現在Prime Videoにて全10話が配信される連続ドラマ『仮面ライダーBLACK SUN』は、『仮面ライダー』生誕50周年記念企画のひとつとして、1987年にテレビ放送された『仮面ライダーBLACK』をベースに、新たなるキャラクターとストーリーでリブートした作品である。
第1作『仮面ライダー』(1971年)から始まった仮面ライダーシリーズの「原点」に立ち返り、当時の最新技術を盛り込んで作られた『仮面ライダーBLACK』の精神を尊重した本作では、『孤狼の血』(2018年)『孤狼の血 LEVEL2』(2021年)で容赦ないバイオレンスアクションや、人間の本質に迫る感情描写を打ち出した日本映画界の鬼才・白石和彌監督のもと、日本映画界、テレビドラマ界の最前線で活躍する大物俳優たちが結集。白石監督が追い求める「正義と悪の境目」というテーマを打ち出し、大人の視聴者層をメインターゲットとしたシリアスなストーリーが繰り広げられるという。
待望の『仮面ライダーBLACK SUN』配信開始を記念して、主人公・南光太郎/仮面ライダーBLACK SUNを演じる西島秀俊にインタビューを敢行。かねてから「仮面ライダー」シリーズのファンだったと話す西島が、30年にわたる俳優人生の中で初めてチャレンジする「変身ヒーロー」にかける強い思いと、原点『仮面ライダーBLACK』へのリスペクト精神、そして深刻な社会派テーマや熱い人間ドラマを盛り込み、視聴者の心をつかむメッセージ性を備えた「特撮」ジャンルの魅力を語ってくれた。
――キャステングが発表されたころ、西島さんが南光太郎/仮面ライダーBLACK SUN、そして光太郎の親友&ライバル的存在の秋月信彦/仮面ライダーSHADOWMOONを中村倫也さんが演じられると聞いて驚いた人はとても多かったと思います。本作の出演が決まった経緯を教えていただけますか。
たまたま『BLACK SUN』のプロデューサーと別の作品をやっている時に、僕が「仮面ライダー」を観ていて、とても面白いから出たいというお話をしていたんです。それがちょうどライダーの企画が生まれ始めている時だったらしくて。僕の気持ちはその時点で知っていただけていたのだと思います。出演オファーをいただいて、しかも仮面ライダーに変身する役だと知らされたので、二つ返事で「ぜひお願いします!」って感じで引き受けました。
――いわゆる「特撮ヒーロー」と呼ばれるジャンルへの出演について、どんな思いがありましたか。
平成の仮面ライダーシリーズは視聴者として観てきていますし、今年公開した『シン・ウルトラマン』では出演をして、「特撮」が持つ豊かさに直接触れることができました。特撮作品は昔から、現実世界を反映させた複雑かつ慎重なメッセージを、特撮の形を借りてストレートに表現してきました。そういった、特撮を今まで作ってきた方たちの「想い」が受け継がれていく様子や、特撮が持つ可能性に惹かれていたので、今回のお話もまったく抵抗なく、ぜひ参加したい!という思いが強かったです。現場では特撮、CG、アニメ、造形など、各ジャンルのトップクリエイターたちが集まって作品を作るということが、とても刺激的で、面白いなと感じています。
――第1作『仮面ライダー』が放送を開始した1971年に生まれた西島さんが、50年後の現在に仮面ライダーを演じられることについては、どう思われますか。
仮面ライダー50周年のときに、50歳の僕が仮面ライダーを演じるということにも、運命的なものを感じます。僕自身、子ども時代に仮面ライダーシリーズをはじめ、石ノ森章太郎先生が原作のテレビ作品をたくさん観て育ちましたから、どこかで「恩返し」をしたいという思いがありました。次世代の子どもたちに、僕が子どもの頃にもらったものを手渡したい、自分が出演することによって、新しい世代に何かを感じ取ってほしいと思いました。
――若手俳優時代、仮面ライダーをはじめとする特撮ヒーロー作品に関わる機会はなかったのでしょうか。
僕はデビューの頃『はぐれ刑事純情派』に出演させてもらっていて、毎日のように東映東京撮影所へ通っていました。そのとき撮影所内で「スーパー戦隊」シリーズのスタッフルームがあったことを覚えていますが、ヒーロー作品にはその頃出演するチャンスがありませんでした。しかし、この年齢になってチャンスが巡ってくるとは……。なんとも不思議なご縁を感じます。
――西島さんが子どものころ好きだった特撮ヒーローを教えてください。
『人造人間キカイダー』(1972年)、『ロボット刑事』(1973年)、『イナズマン』(1973年)なんてよく覚えています。『がんばれ!!ロボコン』(1974年)も好きでした。こうして挙げてみると、すべて石ノ森先生が原作を手がけた作品なんですね。