東京都美術館で、「レオポルド美術館 エゴン・シーレ展 ウィーンが生んだ若き天才」が始まりました。オーストリア美術を代表する最も重要な画家の1人であり、28歳で波乱の生涯を駆け抜けた天才画家エゴン・シーレと、同時代の芸術家たちの作品が、約30年ぶりに日本に集結。その強烈な才能を目撃する貴重な機会となっています。

1890にオーストリアに生まれたエゴン・シーレは、世紀末を経て芸術の爛熟期を迎えたウィーンに生き、人間の内面や性を生々しく描き出しました。本展を担当する学芸員の小林明子さんはシーレについて、「文字通り自分を見つめ、自画像を描くことを通して自分とは何か、そのアイデンティティを探求し続けた画家」と解説します。

そんな彼の代名詞ともいえるのが、本展のキービジュアルにも使われている「ほおずきの実のある自画像」。この絵はどこかで目にしたことがある、という人はけっこう多いのではないでしょうか。肩を斜めに身体をねじった独特のポーズで、挑発的な、それでいて怯えているともとれる視線をこちらに向けるシーレ自身の姿は、見る者の心を掴んで離さない強烈なインパクトを放っています。

  • エゴン・シーレ「ほおずきの実のある自画像」1912年 レオポルド美術館蔵

ナイーブな感受性をもって内面を見つめ、“自分は何者か”を問い続けて作品に昇華したシーレは、自画像や裸体画だけではなく、実は風景画もたくさん描いていました。

  • エゴン・シーレ「モルダウ河畔のクルマウ(小さな街Ⅳ)」1914年 レオポルド美術館蔵

「単に風景を写生したというよりも、シーレの内面、感情、そのときの心象が映し出されたような風景画となっています。平面性や装飾性を強調するような新しい表現もみられます。またシーレといえばドローイングもみどころで、16歳で美術アカデミーに合格したというエピソードがあるように、非常に才能に恵まれた画家でした。鉛筆や水彩で紙に描かれたドローイングはシーレの“光る才能”を、説得力を持って伝えるものであり、ひとつの作品としても存在感を放ちます。その才能を間近に捉えてほしい」と小林さん。

  • エゴン・シーレ「頭を下げてひざまずく女」1915年 レオポルド美術館蔵

第一次世界大戦後、シーレは“ウィーン美術界の新たなスター”として絶頂期を迎えますが、1918年に妻とともにスペイン風邪に罹り、28歳で早すぎる生涯を終えました。「戦争が終わったのだから、ぼくは行かねばならない。ぼくの絵は世界中の美術館に展示されるだろう」という言葉が、記録に残る最後の一片だそうです。

「シーレの殿堂」と称されるレオポルド美術館の所蔵品を中心に、シーレの油彩画、ドローイングなど50点に加えて、グスタフ・クリムトやオスカー・ココシュカ、リヒャルト・ゲルストルといった同時代の作家たちの作品120点が大集結した本展。この貴重な機会に、ぜひ世紀末のウィーンに登場した若き天才の作品に触れてみてはいかがでしょうか。

  • ポスター 各2,860円

■information
「レオポルド美術館 エゴン・シーレ展 ウィーンが生んだ若き天才」
会場:東京都美術館
期間:4月9日まで(9:30~17:30、金曜日は20:00まで)/日時予約制/月曜休
観覧料:一般2,200円、大学生・専門学生1,300円、65歳以上1,500円