■豪華な差し入れでドラマの評判を察知

今作は毎週Twitter世界&日本トレンド入りを果たし、配信されているNetflixのデイリーランキングでも1位を獲得するなど絶好調。その反響は草なぎにも「公式Twitterを覗くと、楽しんでいただいているな、と」と伝わっている様子。近年のドラマはSNSの更新も盛んでキャストの稼働も増えているが「TikTokの配信は6年前にはなかった活動なので、今のドラマはまた楽しくなっている」と新鮮に楽しむ。そのほか反響の大きさを感じる理由に差し入れを挙げ、「高級ハンバーグのお弁当が届いていて『このドラマ、さては評判がいいんだな』と。スイーツが並んでいる日もあって、差し入れが途絶えない現場なんです。そういうときは上手くいっている証拠なんですよ。長くこの世界にいるので、差し入れで分かっちゃいます(笑)」とニッコリ。

これまでメディアでは「台本は自分のところしか読まないタイプ」と役者としてのこだわりを口にしてきたが、今作は「犯人が誰なのか、近い人間も罠を仕掛けてくるのか気になって」とスタンスを覆して脚本を夢中で読み進めた。「前2作もハラハラドキドキしたのですが、今回は罠だけにさらに“ワナワナ”が加わっている。後藤(法子・脚本)さん、シャレも利かせてタイトルをつけたんじゃないかな」と声を弾ませる。鷲津の第一印象は「普通のキャラクター」だった。「派手にやりすぎず自然に演じて、1点の小さなシミがじわじわと広がりを見せるような役になれば」とイメージを膨らませ、「普通のキャラクターが静かに変わっていって、見ている方たちに『鷲津、どうした?』と違和感を覚えさせるのが狙い」と繊細さやリアリティに重きを置いて作り上げた。「シリーズの中で一番普通のキャラクターなのに、一番大きな復讐を成し遂げる男になり得るんじゃないか」とこの先の展開を予想させるコメントもポツリと漏らした。

■難役への挑戦も「成功すれば褒められる」とニヤリ

そんな鷲津は「親近感があって、今の僕にぴったり」と、いま正に求めていた役どころ。「大河ドラマの徳川慶喜(『青天を衝け』NHK、21年)のような、現実とかけ離れた役もやったからこそ、今リアルな役をやりたかった。難しいけどやり甲斐があります」と喜ぶ裏で、「演じている僕まで大人っぽく見える気がするんです。それにこんな役をちゃんと演じられたらまた僕が褒めてもらえるじゃないですか? だから“しめしめ”と(笑)」とニヤリ。願っていたタイミングでの巡り合わせに「役は人生に寄り添ってくれている」と草なぎは目を細める。鷲津を生み出した後藤氏に「言葉を交わさずとも今の僕に寄り添って考えてくれたのかなと思えて、すごくうれしい」と不思議な意思の疎通を感じながらも、「どこか“役”は神様にもらっている気持ちがあるんです。いつも僕の人生に沿った役をいただけて、幸せなことです」と運命に感謝。次に出会いたいのは「すごく悪い役」。「今演じている鷲津も、政治の世界に揉まれて“悪い”一面を見せていますが、やっぱり悪い役は面白い。今またそんな役に挑戦できたら楽しそう」と目を輝かせる。

■幸福感が“超”上がっていると語る現在地

1月20日に配信されたYou Tubeの動画では、現在地を「幸福感が上がっている」「すごく幸せ」と語っていた草なぎ。その理由を聞くと、HIITというトレーニング法が大きいと話す。「この2、3年毎日運動していることで、ホルモンバランスが変わってきたような感覚があります。毎日体を動かすのって本当に大切で、今日も朝5分ほど運動してから現場入りしました」。その大切さに気付いたのは、新しい地図を立ち上げた後に舞台の仕事が増え、体を動かす機会が多くなったことがきっかけ。夜は睡眠を大事にしていることで、遅い時間にラーメンを食べるなどの不摂生もなくなった。「そんな生活を送っていたら、若いときより元気になっちゃったんです(笑)。単純だけど若いときは意外とできていなかった睡眠と運動のおかげで、今は“超”幸福感上がってる!」と幸せに満ちた笑顔を見せる。

『罠の戦争』はいよいよ残すところあと4話。「誰が罠を仕掛けているのか、誰が敵で誰が味方なのかも分からない世界で、鷲津は最後にどこへ行き着くのか。“ワナワナ”しながら最後まで行方を見守ってほしい」とアピール。草なぎが丁寧に作り上げてきた「普通のキャラクター」鷲津がどんな結末を迎えるのか、復讐の行方に注目だ。

■草なぎ剛
1974年7月9日生まれ。91年にCDデビュー以来、数々の名曲を世に送り出し、『NHK紅白歌合戦』に23回出場。17年9月に稲垣吾郎、香取慎吾と「新しい地図」を立ち上げた。俳優、歌手、タレント、YouTuberなど幅広く活躍。近年の主な出演作は、映画『台風家族』(2019)、「第44回日本アカデミー賞」最優秀主演男優賞を受賞した『ミッドナイトスワン』(2020)、『サバカン SABAKAN』(2022)、大河ドラマ『青天を衝け』(2021)など。NHK Eテレ『ワルイコあつまれ』、読売テレビ『草なぎやすともの うさぎとかめ』、NHK『ブラタモリ』(ナレーション)、bayfm『ShinTsuyo POWER SPLASH』、ABEMA『7.2新しい別の窓』にレギュラー出演中。
■ヘアメイク:永嶋麻子(Pri.ash)、スタイリング:黒澤彰乃