「名は体を表す」という言葉をご存じでしょうか。本記事では「名は体を表す」の意味と使い方、類義語・対義語などについて解説します。
「名は体を表す」の意味や読み方とは
「名は体を表す」とは「実体(そのものの本当の姿・ありのままの姿)が名前に表れている」という意味の慣用句です。
人や物に名前を付けるときは、「こんなふうに思われたい」「こういう人になってほしい」「こんな意味を持つものを作ろう」などの願いを込めるものです。
結果として、その人自身の性格や本性が名前の持つ意味に一致したり、ふさわしいものになったりすることが多いと考えられたことから、「名は体を表す」と例えられるようになりました。
読み方は「なはたいをあらわす」です。
「名は体を表す」の由来・語源
「名は体を表す」の由来は、仏教用語「名体不二(みょうたいふに)」であると考えられています。名体不二は「名(名号)と仏体は不離であり一つである」という意味を持ちます。
「南無阿弥陀仏」は名前であり、また悟りそのものであり、唱えるだけで阿弥陀仏の功徳を受けられる、という概念を表している言葉です。
「名は体を表す」の使い方
「名は体を表す」は、人や物の名前と実体を結びつける場合に使用されますが、通常は褒める意味合い、ポジティブな意味合いで使われる表現です。
例えば、子どもや商品に名前を付ける際に「こうなってほしい」と願いを込めて命名するときや、素晴らしい人柄で名前のイメージと一致する人と出会ったときなどに、相手を褒める意味で使用されます。
例文
使い方に沿った実際の文章を例文として挙げます。日常の場面で「名は体を表す」を使うときの参考になるでしょう。
- 名は体を表すというから、娘には凛とした人になってほしいので「凛」と名付けよう。
- 隣の翔くんはパイロットになりたいらしいよ。まさに名は体を表しているね。
- 名は体を表すというけど、びんのフタを開けるグッズに「男手いらず」という名前が付いていて、その通りだと思ったよ。
「名は体を表す」の類語・言い換え表現
「名は体を表す」の類語をご紹介します。
名実一体(めいじついったい)
「名実一体」は、表向きの名目や評判が、実体と一致していることを意味する四字熟語です。
名詮自性(みょうせんじしょう)
「名詮自性」も仏教の言葉で、物の名前は、その物の本性を表すという意味の言葉です。「詮」は解き明かすという意味を持ちます。
看板に偽りなし(かんばんにいつわりなし)
「看板に偽りなし」は、実状が看板にある内容と一致している、つまり外見と実体が一致していることを意味する慣用句です。商品やサービスについて評価する際などに使用されます。
看板とは、ブランドや売り文句・ポリシーなどを指します。広告やカタログを見て、実際に商品を使った後、売り文句通りの価値があると感じたときに「看板に偽りなし」を使用します。
「名は体を表す」の対義語
「名は体を表す」は名前と実体の「一致」を表していますが、対義語は「相違」を表しています。基本的に、悪い点を指摘して、批評をする場面で使われます。
有名無実(ゆうめいむじつ)
「有名無実」は文字通り名前があるのに実がないこと、つまり名ばかりで実体が伴わないことを意味します。名が通っている割に中身がない、評判ほどの実力を持っていない、などと評するときに使います。
羊頭狗肉(ようとうくにく)
「羊頭狗肉」は「羊頭を懸けて狗肉を売る(ようとうをかけてくにくをうる)」を略した四字熟語で、出典は中国の仏教書です。
羊頭とは文字通り羊の頭、狗肉とは犬の肉を表しています。「店頭には羊頭を置いているのに実際には犬の肉を売っている」の意味が転じて、見かけと中身が異なるという意味で使われます。「看板に偽りなし」の対義語としても適当です。
名前負け(なまえまけ)
「名前負け」は文字通り「名前に負けている」ことを意味します。名前は立派だが、中身がついていっていない、負けてしまっていることを表しています。
「名は体を表す」を英語で言うと?
「名は体を表す」を英語にすると、以下のように表現することができます。
- Names and natures do often agree.(名前と性質とはしばしば一致する)
- A name makes a person.(名前が人をつくる)
「名は体を表す」の意味を理解し使いこなそう
「名は体を表す」は仏教に由来する言葉で、名前と実体が一致していることを意味します。名前に対して、実体が伴っていることを評価する場面で使うのが一般的です。
同じ意味や、微妙にニュアンスの異なる類義語があり、対義語もいくつかあります。それらも知ることによって、会話や作文の中でより適切な表現が可能になることでしょう。