マツダがコンパクトカー「MAZDA2」の大幅改良を実施する。新型MAZDA2の予約受け付けは今日からで、発売は3月下旬の予定だ。改良の目玉は新グレード「BD」の追加。グリルのパネルやホイールキャップ、屋根などの色を自分好みに変えられるポップな1台で、クルマ選びの楽しみが広がりそうだ。
好みに合わせて作れる・選べる「MAZDA2」
MAZDA2は4代目「デミオ」として2014年に発売となったコンパクトカー。今回の改良では複雑だったグレード体系を見直した。大別すると「サンリットシトラス」(Sunlit Citrus、従来からあった上質なグレード)、「スポルト」(SPORT、好評だった「Black Tone Edition」の個性を強めたスポーティーなグレード)、新顔の「BD」の3種類から選ぶ形となる。価格は152.9万円~254.1万円。
注目すべきは新登場のBDだ。BDは「ブランクデッキ」(Blank Deck)の略。スケートボードの世界で使われる言葉で、パーツやステッカーなどで装飾する前のまっさらなボードのことをブランクデッキと呼ぶそうだ。BDの企画やデザインには多くの若手マツダ社員が関わっているという。
BDは最近のマツダ車では珍しく(?)ポップな印象に仕上がっている。パネル化したグリル、ルーフ、ドアミラー、ホイールキャップ、インパネの色を選べるのが特徴で、組み合わせは計198通りにのぼる。
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新型「MAZDA2」の「BD」(写真は開発段階の試作車)。1.5Lガソリンエンジン搭載、6速AT、2WD(FF)の「15 BD」というグレードで、車両本体価格は164.78万円(オプション込みで189.53万円)。BDではグリルのパネルやドアミラーの色が変更可能。ルーフは基本的にボディ同色だが、ホワイトとブラックのルーフフィルムがメーカーオプションで用意されるので、2トーンにすることが可能だ
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こちらは「BD」の用品架装車。グレードは「15 BD」で、左が「CLAP POP」(オプション込みで190.564万円)、右が「ROOKIE DRIVE」(同201.069万円)だ。用品架装車は、全部で198通りの組み合わせが可能なBDで、マツダのデザイナーなら何を選ぶかという2つの提案だ。もちろん、このデザインそのままで購入することもできるし、どこか一部を自分好みに変えることもできる
「BD」を「ROOKIE DRIVE」仕様で乗るならリアルーフスポイラー、ボディデカールセット、フロントグリル・リアバンパーアクセント、ミラーガーニッシュ、ホイールキャップのセット(ショップオプション、15.235万円)と用品取付工賃2.024万円が必要。写真のボディカラーは新色の「エアストリームブルーメタリック」。ちなみに、グリルをパネルにしたことにより性能(冷却など)に影響は出ないのか聞いてみたのだが、下(ロワー)の部分の開口が十分なので、特に問題はないとの話だった
新型MAZDA2の事前取材で開発主査やチーフデザイナーに話を聞くと、BDにはMAZDA2の、ひいてはマツダブランド全体の間口を拡げたいという思いが込められているようだ。
発売当初のMAZDA2(当時はデミオ)は、コンパクトカー市場の平均よりも若年層(30代以下)の購入比率が高いクルマだったそうだが、ここ5年くらいで若年層比率は大幅に減少し、今では市場平均よりもユーザーの年齢層が高めなクルマとなっている。マツダが進めてきた「上質さ」や「スポーティーさ」を訴求するブランド戦略が功を奏した結果ともいえるのだが、一方で、マツダを「画一的なイメージ」で捉える人や、MAZDA2を「クルマ好きが乗るクルマ」「私たちのクルマではない」と考える人が増えてきているのも事実。これが開発陣の分析だ。
コンパクトカーセグメントは裾野の広い市場であり、マツダにとってもMAZDA2はエントリーモデルとしての役割を担う重要なクルマだ。マツダブランドに入ってくる人を増やすには、MAZDA2の間口を広げることが大事になる。そこで提案するのが新グレードのBDだ。毎日のように乗るコンパクトカーだからこそ、自分のセンスや価値観を反映させたいというニーズは、若年層では特に顕著だというのがマツダの見方。BDでは「選ぶ楽しさ」や「自分の好きをマツダとともに創りあげる」面白さで若年層を含む新規顧客の開拓を図る。
上質でスポーティーな従来からの「MAZDA2」も当然ながら健在。写真は新グレードの「スポルト」だ。写真は試作車かつ海外仕様であるため、日本仕様の量産モデルとは異なる点がある。ボディカラーは新色の「エアログレーメタリック」
ここ最近のマツダのブランド戦略は徹底していて、イメージはかなり浸透してきているように感じる。大人っぽくてスタイリッシュなマツダ車はカッコよくて好感が持てるのだが、逆にいえばポップさや軽快感を感じる部分は少なく、人によってはマツダを敷居の高いブランドだと感じていたかもしれない。色の組み合わせによってはマツダらしくない見た目になってしまいそうなBDだが、マツダブランドの間口を拡げるという使命はけっこう重大だ。