俳優の高橋一生と橋爪功が親子役で出演するテレビ朝日系新ドラマ『6秒間の軌跡~花火師・望月星太郎の憂鬱』が2023年1月(毎週土曜23:30~)にスタートする。ヒロイン役は女優の本田翼が務める。

  • 左から本田翼、高橋一生、橋爪功=テレビ朝日提供

ドラマオリジナルの今作は、地方都市で代々続く煙火店(=花火店)を舞台に、死んだはずの父・望月 航(橋爪)が息子・星太郎(高橋)の前に現れるという、花火師親子の不思議な日常を描いたファンタジーホームコメディ。新型コロナの影響で、夏の花火大会が中止となる中、個人がオーダーする花火を始めようと、航は何度も星太郎に提案していた。しかし星太郎は手間やデメリットを考え乗り気ではない。ある日航が倒れ、「すまん」という言葉とともに、息を引き取ってしまう。そして冬。星太郎のもとに「あなたのためだけに花火を打ち上げます」と書かれた手書きのチラシを手にした水森ひかり(本田)が「花火を上げて欲しい」と訪ねてくる。

コロナ禍でイベントが減り、大きな打撃を受けた全国の花火業者。打ち上げ花火は個人でもオーダー可能で、星太郎のもとにはさまざまな依頼が。花火を打ち上げたくなるほどの、人生の節目を迎えた人々――そこにどんなドラマが待っているのか。

2021年上演の舞台『NODA・MAP 第24回公演 フェイクスピア』で第29回読売演劇大賞最優秀男優賞を受賞するなど、舞台やドラマ、映画、CMとさまざまなフィールドで活躍している高橋。今回は『フェイクスピア』で共演、俳優生活60年となるベテラン・橋爪と2人で抱いていた「一緒にドラマをやりたい」という思いが実現することに。

高橋が「橋爪さんがやりたいと言ってくださっているというのがとてもうれしかった」と語ると、橋爪も「(高橋)一生は『面白い役者だな』と思っていました。ドラマなどでも、見かけるたびに違う面を見せていますから」とコメント。また、今作がテレビ朝日ドラマ初出演となる本田が演じるのは、人生の岐路に立ち、星太郎に弟子入り志願する謎の女性・水森ひかり。高橋、橋爪との共演について「私からすると“別次元の存在”。ずっとテレビで拝見していたので、ご一緒できるのがとても光栄ですが、まだ実感がないというのが今の正直な気持ちです」と話した。

脚本を務めるのは『モコミ〜彼女ちょっとヘンだけど〜』(21年/テレビ朝日系)で向田邦子賞を受賞した橋部敦子氏。好テンポで繰り出される会話劇の応酬が見どころとなっている。

コメントは以下の通り。

■高橋一生(望月星太郎 役)

今回は、ヅメさん(橋爪)がやりたいと言ってくださっているというのがとてもうれしくて。共演者の方やスタッフの方が「一緒にやりたい」と言ってくださるのは、僕としてはとてもありがたいことですから。今回は、花火にまつわるストーリーということで、花火師の方に教えてもらいながら、花火作りを体験させていただきましたが、あの細かい緻密な作業は嫌いではなかったです。実はコロナ禍で、なかなか花火大会も行えず、花火師の方々はどうされてらっしゃるのか、僕なりに気にかけていました。それもあり、もっと練習して、お恥ずかしくない形で皆さんに花火師としての姿を見ていただければと思います。昔から花火が好きで、地元なので神宮の花火大会は小さいころから楽しんでいました。どこから見るのが一番いいのか、友人とスポットを探したりしましたね。昨今は、祭囃子も花火の音もなかなか聞けなく、とても寂しいなと感じていました。

また今回の橋部さんの脚本は、会話劇がメインで、演劇の脚本を読んでいる印象でした。ヅメさんは相手の呼吸をすごく汲んでくれる方なんです。人の動向を常に見ている感じがお芝居でも見て取れるんですが、今からどのようなやり取りが生まれるのかとても楽しみです。僕とヅメさんの親子に関係してくるヒロイン・ひかりを演じられるのが本田翼さんですが、なぜか「物静か」なイメージを抱いていました。少し影のあるひかり役にもピッタリだと思いますし、初めての共演を楽しみにしています。

ある意味で、忘れ去られてしまったのか、一周回って新しいのか……『時間ですよ』や『寺内貫太郎一家』のような、古き良き時代のドラマを彷彿とさせながらも、今の人にも時代にも合って、楽しめる会話劇、人の機微をちょっと風変わりな視点で見せていくホームドラマになっていると思います。アイデアも出しながら、共演者、スタッフの皆さまと良いと思えるものを信じて作っていければと思います!

