寒い冬の期間は部屋を暖め、快適に過ごしたいものです。一方、一年間の中で光熱費が一番高くなりやすい季節でもあります。可能であれば、我慢をすることなく効率的に暖房を使い、光熱費を最小限に抑えたいですよね。特に最近の物価高の影響で家計の負担が増え、少しでも生活の固定費を節約したい人も多いはずです。今回は、冬の暖房を効率的に使い、物価高に負けない方法を伝授しますので参考にしてください。

2023年も物価高は続いている

2022年は様々なモノの値上げラッシュがあり、家計への負担が増えた一年でした。円安・世界情勢・原油価格の高騰など、物価高の要因となる出来事が連日ニュースで取り上げられていました。

特に一年間で約2万品目の飲食料品が値上げ率14%を超え過去トップクラスで、家計を大きく圧迫した事は間違いありません。

そして2023年もこの物価高は続いており、前年以上のペースで上昇していく事が予測されます。

実際、2023年1月現在で「冷凍食品」「調味料」「菓子・冷凍・栄養補助食品」「飲料・ゼリー・酒」を扱うメーカーが値上げを発表し、品目数は既に1万品目を超えました。

更に2023年に入ってわずか1ヶ月程で、昨年度の50%を超える品目数が値上を発表している事を考えると、値上げのペースが加速していることは間違いありません。

光熱費も上がっている

物価高が目立つ飲食料品について説明してきましたが、2022年〜2023年現在まで光熱費も値上がりを続けています。

背景として、今もなお続くウクライナ情勢の影響による、「原油・液化天然ガス(LNG)、石炭」などの燃料価格高騰が続いている事が大きな要因です。

また燃料を輸入に頼っている日本にとって、極度の円安となっていた市場の動きも、光熱費の値上がりを引き起こしました。

光熱費も飲食料品同様に、2023年も更に値上がりしていく事が予測されています。

その証拠に、2023年1月時点で「東北電力」「東京電力」「北陸電力」「中国電力」「四国電力」「沖縄電力」の大手6社が、政府に対して4月または6月以降の値上げを申請しました

値上げ率は30%〜40%前後となっています。一般家庭2人暮らしの全国平均電気代は8,820円となっているので、大体2,500円〜3,000円前後上がる事が予測されます。

一方で2023年1月〜9月までの期間は、政府が電気代高騰救済措置として負担緩和政策(1kWhあたり7円引き)を実施するため、思ったより値上げの影響を感じないかもしれません。

しかし既に2022年に大きく値上がりした事や、今後の電力会社の値上げを考慮すると、光熱費の値上がりは決して軽視することはできないでしょう。

特に冬は暖房代に注意が必要

こういった社会情勢の中、生活費を節約する上で「冬の暖房代」には注意した方が良いでしょう。

特に寒さがピークを迎える、「1月・2月・3月」の電気代は2人暮らし世帯で1万3,000円ほどとなっています。同世代の年間平均電気代が9,000円ほどですので、冬の期間は4,000円ほど電気代が高くなるということです。

それでは、なぜ冬になると暖房代の影響で電気代が高くなってしまうのでしょうか。 その理由は次の通りです。

【冬の暖房代が高い理由】

〇エアコン
・冷房と暖房では消費電力(kWh)が暖房の方が大きい
 ※夏よりも冬の方が外気と部屋の温度差が大きくなるためです。

〇日照時間が少なくなり在宅時間が増える
 ※寒い冬には家にいる時間が自然と長くなる傾向にあるためです。

〇暖房機器
・夏に利用する機器よりも、冬の暖房機器の方が多い
 ※エアコン、コタツ、ホットカーペットなど冬になると暖房機器を多く利用するためです。

このように、冬の暖房代は一年間のうちで最も高くなりやすいので注意するようにしましょう。

統計局ホームページ/家計調査(家計収支編) 調査結果 (stat.go.jp)

効率的に暖房を使おう

それでは、暖房代に注意するためにはどういった過ごし方をすればよいのでしょうか。

大切な事は、寒さを無理に我慢することなく快適に過ごせる範囲で、効率的な暖房の利用を心がける事です。

この章では、効率的に暖房を使う方法を紹介しますので参考にしてください。

こまめに消す?つけたままにする?

暖房代の中で大きな割合を占める暖房機器はエアコンです。
ここでは、エアコンは「こまめに消す」「つけたままにする」のどちらの方が、効率的でお得になるのかを、ある家電メーカーの2パターンの検証結果から紹介します。

【検証結果】

・パターン(1)「つけっぱなし」VS「30分間隔でこまめに入り切り」
 →深夜~早朝(23:00~6:00)/日中(6:00~18:00)/夜間(18:00~23:00)にて検証

時間帯 24時間つけっぱなし 30分間隔でこまめに入り切り
消費電力(kWh) 電気代換算(円) 消費電力(kWh) 電気代換算(円)
深夜~早朝 5.0 135 8.5 230
日中 7.3 211 11.2 302
夜間 3.3 89 4.2 113
◆どの時間帯においても、「24時間つけっぱなし」の方がお得。常に暖かい部屋を保つ事も出来るため効率的といえます。

・パターン(2)「つけっぱなし」VS「外出スケジュールに合わせてこまめに入り切り」
 →深夜~早朝(23:00~6:00)/日中(6:00~18:00)/夜間(18:00~23:00)にて検証
 →外出スケジュールに合わせる場合の入り時間は「深夜~早朝:7時間」「日中:8時間」「夜間:3時間」の計:18時間

時間帯 24時間つけっぱなし 外出スケジュールに合わせてこまめに入り切り
消費電力(kWh) 電気代換算(円) 消費電力(kWh) 電気代換算(円)
深夜~早朝 3.5 95 0.3 8.0
日中 5.7 154 8.9 240
夜間 3.4 92 2.4 65

◆時間帯によっては、外出スケジュールに合わせてこまめに入り切りを行った方がお得。意識的に外出時間を増やすことが出来れば、更に効率化できるかもしれません。

このように、外出時間が多いのであれば「こまめにけす」、在宅時間が多い場合は「つけっぱなしにする」など、自分の生活スタイルに合わせるようにして下さい。

設定温度は?

外気温と室内温度の差が大きいほど消費電力も大きくなり、暖房代が高くなります。

そのため、設定温度を固定しておくことで必要以上の電気代が発生しないようにすることも重要です。 環境省が定めている冬のエアコンの設定温度は20度ですので、これ以上高い温度で設定している人は見直してみる事をおすすめします。

また、ある家電メーカーの実験では温度を外気温との温度を2度近づけるだけでも、20%以上の節電効果が得られる事が検証されているようです。

暖房代を上手に節約しよう

ここまで説明してきた通り、物価高の影響は家計をこれからも圧迫していくでしょう。その中で、どれだけ効率的に節約をして生活するためには、暖房を上手に使っていく事が重要です。 光熱費含めてモノの値上がりは誰にもコントロールできない事ですが、節約などに関しては自分自身でコントロールできるポイントですので、ぜひ今回紹介した内容を参考にしてください。

この記事を執筆したカウンセラー紹介


小峰一真(こみねかずま)
所属:株式会社マネープランナーズ

2級FP技能士/証券外務員2種/住宅ローンアドバイザー| 明治大学政治経済学部卒業

大手国内証券会社、外資系保険会社を経て、前職では独立系FP事務所に創業から携わっていました。資金計画作成、住宅購入相談、資産運用、保険相談など全般的に得意で、セミナー講師も担当しています。趣味はゴルフと読書、スポーツ観戦(横浜Fマリノス、明治大学ラグビー部を応援!)です。