長江監督と言えば、“お蔵入りになっていたVTRを再編集した上で紹介する”という設定の『放送禁止』シリーズなど、フィクションをドキュメンタリー映像のように演出する“フェイクドキュメンタリー”の先駆け的な人物で、常に視聴者に新しい映像体験を提供してきた。

「『放送禁止』も『アイゾウ』もそうなんですが、やっぱり他で見たことないようなものを作りたいなっていうのがまず動機としてあるんです。『放送禁止』は放送当時、“フェイクドキュメンタリー”という手法が他ではあまりなくて、ドラマのシナリオを考えるんだけど、それをドラマっぽくないドキュメンタリーとして撮ったら面白いんじゃないか?とか、そういう発想で作っていきました。だから『アイゾウ』は『放送禁止』と逆ですよね。『放送禁止』は全然なかったことを本当っぽく見せて作るんですけど、『アイゾウ』は本当にあったことを、ドラマとしてエンタテイメントに見せるっていう方法ですから。そういう番組は、今までなかったんじゃないかなと思っています」

  • (左から)津田寛治、夏子、水石亜飛夢 (C)フジテレビ

■「結末を見るとめちゃめちゃ怖くなると思います」

22日放送の第7話から最終エピソードに入るが、その見どころを聞くと、「いろんな事情があって、『世界法廷ミステリー』ではできなかったエピソードなんですけど、とにかく見てほしいです。傑作なんです」と自信。「これまでの『アイゾウ』とはバージョンが違って、家族の物語なんです。恐ろしいけどリアルで、結末を見るとめちゃめちゃ怖くなると思いますよ」と語る。

そして、『放送禁止』シリーズなどでも施されていたドラマ全体の“仕掛け”が期待される。今作でも、主人公の安座間がストーカーしたという警視正・村瀬を伏せていたり、時折謎の監視カメラ映像が挿入されたり、“何かありそう”な要素が散りばめられているが、「アイゾウでも、その仕掛けがいつか明かされるときが来ると思いますよ」と予告した。

そして、このドラマの今後についても、「スタッフもキャストもみんなノリノリでやってくれていて『続編やりましょう』と言ってくれるので、この後も何か、展開していくといいなと思っています。ネタは無限にありますから、『相棒』みたいに半年とかできますよね(笑)」と構想を披露してくれた。

物語の行方はもちろん、安座間と村瀬の謎と、予告してくれた“仕掛け”、そしてまだまだ続きそうな“アイゾウ劇”に期待したい。

●長江俊和
1966年、大阪生まれの映像作家、小説家。深夜ドラマ『放送禁止』シリーズは熱狂的な支持を受け、3作が劇場公開。小説『出版禁止』『掲載禁止』『検索禁止』(新潮社)、『放送禁止』『恋愛禁止』(KADOKAWA)などの、「禁止」シリーズは累計30万部を突破している。そのほか、映画『パラノーマル・アクティビティ第2章 TOKYO/NIGHT』『不安の種』、テレビドラマ『東京二十三区女』『富豪刑事』『歌のおにいさん』『世にも奇妙な物語「午前2時のチャイム」』『学校の怪談「アサギの呪い」』などを手がける。