水の流れが立体的に交錯する、ちょっと歴史を感じる光景。ここはどこなのでしょうか。なんで街中を水が行き交っているのでしょうか。

何ともたまらない水路の立体交差! 懸樋から越流させつつ、下の水路も分岐点となっている五差路。

  • (Twitter いこ~@e_ikuon より引用)

ここは山形県長井市。最上川の上流域に位置する長井市は、江戸時代に最上川舟運(もがみがわしゅううん)で栄え、水と共に発展してきた歴史を持ちます。長井の「井」は水の集まるところを意味するそうで、文字どおり街中に多くの小河川が流れ、用水路が通っています。

街中には水の流れが交じりあう場所がありますが、写真のように五差路となり、立体的に交錯する場所は珍しいかも。地上にかけ渡して水を導く樋(とい)を懸樋(かけい)と言いますが、緑豊かな景色の中で水の流れが行き交い、あふれ出す様子は、なんとなく郷愁を誘いますよね。投稿者であるいこ~さんをはじめ、多くのフォロワがこの光景に魅了されたようです。

「エモい。エモすぎる」「水の都ですね〜」「歴史を感じさせる場所ですね」「川の流れが生活と一体化している光景を想像します」「私もこういうの好きです 見つけるとワクワクしますね」「現役懸樋を見れるとは」「水を公平に分けるための先人の知恵? 」など。投稿者であるいこ~さんにお話を伺いました。

■投稿者さんに聞く

……この場所は山形県長井市のどこでしょうか。

長井市内のとある公共施設の裏手になります。案内板があるわけではないので、知らないとわかりにくいかもしれません。ちなみに、施設敷地内なので、見学する際には業務の支障にならないように、また近くの民家に迷惑にならないように気を付けた方がいいかもしれませんね。

……なぜこの土地を訪問したのでしょうか。

家族旅行で山形に来ていました。長井市は以前一度通ったことがあり、古い町並みが残っているのと、観光協会のホームページで「水のまち」とPRしていて、水路や水辺が好きな私は興味がありました。呉服商の建物が保存された「丸大扇屋」や町中に点在する近代建築など家族も興味を持ちそうなスポットもあったので立ち寄りました。ただ、この水路の立体交差は妻や娘は興味がなかったので、一人で探しに行きました。

……この五差路を発見した時の最初の印象は?

立体交差の写真は観光協会のホームページにあり、その写真をもとに探していたのですが、五差路になっているとは気づいておらず、地図を頼りに水路をたどってこの場所を見つけたときは感動しました。懸樋(水路の橋)から水が流れ落ちるこの立体感がたまらなく素敵な光景だと思いました。

……この光景が魅力的な理由はどこにあると考えますか。

水路の立体交差自体は、実はそれなりにあるのですが、上の水路の懸樋(水路の橋)からオーバーフローさせているのは珍しく、下の水路の分岐も含めてとても立体感を感じます。構造的な面白さや、このような水路を通した背景など考えるとワクワクします。

各地の水路は、コンクリート化されフェンスで囲まれていたり、市街地では暗渠化されていたりするところが多い中、昔からの風景に近い姿で残っているのも素敵だと思いました。

▼何ともたまらない水路の立体交差! 懸樋から越流させつつ、下の水路も分岐点となっている五差路。