日本製紙、DOWAエコシステム、JR貨物は、秋田県と首都圏エリアのラウンド輸送を開始することで合意したと発表した。2021年11月以降、実証実験を実施しており、輸送のめどがついたことを受け、2023年3月から正式に運用を開始する。

  • ラウンド輸送のスキーム図(JR貨物提供)

秋田県内に工場を有する日本製紙とDOWAは、JR貨物による協力の下、DOWAの所有する20フィートコンテナ4基を活用してラウンド輸送を行うスキームで、2021年11月から実証実験を行ってきた。

DOWAは、首都圏エリアから秋田県内のグループ工場向けにリサイクル原料等を効率的に輸送するため、輸送品目に合わせた私有コンテナの製作を積極的に行い、鉄道輸送の活用を進めてきた。ラウンド輸送により、DOWAが保有する中で最も大型なコンテナの空荷区間をマッチングさせることで、段ボール原紙のモーダルシフトによる輸送手段複線化を実現し、秋田県・首都圏エリア間の長距離輸送を総合的に効率化できるという。

  • DOWAの20フィート私有コンテナ(JR貨物提供)

  • 段ボール製品の積み込み (JR貨物提供)

日本製紙は秋田工場で段ボール原紙を生産しているが、製品の高さに制約があるため、従来はコンテナの利用が難しく、首都圏エリアへの出荷がほぼトラック輸送となっていた。DOWAの20フィートコンテナは側面上部のウイング部を開けることで、最大220cm程の背高の製品を積むことが可能となるため、製品輸送の一部を貨物鉄道輸送に切り替え、輸送手段の複線化と効率化を実現する。

JR貨物は、両社の秋田県・首都圏エリア間のラウンド輸送における幹線輸送を担う。CO2排出量が最も少ないという環境特性や高い労働生産性などの鉄道の優れた特性を生かし、「JR貨物グループ長期ビジョン2030」で掲げた「物流生産性の向上」「グリーン社会の実現」をめざす。

今後も3社は協力し、このルートでのモーダルシフトを加速していくとのこと。長距離輸送区間での鉄道活用により、トラック物流の負担軽減、輸送モードの複線化によるリスク分散と安定性向上とGHG削減を推進し、持続可能な社会構築に貢献するとしている。