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フジタに対しては、「本人も言ってるのですが、父親に裏切られたということが影響しているのか、人を信用しない方というのが伝わってきました」と印象を持ったそう。そんな彼が、あれほど憎んでいた父が認知症であることを知ると、家族として寄り添い、本気で心配する姿が見られた。なぜ、そうした心境の変化が生まれたのか。

「やっぱりお父さんの愛情に飢えていたんだと思います。父親との時間は子どもの頃からほとんどなくて、いつも怒られていたから『怖い』という感情しかなかったのが、ちゃんと対等に話ができることになったことも、大きいと思いますね」

朝川Dはフジタの父親と最初に対面する前、フジタに「すぐ手が出るから、気をつけてくださいね」と言われていたため、少し構えて訪ねたそうだが、宮崎あおい(「崎」は正しくは「立つ崎」)のナレーションで「その印象は、拍子抜けするほど気さくで、優しげです」とあった通り、とても穏やかな人柄だった。

それでも、昔のイメージがあるため、「いや、絶対おかしい」と不思議がっていたというフジタ。前編でフジタが父親の家から帰ろうとしたとき、「お前が優しくしてくれるから…」と涙した父親に驚いていたが、朝川Dは「フジタさんはお父さんに喜んでもらおうとかじゃなくて、自分の気持ちでやってるから、まさか感謝されるとは想像もしなかったんだと思います。だからお父さんがなぜ泣いているのか、最初は理解できていなくて、そこも悲しいところだなと思いました」と振り返る。

図らずも病気という出来事をきっかけに寄り添うことになったが、番組の中で出た「人生の中で、今が(父親と)一番接してるかもしれないですね」という彼の言葉から、朝川Dは「ちょっとうれしさもあったと思います」と感じ取った。

また、強い憎しみがあった中で、現在の“ゲーム芸人”という仕事を確立したのは、幼少期に週1回与えられた3万円によって出会えたファミコンのおかげだと話していたそうで、そこに父親の存在があったことも認めているようだ。

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■撮影した映像が発言の証拠素材に

番組では、フジタが撮影した映像も登場するが、その理由は、「僕が撮っていたら、『その映像って親父が何を言ったかという証拠になるから、すごくいいですね』と言ってきたので、私が取材に行けないときに、カメラを渡すことにしたんです」とのこと。これにより、フジタにとっては父親に説明する際の証拠素材となり、番組側としても2人の素の姿の映像素材が増えることになった。

後編では、ある出来事でフジタが父親に対して怒りを爆発させる場面が登場。「そこから親子関係がどんどん悪化していって、内縁の妻ともお互いに疑心暗鬼になってもめてしまいます。壊れていった彼らがどうなっていくのか、そこに注目してほしいと思います」と、見どころを語っている。

  • 朝川昭史ディレクター