただ、「生活感がない、人間性を感じにくいキャラクターとしてやらせていただく上で、どういう状況においても笑顔がないので、すごく冷たい温度のシーンをやればやるほど、重ねていけば重ねていくほど、カメラが回ってないところで、本番に向けたステップの途中で、非常にふざけたくなります(笑)。そこに監督もよく付き合ってくれます」と、“息抜き”もしながら演じていることを明かした。

今回は、赤楚衛二、新垣結衣、北村匠海、白石麻衣、染谷将太が新人刑事役で登場。「僕は何も構える感じもなく、フラットな状態で、やらせていただいてるんですけど、皆さんの趣や表情、体温を僕が勝手に感じると、前作2作があの空気感なので、すごくみんな“来てしまった…”というような空気でいらっしゃるのを非常に感じます(笑)」と緊張感が伝わってくるのだそう。

改めて、“風間公親”という人物像について、「現場でもリスペクトトレーニングっていう言葉が実在してるぐらいですので、彼の指導の仕方っていうのは今の世の中に合ってるかどうかは非常に疑問が持たれるところではあるんですけど、そこはフィクションという強い盾を振りかざして作っていきたいと思います」と決意を述べた。

月9の主演は歴代最多の11回目となる木村だが、「時間とお金をかけてテレビドラマを大人が本気になって作っても、見る方たちの選択肢のほうが豊かだから、下手したらテレビの電源を入れる必要もないじゃないですか。見逃し配信だったり、毎週この時間帯のこの番組は予約して、自分が見たいときに一気にまとめて見るとか、見方が豊かになっている」と現状を受け止めた上で、「自分が取り組む熱意とは、別にちゃんとラインを引いて考えなきゃいけない」と強調。

その上で、「“この作品に自分は来たんだ”っていう若い共演者の皆さんの取り組み方だったり、プロ集団のスタッフもそうですけど、非常に“面白い責任”が毎日転がってるので、現場の熱は高めに毎日やってるなと思います」と話した。

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