2022年放送『ウルトラマンデッカー』テレビシリーズの続きを描いた長篇新作『ウルトラマンデッカー最終章 旅立ちの彼方へ…』が2023年2月23日より、「TSUBURAYA IMAGINATION」でオンライン配信&全国劇場にて公開される。宇宙浮遊物体スフィアの脅威が去り、アスミ カナタ(演:松本大輝)がウルトラマンデッカーになる力を失ってから1年、ふたたび地球に侵略者が襲来し、エキスパートチームGUTS-SELECTに最大の危機が訪れる。

  • 中村加弥乃(なかむら・かやの) 1994年生まれ、東京都出身。2歳のころから芸能活動を行い、2005~2007年にはアイドルグループAKB48(第1期生)メンバーとして人気を博した。恋愛リアリティ番組『恋愛ドラマな恋がしたい~Kissing the tears away~』(AbemaTV/2021年)や映画『少女は異世界で戦った』(2014年)、テレビドラマ『NHK連続テレビ小説エール』(2020年)をはじめ、バラエティ、舞台、CMと幅広い分野で活躍を続けている。 撮影:大門徹

映画の配信・公開を記念し、本作の重要キャラクター・ラヴィー星人ディナスを演じる中村加弥乃にインタビューを行った。たったひとりで凶悪な宇宙人軍団と戦っていたディナスは、カナタをはじめとするGUTS-SELECT隊員たちの協力を得て、地球侵略を企むプロフェッサー・ギベルスに立ち向かっていく。大切な生命を守りたいという決意を胸に、自分の危険をかえりみず戦いの道を歩むディナスを魅力的に演じた中村加弥乃に、ウルトラマンシリーズへの憧れや、共演者の優しさに触れたときの思い、そして映画の注目ポイントを尋ねた。

――中村さんはウルトラマンシリーズの大ファンだとうかがっています。子どものころからお好きだったのですか?

そうなんです! 物心ついたときからずっとウルトラマンや怪獣が大好きで、家でビデオを何回も観たり、ウルトラマンショップで怪獣やウルトラヒーローの指人形をたくさん買ってもらったりしていました。

――歴代ウルトラヒーローの中で、もっとも中村さんがお好きなのは誰ですか?

『ウルトラマンティガ』(1996年)です。今回の映画に出演できたことでウルトラマンデッカーも好きになりましたけど、私がウルトラマン好きになったきっかけがティガなので、これは外すことができません。いま改めて映像や写真を見返しても、ティガってカッコいいなあ……って思ってしまいます。ウルトラマンのパジャマで「変身スーツ」ってあるじゃないですか。子どものころ、ティガの変身スーツがお気に入りで「私服」として愛用していたみたいなんです(笑)。当時の楽しそうな写真も残っています。

――それでは、映画『ウルトラマンデッカー最終章 旅立ちの彼方へ…』への出演が決まったとき、すごく嬉しかったのではないですか。

ディナス役はオーディションを受けて決めていただきました。合格の報せがあった日、ちょうどマネージャーさんの誕生日だったので、とてもいいバースデープレゼントになったよと言われたのが心に残っています。私自身は、受かったと聞いても信じられなくて……。ウルトラマンに変身する役だとわかってオーディションを受けていたんですけど、「私がウルトラマンになるってこと?」みたいに、自分の状況がすぐには飲み込めないような気持ちでした。

――オーディションでも、中村さんの「ウルトラマン好き」のパワーが審査の方たちに伝わったのかもしれません。

自己紹介をするとき、どれだけ自分がウルトラマンティガを大好きなのか、熱烈にアピールしました! でもあまり熱く話しすぎたのか、武居正能監督からは「ウルトラマン愛はわかりましたから、そろそろお芝居のテストに移りましょう」なんて言われたんです(笑)。私としては、ウルトラマンへの愛を伝えるのにこんな短い時間では足りない!と思っていました。

――近年はウルトラウーマンの方たちも増えてきましたが、女性から男性タイプのウルトラマン(ウルトラマンディナス)に変身する中村さんは、“単独の変身者”ということではウルトラマンシリーズ史上「2例目」にあたるんですね。

そうです。“単独の変身者”ということでは、吹石一恵さんが演じられたジュリ/ウルトラマンジャスティス以来なんです。

――あっ、先に言われてしまいました。さすが詳しいですね。中村さんが演じるラヴィー星人ディナスは、本来戦うことに慣れていない種族でありながら、それでも人々を守るため凶悪宇宙人と激しい格闘を行うキャラクターだとうかがっています。役柄についての思いを聞かせてください。

たったひとりで戦ってきたディナスの「孤独」を感じました。戦う相手も1人じゃなく、複数の敵を相手にしていて、精神的にもキツかったと思うんです。そんなディナスが地球へやってきて、カナタたちGUTS-SELECTのみんなと出会ったのは、ものすごく大きなこと。身体的な強さではなく、精神面でいっそう強くなることができた。そんなところが素敵だなと思いました。

――撮影に入られたのは、まだ『ウルトラマンデッカー』テレビシリーズが放送されていない時期だったそうですね。

基本設定くらいしか知らない状態で撮影に入りましたから、カナタが「デッカーのおっさん」って言ってる意味が最初は理解できなかったりして(笑)。撮影中、いろいろな展開について教えていただきました。

――地球に飛来したディナスは、カナタ、リュウモン(演:大地伸永)、イチカ(演:村山優香)のGUTS-SELECT若手チームと行動を共にするシーンが多かったと思います。共演のみなさんの印象はどうでしたか。

(大地)伸永くんとは以前、リアリティショー『恋愛ドラマな恋がしたい~Kissing the tears away~』でずっと寝食を共にしてきましたので、彼と再会できたのをきっかけに、みなさんとはすぐに仲良くなることができました。最初は、半年間ものテレビシリーズ撮影期間を経て、チームワークができあがっているところに私が飛び込んで大丈夫かな?という不安があったのですが、そんな思いはあっという間になくなって、すてきな共演者の方々に囲まれて演技をすることができました。

本当にみんな、優しかったんですよ。GUTS-SELECTのみんながお揃いで持っているデッカーのバッグがあるんですけど、(松本)大輝くんのバッグが壊れちゃって、スタッフさんから新しいものを用意してもらっていたんです。すると伸永くんが「加弥乃にもあげたいので、バッグもうひとつありませんか」って言ってくれて……。それだけでも「優しいなあ」と思っていたのに、大輝くんが「いまひとつしかないらしくて、それじゃあ僕のをあげます」って、私にプレゼントしてくれました。ウルトラマンの世界って、こんなに優しい人が集まってできているんだなあって、感動しました。バッグは今も大事に使っています。