老後2000万円問題などをきっかけに資産運用の動きが高まりつつあります。特に「NISA」や「つみたてNISA」、「iDeCo」の投資先でもある投資信託に興味を持つ方が増えて来ています。しかし、いざ投資してみようと思った際に迷うのが「インデックスファンド」と「アクティブファンド」のどちらで投資を行った方が良いのかという事ではないでしょうか。理想の結果を出すためには、この2種類の投資スタイルの違いをしっかりと理解する必要があります。今回の記事ではインデックスファンドとアクティブファンドについてどちらがおすすめかを解説していきます。

投資信託には2つの種類がある

投資信託(ファンド)とは、多くの投資家から集めた資金をまとめて「投資のプロ」が、株式や債券など投資信託の運用方針にしたがって運用する金融商品です。

投資信託の種類は大きく分けて、「インデックスファンド」と「アクティブファンド」の2種類に分けられ、リスクやリターンに対する考え方、運用方針に大きな違いがあります。

投資信託ではこの2種類の中身を理解していなければ、自分の目的に合った投資は出来ません。

インデックスファンドとは

投資の世界では市場の動きを表す指数の事をインデックスと言い、日本の株式市場を例にすると日経平均株価やTOPIXなどが代表的な市場のインデックスとなります。

つまり、インデックスファンドとは「日経平均株価、TOPIXなどのインデックス(株価指数)に連動する運用を目指す投資信託」の事です。

基本的に日経平均の値動きと同じ値動きになり、組入銘柄も日経平均やTOPIXの構成銘柄を参考にしてるため銘柄の分析や調査といった管理費が低く抑えられます

これを背景に、インデックスファンドを保有している期間に掛かってくる信託報酬や買い付け時に必要な手数料を低くしたり、中には購入手数料が無料である「ノーロード投資信託」を設定している運用会社もあります。

インデックスファンドでは、日経平均株価やTOPIXと同じ指数を目指す銘柄が入っているため1つの商品を買うだけで、市場全体に幅広く分散投資を行うのと同じ効果を得ることが出来ます。

このように、インデックスファンドは一つ一つの銘柄の実績変動が全体に及ぼす影響が小さく、大きな損失が出にくい低リスクな投資手法です。

インデックスファンドは、比較的低コストかつ市場平均のリターンを得られやすいという点が大きな特徴といえるでしょう。

アクティブファンドとは

インデックスファンドとは反対に「日経平均株価、TOPIXなどの指数を上回る運用実績を目指す投資信託」がアクティブファンドです。

アクティブファンドでは指数を上回る実績を出すために、ファンドマネージャー(投資のプロ)が企業の調査を行い実績が出ると判断した銘柄を基に組入銘柄を決めます

綿密な調査・分析を経て組入銘柄を決定するため、管理費が高くなり保有期間中の信託報酬や買い付け手数料が高くなる金融機関が多いです。

また、投資手法の種類としては指数を上回る実績を残すため、結果が出ると予測される銘柄に絞った「集中投資」を行っています。

一つの銘柄の運用実績が全体の実績に大きく影響を及ぼしやすい「集中投資」は、リスクが大きい分リターンも大きくなるのが一般的です。

アクティブファンドでは「集中投資」を行う事や、信託報酬や手数料が高くなりやすいなど比較的高リスクな反面、指数以上のリターンを得られるという点が大きな特徴と言えるでしょう。

どちらがおすすめ?