■橋爪功(望月航 役)

高橋一生と何かやりたい、という話をプロデューサーと話していたんです。出発点は、一生とドラマをやりたかったという思いです。彼とは昨年、舞台『NODA・MAP 第24回公演 フェイクスピア』でも一緒でしたが、それ以前からも「面白い役者だな」と思っていました。ドラマなどでも、見かけるたびに違う面を見せていますから。今回は、ファンタジー要素もあり、非常にストーリーがよくできていると思います。だからこそ、演技に関してもいろいろ試すことができる。そのあたりは、一生がいろいろとアイデアを出してくれると思っています(笑)。

橋部さんの脚本は……セリフを覚えられるかな(笑)。一生との掛け合いも楽しみですね。後半に行くほど、どんどん話が広がっていくのも、面白みだと思っています。そこに、本田翼さんが入って来られて……僕も一生も口が悪いんで、それに耐えていただけるのかだけ心配ですね(笑)。

花火は、とても好きです。ぼーっと見ているだけでもいいものです。劇中のセリフにも出てくるんですが、刹那的な部分も魅力ですよね。

この作品が回を重ねるごとに、どうなっていくのか僕自身も楽しみにしていますし、ぜひ、毎回の展開を楽しみにしてほしいですね。頑張って工夫していきます……主に一生が工夫してくれると思います(笑)。面白くなるも、つまらなくなるも、すべて一生にかかっていますから(笑)。

■本田翼(水森ひかり 役)

このお話を最初にお聞きした時の感想は、「ひかり役、なんで私に声をかけてくださったんだろう」です(笑)。高橋さん、橋爪さんというお2人に私をキャスティングするというチャレンジな作品に応えられるよう頑張りたいと思います。お2人とも初共演ですが、私からすると「別次元の存在」です。ずっとテレビで拝見していたので、ご一緒できるのがとても光栄ですが、まだ実感がないというのが今の正直な気持ちです。橋部さんが手掛けられた脚本も、人間味のある、日々の小さなことが光り輝いているというか、それが積み重なってドラマとなっていく描き方が繊細で、読んでいてとても楽しかったです。ドラマならではの、非現実的なこともあり、その「日常と非現実とのふり幅」も楽しんでいただけると思います。

私が演じる水森ひかりは、一見、気になったことは何でも口に出すタイプですが、実は心に何かを秘めているちょっとミステリアスな女性です。またチャレンジ精神と素直な面もありそこは共感できる部分です。星太郎に対して鋭く突っ込んだりしますが、まだ自分自身のことは、はっきりとわかっていないという印象を受けました。

花火は、ドーン! という音が好きです。まさに夏の風物詩ですよね。私が花火をお願いするならば、誰かへの感謝。「ありがとう」といったメッセージを込めて、夜空に打ち上げたいです!

テンポの速い会話劇……いったいどうなるのか、自分でもまだわからない部分がありますが、観てくださる方々にとって土曜の夜の、ささやかな楽しみになれればうれしいです。

■中込卓也プロデューサー

言い出しっぺは橋爪さんでした。舞台で共演し、意気投合し「一生とドラマをやりたい!」と。その言葉を託された私は、キューピット宜しく一生さんの元へ。「そんな光栄なことはないです。是非」との回答。相思相愛確定で、かくしてこのドラマは動き出しました。

一生さんとお話をするうちに、その独特な死生観に魅了されました。そして、一生さんから「花火師ってなんかいいですよね?」と。おりしもコロナ禍で苦境に喘ぐ花火師さんたちの奮闘をニュースで見たばかりで……亡くなった父親と暮らす花火師の話が出来上がりました。

言うまでもなく屈指の演技者であるお2人に、CM界のトップランナーであり絶大なる人気をほこる本田翼さんが参戦! 脚本は昨年の同枠『モコミ』で向田邦子賞を受賞した橋部敦子さん。さあ、どうだっ! って感じです。土曜の深夜に、割とイイ大人たちが真剣に遊んでみようと思っています。真剣に遊ぶって、大変です!