トレーニングブランド『SIXPAD(シックスパッド)』は、“ランナーがより速く走るために”をコンセプトとする「SIXPAD RUNNING METHOD」を日本ランニング協会と共同開発。

これを記念し、12月14日に日本ランニング協会の応援団長を務める瀬古利彦氏が登壇する「SIXPAD RUNNING METHOD メディア発表会」が新豊洲Brilliaランニングスタジアムで開催された。

■効率的にパフォーマンスを向上させるトレーニングメソッド

SIXPADは独自の「CMM Pulse(シーエムエムパルス)」を搭載するEMS(筋電気刺激)商品。安全性とトレーニング効果を両立するMTG社の代表ブランドだ。

同社の松下剛社長は冒頭挨拶で、「当社の数ある独自ブランドの中で、SIXPADはトップアスリートから寝たきりの患者さんまで、全ての人に生き生きとした人生を実現することをミッションとする商品です」と紹介。

「今日は体幹、腹筋・背筋・腹斜筋を同時に鍛えることができる『コアベルト』という商品を身につけてランニングする『ハイブリッドランニング』という新しい体幹トレーニングのメソッドを紹介します。有酸素運動をしながら同時に筋トレができるというこの新しいメソッドが、日本から世界に広がることを期待しております」と述べ、SIXPADブランドと日本ランニング協会のコラボによる共同開発に至った経緯を次のように語った。

「ランナーにとって最後まで力強く正しいフォームで走り抜くための体幹の強化が最も重要とされています。そこで体幹を効率的に鍛えられ、限られた時間の中でパフォーマンスを最大限に向上させるメソッドの共同開発をスタートさせました」

1980年代より日本のマラソンブームを牽引してきた第一人者で、3度オリンピックの日本代表に選出されたマラソン界のレジェンド・瀬古利彦氏は、本メソッドについて「これが現役時代にあったら、私(フルマラソン)2時間切っていましたね(笑)」とコメント。体幹の重要性を語った。

「体幹が弱いとどうしてもフォームがブレて、とくに2時間以上走るようなフルマラソンなんかでは、それがケガにつながったりする。このメソッドでより効率良い走りにつながるんじゃないかなと思いますね」

■ランナーにとって重要性が増している体幹トレーニング

SIXPADブランドマネージャー・熊崎嘉月氏は本メソッドで使用するプロダクト「SIXPAD Powersuit Core Belt」の特徴を紹介した。

「私たちのこのSIXPADに搭載されているEMSという技術は、直接筋肉に電気を流すことで筋肉を弛緩収縮させて他動的に筋肉を鍛えられる技術です。このEMSで腹直筋・腹斜筋・背筋と体幹を鍛えるコアベルトには、『エレダイン』という特別な布製の電極を搭載されています。この布製電極のエレダインは、より多くの方にこのEMSをジェルシートなしで使用することができる非常に画期的な技術です」

従来の多くのEMSはジェルシートが必要だったが、布製電極の技術により通常のアパレルのように着用でき、洗濯も可能にしている。

「また、大きく20Hzと4Hzの2つのモードを搭載していることもコアベルトの特徴です。20Hzは体幹を効率的に鍛える筋肥大モード。4Hzのモードはランナーのウォーミングアップやストレッチ、クールダウン用のモードです」

続いて、本メソッドの共同開発者である日本ランニング協会マスターインストラクター・園原健弘氏は、近年さらにランナーのフィジカルトレーニングや体幹強化の重要性が増している現状を解説した。

1992年バルセロナオリンピック競歩日本代表選手の園原氏は、競技者としての経験をベースに健康づくりやアスリート指導などの幅広い分野で現在活躍している。

「近年、ランニングシューズが地面反動をとても効率よく受けられる厚底になり、ランナーに求められる身体機能も変わってきました。反発力のあるシューズを履きこなし、そのメリットを生かすには、トランポリンの上を弾むような安定した体幹が必要で、選手の故障する箇所もお尻や大腿部など身体の中心部に変わってきています」

このほど開発されたメソッドは、コアベルトを着けてランニングする「ハイブリットランニング」。具体的なプログラムとしては、4Hzモードで30分間のジョギングやウォーキング、集中的に鍛えたい場合には20Hzモードで23分間のランニングを推奨する。

「4Hzモードで30分間のジョギングやウォーキングは、特に朝トレーニングが効果的です。睡眠時は長時間身体を動かしていない状態のため、早朝は筋肉が固まっていたり、関節の可動制限が生じていたり、身体の歪みを助長させやすい状態になります。そこでコアベルトを巻き、体幹部を意識しながらゆっくりランニングすることがポイントとなります」

20Hzモードで筋肉を集中的に鍛えながら、スワイショーや切り返しステップを行う「体幹エクササイズ」、ロングブレスやストレッチブレスを行う「呼吸筋エクササイズ」もトレーニングに取り入れると効果的なようだ。

「体幹トレーニングは複雑な動作になりがちで、種目に応じて必要な体幹の要素が違うので、アスリートランナーにとっても継続が難しいものでした。日々のトレーニングで例えばスクワット100回といった量の管理は比較的簡単な一方、動きや負荷の管理は難しいわけですが、今回のメソッドは簡単で効率的。ただ着るだけなので継続のしやすさもポイントです」

■量・負荷(強度)・動きがセットになった練習をしやすい

本イベントには3年ぶりのシード権獲得を目指し、新春の大学駅伝に向けて本メソッドをトレーニングに導入している駅伝界の強豪「明治大学 体育会競走部」が映像で出演。メソッド導入を決めた理由と手ごたえを紹介するシーンもあった。

明治大学競走部総監督も務める園原氏は、「実際の競技パフォーマンスの評価はまだこれからですが、コアベルトを装着するだけで走り方に対する意識が変わり、故障が減った感覚がすでにあります。長期的にはパフォーマンス向上がかなり期待できると思います」とトーク。中にはコアベルトを巻きながら大学の授業を受ける学生選手などもいるという。 会の後半では瀬古氏、園原氏、熊崎氏によるトークセッションを実施。昔と今のランニングの違いについて瀬古氏は、「シューズが変わったから走り方が全然変わってしまった。僕は今のシューズだと困る。昔は踵からつけって言われていたけど、今は踵つかないで走るから」と述べ、「実際に3〜4日前からコアベルト使っているけど、それだけなのに筋肉痛がすごい」と明かしていた。

世界的なランナーになるには量・負荷(強度)・動きをセットで鍛えることが大切なようで、園原氏は「4Hzと20Hzと負荷の設定が自分で簡単にできて、動きも入れたトレーニングができるのが大きいです。おそらく瀬古さんは先天的に動きの部分で非常に優れたものを持っていたんですが、生まれつきの才能ではなく、科学の力でトップ選手を育てていきたいという思いがあります」と、改めて本メソッドのポイントを解説。

「競技のパフォーマンスを上げることも大事ですけど、ケガをしない身体をつくって日常を元気に生きることが第一。いいトレーニングにはケガをしない身体づくりが必須ですし、日本ランニング協会としてはランニングを通じて、健康で元気な身体づくりを支えていきたいなと思います」と、メッセージを送った。