俳優の草なぎ剛が主人公の鷲津亨を演じる、カンテレ・フジテレビ系ドラマ『罠の戦争』(毎週月曜22:00~)。復讐のため強き権力者たちへの罠を仕掛ける鷲津と、杉野遥亮や小野花梨演じる頼もしい秘書たちによる確かな絆は、緊迫感あふれる物語の中でひとときの安らぎを与えている。

そんな関係とリンクするように、後輩役者たちに対して「何か刺激になるものがあればと、出し惜しみしないで接している」と語る草なぎ。愛情たっぷりに「かわいい」と評しながらも、「皆が僕を立ててくれていることは理解している」と謙虚で、ときには香取慎吾から聞いたとっておきの差し入れで労う。今回は、助言を口にせず「感じてもらう」というスタンスで関わる“草なぎ流”先輩論、そして「成功すれば褒められる」と笑いながら話してくれた今作の役作りの裏側、「今は“超”幸福感上がってる!」と話す現在地の“幸せ”について話を聞いた。

  • 俳優の草なぎ剛 撮影:宮田浩史

    俳優の草なぎ剛 撮影:宮田浩史

■杉野遥亮は「僕よりずっと真面目。かわいいんです」

今作『罠の戦争』は2015年の『銭の戦争』、2017年の『嘘の戦争』に続くシリーズ第3弾で、6年ぶりの最新作。草なぎが連続ドラマで主演を務めるのも実に6年ぶりだが、その間舞台や映画に多数出演し、2020年の映画『ミッドナイトスワン』では「第44回日本アカデミー賞 最優秀主演男優賞」を受賞するなど、自身でも「舞台や映画の現場で身についたものがある」と胸を張っての堂々たるカムバックとなった。

草なぎ演じる主人公・鷲津亨を支える秘書メンバーには、杉野遥亮、小野花梨、坂口涼太郎と、今をときめく若手俳優たちが名を連ねる。「何か刺激になるものがあれば、拾ってもらえるものがあればと、出し惜しみしないで接しています」と役者の先輩として関わることに前のめりな姿勢を見せながら、「そんな年になったというか、そんな時期になったというか」と自分の立場についてしみじみ。キャリアを重ねたことによる変化は後輩を見る目だけではない。「岸部一徳さんをはじめとする先輩方とお芝居できることを、いま改めて楽しく感じています。6年前には漣さんもいて、漣さんからももちろん感じるものがあったけど、今は先輩方への尊敬の思いがさらに強くなりました」と前2作に出演していた大杉漣さんを懐かしみながら、先輩に感じるものへの変化も明かした。

共演の多かった大杉さんからは「会うたびに何かしら褒めてもらっていた」という草なぎだが、後輩へは敢えて助言を口にせず「感じてもらう」というスタンス。「皆プロだし教えることなんてないんです。お芝居は“感じる”部分が多いので、言葉で表せないような温度感を受け取ってもらえれば」と持論を述べる。杉野とは過去にも共演経験があり、鷲津にとって杉野演じる蛯沢眞人が特別に思い入れのあるキャラクターということも相まって草なぎも杉野が特に気になるよう。「僕よりずっと真面目で、すごく考えるタイプ。不思議な魅力があって面白いしかわいいんです」と評し、「僕も杉野くんくらいの頃はいろいろと考えていたので気持ちが分かる」と寄り添う。もし杉野が何か考えている様子を感じ取っても、あくまで一歩引いて見守り、「そんなときは何も考えず寝たほうがいいよ」と休息を促すのが草なぎ流だ。

■香取慎吾からの差し入れに感動し、自身も後輩へ

一方の小野は“からかいたくなる存在”だという。商店街で撮影をしている際、ちょうど小野を見つめるような位置にヤギの置物があり、「花梨ちゃんのこと見てるから絶対に買ったほうがいいよ」と冗談交じりに提案すると小野は実際に購入。「もう面白くて(笑)」と草なぎは思い出し笑いが止まらない。「健康法とか、僕の何気ない話をいつもニコニコしながら聞いてくれる。僕は自分の話を笑って聞いてくれる人が好きだから、楽しい時間を過ごさせてもらっています」と感謝を述べた。

以前インタビューした際に小野が語ってくれたのが、草なぎが秘書チームへうなぎの弁当を差し入れしたというエピソード。別の仕事をしていてその場にいなかった坂口のもとへ届けるようマネージャーに依頼していた草なぎの姿に、小野は「『食べられなくて残念だね』が普通の会話だと思うのですが、『持って行ってあげて』だなんて、私は思いつきもしなかった発想だったので、最早常軌を逸する“神”!」と驚きと感動を熱弁してくれた。草なぎに小野の思いを伝えたところ、まずはうなぎの弁当について「差し入れの世界で一番美味しいんじゃないかと思っているほど僕が大好きなお弁当。こんなに素敵なお弁当を差し入れする男はこの世にいないぞというくらい美味しい。だからこそもう、どうしても食べてもらいたくて(笑)」と魅力を語ったあと、「僕もそのお弁当を差し入れしてもらったことがあって……(香取)慎吾ちゃんになんですけど」と打ち明け、照れ笑い。「そのとき、こんなすごいものを差し入れしてもらえるなんてとうれしかったんです。その感動を味わってほしくて」。香取に許可を取りここぞというときの差し入れに使っているうなぎの弁当。しかしその情報を小耳に挟んだ岸辺に「俺うなぎの弁当好きなんだよね」とアピールされてしまい、「岸辺さんは秘書チームじゃないから!(笑)」とツッコむ一幕もあったよう。

秘書メンバーを演じる3人へは「チームになって僕の復讐のために動いてくれているんだと思うと、なんだかかわいくて」と愛情たっぷり。小野が草なぎを“神”と呼んでいたと伝えられても、「子どもっぽいところもあるこんな僕を、皆が立ててくれていることは理解しています」と謙虚に受け止め、差し入れはそんな後輩への「礼儀としてやっている」と説明。「僕も杉野くん、花梨ちゃん、坂口くんから刺激を受けています。現場では大変なこともありますが、皆の力でここまで乗り越えられてきたので最終話もいいものになるんじゃないかな」とチームワークに太鼓判を押す。