文化財活用センター〈ぶんかつ〉と東京国立博物館(トーハク)は1月31日から、通年で鑑賞できる展示室「デジタル法隆寺宝物館」を、東京国立博物館 法隆寺宝物館に開室する。

  • 「デジタル法隆寺宝物館」メインビジュアル

同展示室では、常時展示がかなわない法隆寺ゆかりの名宝を、デジタルコンテンツや複製でくわしく鑑賞、体験する展示室。展示は半年毎に展示内容を変えて実施する。1月31日の開室後半年間は、法隆寺献納宝物(東京国立博物館蔵)である国宝「聖徳太子絵伝」を、8月1日からは「法隆寺金堂壁画」(奈良・法隆寺蔵)をテーマに展示する。

1月31日から半年間開催する国宝「聖徳太子絵伝」のデジタルコンテンツ<8Kで文化財 国宝「聖徳太子絵伝」>では、かつて奈良・法隆寺の絵殿という建物の内側を飾っていた国宝「聖徳太子絵伝」の高精細画像を、大型8Kモニターで映し出す。

「聖徳太子絵伝」は、1面およそ縦1.9m×横1.5mの画面を横に並べた計10面からなる大画面絵画法隆寺献納宝物。数ある聖徳太子絵伝のなかでもっとも古く、初期やまと絵の代表作にあげられるが、長い年月を経て画面のいたみがひどく、肉眼で細部まで鑑賞することはできないという。

  • 8Kで文化財 国宝「聖徳太子絵伝」>操作画面

デジタルコンテンツ<8Kで文化財 国宝「聖徳太子絵伝」>は、同作品の高精細画像を、大型8Kモニターに映し出すアプリケーション。鑑賞者自身の操作により、2面で36億画素という画像データがリアルタイムに処理され、70インチ8Kモニターに表示される。拡大することで、肉眼では見えない聖徳太子の表情までも、詳細に確認することができる。

  • 11歳、雲のように空に浮かぶ(第1面)/国宝「聖徳太子絵伝」(部分)

国宝「聖徳太子絵伝」原寸大グラフィックパネル(複製)も展示。

  • 国宝「聖徳太子絵伝」原寸大グラフィックパネル

また、飛鳥時代に大陸から伝来した伎楽で使われた仮面や装束の本来の姿を再現して展示する。現存する伎楽面のほとんどが奈良時代の作であるのに対し、法隆寺献納宝物の伎楽面には、それより古い飛鳥時代の作が含まれている。東京国立博物館と文化財活用センターは、現存する資料から色やかたちについての検討を重ね、本来の姿を再現した伎楽面と伎楽装束を製作した。

  • 復元模造 伎楽面・伎楽装束 ※半年毎に展示替、ケース内展示

総合文化展観覧料は、一般1,000円、大学生500円、高校生以下および満18歳未満、満70歳以上は無料。

8月1日からは「法隆寺金堂壁画」をテーマに、臨場感あふれるグラフィックパネル(複製)と、大型8Kモニターで絵の詳細まで自在に鑑賞できるデジタルコンテンツを展示する。