インデックスファンドとアクティブファンドでは、「リスクとリターン」の考え方が、全く違います。そのため、一概にどちらがおすすめかは判断できず、「投資家自身の目的やタイプ次第」という所が大きいでしょう。

その事を、前提としてそれぞれがどういった人におすすめなのかを紹介しますので参考にしてください。

◆インデックスファンド
低コスト(信託報酬や手数料の低さ)・低リスクで長期的に投資を行って、時間をかけながらより安全に資産形成を行いたい人は「分散投資」であるインデックスファンドがおすすめです。 ※市場のインデックスは短期的に見るとマイナスになる事もあるので、必ずしも低リスクではないという点に注意してください。

◆アクティブファンド
コスト(信託報酬や手数料が高い)をかけリスクが大きくなったとしても、より積極的な投資を行い、短期間で大きなリターンを得たいと考える人には「集中投資」であるアクティブファンドがおすすめです。

上記を参考に自分の投資スタイルや投資信託を行う目的を明確にして選択するようにしましょう。

一方で、投資信託では二つのうち一つの手法だけしか選択できない訳ではありません。
選択に迷う人は、「インデックスファンド」と「アクティブファンド」を組合わせた「ミックス投資」を選択する事も可能です。

低リスクで長期的に結果が出やすいインデックスファンドを中心に置き、余剰資金でアクティブファンドで攻めの投資を行う事もおすすめと言えます。

リスクとリターンに対する考え方が真逆の2つの手法を組み合わせる事で、お互いの短所を補う投資ができるでしょう。

初心者はインデックスファンドがおすすめ

投資はあくまで自分のお金を使う資産運用のため、失敗した時のリスクを考えた上で始める事がとても重要です。そのため、投資初心者の人にはなるべく「インデックスファンド」で投資信託を行うことをおすすめします。

理由としては、上述した通りアクティブファンドと比較して「低コスト・分散投資で低リスク・結果が出やすい」点にあります。

より具体的な理由を何点か述べるので、参考にしてください。

◆株価市況は長期的に右肩上がりである
長期的に右肩上がりになっている株式市場を考えると、目標指数となる日経平均株価やTOPIXの銘柄を参考に構成している「インデックスファンド」の商品は、長期的に投資を行った際、結果が出やすく低リスクといえます。

◆運用手数料と信託報酬が低コスト
日経平均株価の指数に連動して動く銘柄で構成されているため管理費となる運用手数料が低く抑えられます。
長期的に投資を行っていく事を考えると、この二つのコストを低く抑えられるという点は利益を最大化するメリットにも繋がります。

◆運用の手間がかからない
日経平均株価を参考とした銘柄で構成されており、ある程度放置した状態でも市場の動きを基に実績が積み重なるため手間が掛からないため、初心者も始めやすい。

このような理由を背景に、低コスト・低リスクで始められるということから、初心者にとってインデックスファンドはおすすめの投資信託といえます。

反対に、アクティブファンドでは銘柄を選ぶ為の手間や、ファンドマネージャーに支払う手数料が増える点などを考えると、投資経験の少ない初心者にとっては難易度が高いです。

まず投資初心者の方は、リスクを抑えて効率的に結果が出る方法から始めるようにしてください。

まとめ

投資に対して何を求めるかは人それぞれ違います。自分自身の中にある目的を明確にする事で、より理想的な手法を選ぶことが出来るでしょう。投資信託においても、考え方の違う「インデックスファンド」と「アクティブファンド」という2種類の方法が存在します。

自分自身にとってどちらが合っているか知りたい人は、ぜひ今回の記事を参考にしてください。 また、投資は自分のお金を使って行うという事を忘れず「リスクを意識した上で」行うようにしましょう。自分自身で行う自信が無い人は投資とお金のアドバイザーであるファイナンシャルプランナーへ相談することをおすすめします。

この記事を執筆したファイナンシャルプランナー

小峰一真(こみねかずま)
所属:株式会社マネープランナーズ
2級FP技能士/証券外務員2種/住宅ローンアドバイザー| 明治大学政治経済学部卒業

大手国内証券会社、外資系保険会社を経て、前職では独立系FP事務所に創業から携わっていました。 資金計画作成、住宅購入相談、資産運用、保険相談など全般的に得意で、セミナー講師も担当しています。 趣味はゴルフと読書、スポーツ観戦(横浜Fマリノス、明治大学ラグビー部を応援!)です。