京福電気鉄道は27日、国土交通省近畿運輸局へ旅客運賃の改定の認可申請を行ったと発表した。申請した旅客運賃の内容について、普通旅客運賃は大人250円・こども120円。実施予定日は2023年4月1日となっている。

  • 京福電気鉄道が「嵐電」こと嵐山線の旅客運賃改定の認可申請を行ったと発表

同社は「嵐電」の愛称で知られる嵐山線(嵐山本線・北野線)など運行。これまで西院駅における阪急電鉄との結節改良、各駅のバリアフリー化による旅客サービスの向上、老朽化した車両機器・台車の更新、まくら木・電柱のコンクリート化等による保守作業の合理化など、諸施設・設備の更新を進めてきた。一方で、増収施策はもとより、諸経費の削減を図り、経営の合理化といった赤字事業から脱却する努力も続けている。

しかし近年、原材料の高騰による工事費の増加、燃料高騰による電気料金の上昇、最低賃金の上昇や雇用確保維持のために必要な賃金水準維持のための総体的な人件費増加などにより、今後の収支見通しにおいて、現行運賃では収支改善を図ることが困難な状況だという。

今後もバリアフリー化や旅客サービス設備の改善、運転保安度向上、輸送障害の発生頻度減少のための機器更新等の投資を継続的に実施していかなければならず、とくに今後3年における設備投資計画において、回生ブレーキと回生電力貯蔵装置の導入による環境への対応、車齢50年を超える車両の更新、これから急速に進む高齢化に対応するための駅のバリアフリー化について集中的に進める計画としている。

これらの設備投資への対応と、経営の安定化に向けた収支改善を図るため、国土交通省近畿運輸局へ旅客運賃の改定の認可申請を行った。申請した旅客運賃の内容は、普通旅客運賃が大人250円・こども120円。定期旅客運賃は、通勤定期券が大人(均一制)1カ月8,500円、通学定期券が大人(均一制)1カ月4,000円(改定なし)、こどもはそれぞれ半額となる。実施予定日は2023年4月1日とされ、今回の申請が認可となった際、他の乗車券類や詳細の取扱いについて別途に発表するとしている。

今回の運賃改定により、既設停留場のバリアフリー化、回生ブレーキ化改造・回生電力貯蔵装置新設、車両の更新を実施する計画としている。既設停留場のバリアフリー化として、バリアフリー化未整備の停留場のスロープ整備と、嵩上げなどによる段差解消を実現。回生ブレーキ化改造・回生電力貯蔵装置新設に関して、2001形(計2両)を改造して回生ブレーキを設置し、回生電力を有効活用するための回生電力貯蔵装置を新設するとしている。車両の更新も計画しており、車体製造から50年、電動機などの製造から90年以上が経過している車両7両を更新する。