皆さんは、4年ほど前まで放送されていたNHK教育テレビ番組「スーパープレゼンテーション」を覚えていらっしゃるだろうか。米国のプレゼンイベント「TEDカンファレンス」の、各界のトップランナーによるプレゼンを、番組ナビゲーターがその背景とともに解説する語学教養番組だ。先端技術や、その時代の問題を鋭い視線で問う斬新なトーク術に魅入った人も多いはず。
そのTED(※)が、世界65以上の国と地域で約600軒以上のホテル&リゾートを展開する「マリオット・ホテル」とパートナーを結んで、コラボルーム「没入体験型ゲストルーム(The Curiosity Room(キュリオシティ・ルーム) by TED)」を期間限定で作った。2022年は、サンフランシスコ、バンコク、ロンドンの3地域で体験できるが、今回、10月後半に「バンコク・マリオット・マーキス・クイーンズパーク」のTEDルームを体験してきたのでご報告したい。
今回の部屋を作った目的の1つは、マリオット・ホテルがTEDとのパートナーシップを次のレベルへと進化させること、そしてTEDの教育プログラム「TED-Ed」から学ぶ楽しみを引き出し、それをプラスして今までにない新しいホテルサ-ビスを提供することだ。
ワクワクが止まらないTEDルームへ
ホテルに1室しかないTEDルームのドアを開けると、壁いっぱいに描かれたバンコクのランドマークのイラスト! イラストレーター兼アーティストのカレブ・モリス氏が描いたマリオットカラーのワイン色とグレー、白のクールなデザインに釘付けになる。客室全体がパズル箱のような造りになっていて、その仕掛けが実に斬新だった。
最後のチャレンジを終了して正解すると、お楽しみが待っている。
サンフランシスコ(すでに終了)、バンコク、ロンドンと3つのデスティネーションそれぞれ各所の名所、たとえば、バンコクは、王宮や寺院ワットルアン、バンコク・マリオット・マーキス・クイーンズパークが壁に描かれ、そのモチーフも謎を解くヒントとなっている。
想像を超えるマリオット・ホテルズの社会貢献度
マリオット・ホテルは、長年にわたりTEDとのグローバルパートナーシップを結んでおり、スタートは2016年、テッド・トークス(TED Talks)やテッド・フェローズサロン(TED Fellows Salon)、ブログ、オリジナルの名言を世界各地のマリオット・ホテルでゲストに配信したことから始まったそうだ。毎年新たな要素を取り入れることで、知的好奇心を刺激するコラボ内容も進化してきた。来年以降の取り組みにぜひとも期待したい。
近年、次々と他ホテルグループを傘下に収め、巨大化するマリオット・ホテルに見えるが、取材してみると、実はとても丁寧なホテルづくりがなされていることに目を見張る。TEDルームのような、他のホテルがどこもやっていないようなコラボ企画もそうだが、実は元のホテルブランドの特徴を大切にしながら、スタッフにも気を配り、またエコノミー、中級、ラグジュアリーと各宿泊客の用途に合った魅力を感じられるホテルが多い。社会貢献やSDGsにも積極的で、南の島のリゾートホテルでは、海を守るためのサンゴの養子運動も盛んにおこなわれている。
●TEDルーム体験期間
バンコク・マリオット・マーキス・クイーンズパーク:2022年8月15日~11月15日
ロンドン・マリオット・ホテル・カウンティホール: 2022年9月15日~2023年1月2日
※TEDは、「広める価値のあるアイデア(Ideas Worth Spreading)」を共有するという精神に基づき活動している非営利団体。多くの場合、世界が注目する著名な講演者たちによる短時間の講演形式で提供している。こうした講演の多くは、TEDカンファレンス、より親密感のあるTED Salons、世界中で独自に企画されるTEDxのイベントを通じて開催されている。TEDトークは英語学習者にも人気があるプレゼンテーション動画の無料配信サービス。「TED-Ed」という学習教材があることは、あまり知られていないかもしれない。TEDトークは内容がアカデミックで難しすぎるという声もあるが、TED-Edは英語初心者にも勉強しやすい内容となっている。