フジテレビのドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』(毎週日曜14:00~ ※関東ローカル)で昨年10月17日に放送された『ボクと父ちゃんの記憶 ~家族の思い出 別れの時~』が、ABU(アジア太平洋放送連合)が主催するABU賞で審査員特別賞を受賞した。

  • 演出・プロデューサーの山田貴光氏(左)とチーフプロデューサーの西村陽次郎氏=フジテレビ提供

ABU賞は、ABUに加盟する放送機関が制作したテレビ・ラジオ番組の中で優れた作品に贈られるもので、今年は、ラジオ部門、テレビ部門、デジタルメディア部門を合わせて330作品の応募があった。審査員特別賞は、最終選考に残ったすべての番組の中から、最終審査員によって選ばれるもので、その題材、完成度、制作価値によって、審査員に特別なインパクトを与えた番組を表彰。必ずしも毎年授与されるわけではなく、最終審査員が適切と判断した場合のみ授与され、フジテレビは初めての受賞となる。

『ボクと父ちゃんの記憶 ~家族の思い出 別れの時~』は、いわゆる「ヤングケアラー」と呼ばれる、緑に囲まれた千葉・睦沢町で暮らす高校3年生の大介さんを追った作品。大介さんの父・佳秀さんは、50歳の時に、若年性アルツハイマー型認知症と診断された。それから15年、大介さんは母・京子さんと妹と3人で、徐々に記憶が薄らいでいく父の介護を続けてきたが、それがついに“限界”を迎えようとしていた。介護施設へ入所させれば、毎日家族と顔を合わせることでようやくつながっている家族の記憶は薄まり、また認知症が一気に進行してしまうかもしれない…。

そんな悩みを抱えながら若年性認知症の父の介護で揺れる息子と、その一家のひと夏を見つめたドキュメンタリーで、かつてはスーパーマンのような存在だった父の記憶から家族の思い出が消えてゆくという、誰の家族にでも起こりえる苦悩と現実を描いたことが、審査員特別賞という形で評価を受けた。

日本時間29日夜にインド・ニューデリーで開催された授賞式に出席したチーフプロデューサーの西村陽次郎氏(フジテレビ)は「数ある番組の中から、特別な、そして栄誉ある賞をいただきありがとうございます。日本の片隅で生きる、一つの家族を描いた番組が、日本国内だけでなく、多くの国の人々の心に届き、高い評価を得たことは、本当にうれしく思います。この番組は、若年性認知症になり、徐々に記憶が消えてしまうお父さんとその家族の物語です。大好きなお父さんの中から“家族の記憶”は消えていったとしても、家族の愛は変わることがないということを、この一家は教えてくれます。番組を通じて、認知症や、その介護をする家族への理解が深まることを願っています」とコメント。

演出・プロデューサーの山田貴光氏(ドキュメンタリーSAMURAI)は「特別で栄誉ある賞をいただきありがとうございます。国を越え多くの人々の心に届いたことに感謝。まずこの受賞について、林さん一家に喜びをお伝えしたいと思います。林さん一家と出会ったのは8年前。当時、11歳だった息子・大介さんは、父の認知症に “頑張ってボクが父ちゃんの病気を食い止める”と語っていました。そして、17 歳の夏。ヤングケアラーの大介さんと再会。変わらぬ父への思い…しかし、認知症の父と家族は、涙の別れのときをむかえました。この作品を通して、認知症とその家族へ理解が深まること願い、日本の片隅で生きる“深い愛で繋がった林さん一家”を伝えられたことに誇りに思います」と話している。

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