識学は3月15日、「賃上げに関する調査」の結果を発表した。調査は2月9日~13日、企業に勤める20歳~59歳の男女300サンプル(会社員150名/会社経営者・役員150を対象にインターネットで行われた。

  • 賃上げの予定について

    賃上げの予定について

賃上げの予定について聞いたところ、「すでに(23年2月まで)賃上げされた」企業は21.3%、「今後賃上げされる予定」は29.0%となり、およそ半数の企業で賃上げされることが明らかに。賃上げする理由を聞いたところ、「社員の士気を上げたいから」(74.4%)が7割を超え、次いで「物価が高騰しているから」(48.8%)、「業績が上がったから」(23.3%)、「政府の呼びかけがあったから」(14.0%)と続いた。

  • 賃上げできない理由

    賃上げできない理由

一方、「賃上げを予定していない」企業は49.7%。企業の経営者・役員に対し、「政府からの賃上げ呼びかけもある中で、できることなら賃上げをしたいと思いますか?」と尋ねたところ、56.3%が「賃上げしたい」と回答した反面、43.8%が「賃上げしたくない」と考えていることが明らかに。

賃上げできない理由を聞くと、「業績が伴わないから」(60.9%)が2位以下の理由を大きく引き離してトップとなった。また、賃上げできない代わりの策を教えてもらったところ、57.8%が「代わりの策は特に考えていない」と回答。一方「一時金の支給」が26.6%となっており、少しでも社員に還元したいと考える経営者・役員がいることがうかがえた。

  • 物価上昇を感じるもの・切り詰めたいと思うもの

    物価上昇を感じるもの・切り詰めたいと思うもの

次に、賃上げを予定していない企業の会社員に「あなたは賃上げしてほしいと思いますか?」と尋ねたところ、80.0%が「賃上げしてほしい」と回答。また、賃上げされないことについて「不安に思う(とても+やや)」人は83.5%に上り、「何もかもが値上がりして負担が大きい」「物価上昇が続き、生活費の負担が大きいのに、残業代も出ない状況で、やりきれない」といった声が。

そこで、最も物価上昇を感じるものを教えてもらったところ、「食材費」(74.3%)、「光熱費」(68.0%)、「日用品費」(51.3%)が上位に。また、切り詰めたいと思う(すでに切り詰めている)ものについては、「食費」(55.3%)が最も多く、次いで「外食費」(42.4%)、「交際費」(40.0%)、「趣味・娯楽費」(38.8%)と続いた。

  • 評価の基準は明確だと思いますか?

    評価の基準は明確だと思いますか?

続いて、「評価制度が定められていた方が、より賃上げしやすい環境になると思いますか?」と尋ねたところ、73.3%が「そう思う」「まあそう思う」と回答。また、「あなたがお勤めの企業における評価の基準は明確だと思いますか?」と聞くと、48.0%が「明確だと思う」「やや明確だと思う」と回答した。

ただ、「明確だと思う(計)」と回答した割合を役職別にみると、会社経営者・役員は57.3%と約6割近く回答しているのに対し、会社員は38.7%と18.6ポイントも差があることが明らかに。また、「評価制度が定められていない」と回答したのは全体で14.0%にとどまり、86.0%の企業で評価制度が定められていることがわかった。

さらに、評価結果と給与が連動しているかについても聞いたところ、経営者・役員の64.8%が「連動している」と回答した一方、会社員は44.6%と20.2ポイント差に。企業側は評価制度を定めるだけでなく、基準を明確にし、評価結果と給与を連動させることで、より一層賃上げしやすい環境になる可能性がうかがえる結果となった。