老後資金や教育資金の準備など将来に向けて、積立投資を検討されている方も多いのではないでしょうか? 今回は、老後資金を準備する目的で、毎月3万円の積立投資をして、65歳で3,000万円貯めるために、どのような金融商品があるのか、解説していきます。

利回りと複利の違いについて

利回りとは、投資元本に対して1年あたりの利益の割合を表した数値です。例えば、100万円を金融商品で5年間運用した結果、50万円の利益を得ることができた場合の利回りは、次のように計算することができます。

➣利益(50万円)÷投資額(100万円)÷運用年数(5年)×100=利回り(10%)

投資をするうえで、「利回り」とあわせて抑えておきたい用語は、「単利」と「複利」です。同じ利回りでも、単利か複利かで投資の受取額は大きく変わってきます。

単利とは、投資元本に対してのみ利息がつくことです。元本部分は預けた当初の金額から増えることはありません。

一方で、複利は、運用で得た利息を再び投資することです。単利と違い、利息が出るたびに元本部分も増えていくため、時間をかければかけるほど、投資の収益も大きくなります。

40年で3000万円貯めるために必要な利回りは?

例えば、老後資金を準備する目的で、25歳から毎月3万円の積立投資をして、65歳で3000万円貯めるには、複利で何%の金融商品に投資をする必要があるのでしょうか?

答えは、利回り3.37%です。

利回り0%で3万円を40年間積み立て準備できるお金が、1440万円ということ考えると、将来必要なお金をどの金融商品に預けることが大切なのかは、一目瞭然です。

貯められそうな金融商品は?

それでは、複利の効果を活かしながら、将来、まとまったお金を準備できるような金融商品にはどんなものがあるのでしょうか?代表的な金融商品や制度を3つご紹介します。

投資信託

投資信託とは、投資家から集めたお金をひとつの大きな資金としてまとめ、運用のプロであるファンドマネージャーが株や債券などに投資をして、その運用成果に応じて、投資家に利益を還元する金融商品です。

積立投資の投資信託には大きく「分配型」と「再投資型」の2種類あります。 投資信託で得た利益を分配金として毎月支払われるのが「分配型」、運用益を受け取ることなく、そのまま再投資へと回すのが「再投資型」です。

投資信託で長期間運用をする場合、複利の効果を最大限活かすには、「再投資型」の投資信託を選ぶとよいでしょう。また、毎月ムリのない範囲で、一定額を積み立てながら、ボーナス時などにまとまったお金を投資することも、負担なく運用するポイントです。

ただし、投資信託を解約した時の受取額(投資元本+運用益)は、投資信託の運用実績に応じて左右されるため、運用次第では投資元本が目減りする可能性もあるため、投資先は慎重に選びましょう。

iDeCo(個人型確定拠出年金)

iDeCoは、自分で決めた金額を積立・運用し、60歳以降に受け取る制度です。

iDeCoの投資先は、収益性の低い外貨預金から、複利の効果が期待できる株式型投資信託や債券型投資信託などさまざまです。加入期間中は、掛金に応じて、所得税と住民税の節税ができるため、複利の効果とあわせて、税金の負担を減らしたいと考えている方にとっては、非常にメリットがある制度です。

ただし、積み立てたお金は原則、60歳までお金が引き出せないなど、資金の用途は限られるため、注意が必要です。

つみたてNISA・NISA

つみたてNISAとNISAは、どちらも年間で一定額の範囲で購入した金融商品には、運用益に対して、税金がかからないという特徴があります。

つみたてNISAとNISAの違いは、「投資先の数」と「年間の投資の上限額」、「非課税期間」です。

NISAは、投資先の数は2000本以上、年間の投資の上限額は120万円、非課税期間は5年間です。一方で、つみたてNISAは、投資先の数は200本以上、年間の投資の上限額は、40万円、非課税期間は20年間です。

複利の効果を活かしながら、より長い期間、一定額をコツコツ運用していく方にとっては、非課税期間が長い「つみたてNISA」の方が向いているでしょう。

まとめ

老後資金や教育資金など将来に向けてまとまったお金を準備するために、金融商品を活用して複利で運用するのがおすすめです。ただし、投資先の運用実績によって将来の受取額が大きく変わる点や、金融商品毎にメリット・デメリットがあるため、ご自身の投資の目的に照らし合わせて投資先を選択するとよいでしょう。

この記事を執筆したファイナンシャルプランナー

倉知洋平(くらちようへい)
所属:株式会社マネープランナーズ