今年4月にアイドルグループ・乃木坂46を卒業した北野日奈子。卒業後初の演技の仕事ととして、7月に上演された舞台『蒲田行進曲完結編 銀ちゃんが逝く』でヒロイン・小夏役を務め、そして、本日最終回を迎える『少年のアビス』(ドラマ特区 MBS毎週木曜24:59~/tvk毎週木曜23:00~ほか)でヒロイン・青江ナギを演じてきた。両作品を経験し、女優業への意欲が高まったという北野。抵抗を感じていたという女優業への思いがどう変わっていったのか、また、アイドル役を演じて芽生えたという歌手活動への思いも聞いた。

  • 北野日奈子 撮影:加藤千雅

『蒲田行進曲完結編 銀ちゃんが逝く』の稽古中にインタビューしたときには、目標は決まっておらず、どの道に進んでいきたいかこれから探していくと話していた北野。

『蒲田行進曲』への出演がどのような経験になったか尋ねると、「最初は作品が大きいことに気づかず、声をかけていただいたので挑戦してみようと思って飛び込んだのですが、稽古期間はものすごく大変で、やると言ったことに後悔もよぎりましたが、共演者の方やスタッフさんの熱量がすごすぎて、この熱量に中途半端な気持ちをぶつけてはいけないと思い、周りの人や環境に支えられてなんとか乗り越えられました」と振り返り、「小夏として舞台に出演できたことは自分の中で宝物になっています」と自身にとって大切な経験に。

「短い期間で舞台とドラマをやらせてもらって、2つの違いが明確にわかるというか、舞台は舞台ならではの難しさと楽しさがあって、ドラマも同じようにあって、自分はどっちが向いているのかまだわかりませんが、舞台とドラマで使い分ける気持ちや表情があることが女優さんとしての楽しさなのかなと思いました」と女優業のやりがいを感じられたという。

また、「小夏さんとナギちゃんを演じて、自分にない経験や人生観をあたかも自分が経験したかのように当てはめて歩める時間がすごく楽しくて、いろんな人になれるのが女優さんの魅力だなと感じました」と述べ、「16歳で乃木坂46に入って社会経験も少ないですし、青春もほかの人よりは全然ないですし、役としてそういうことを経験できたらいいなと。舞台やドラマが始まる前より、演じる楽しさや、そこで見る新しい自分を楽しめるようになりました」と女優業に対する思いが大きく変化。

「まだ『どうしても女優さんになりたいです』というところまでは追いつけていませんが、怖い、不安というよりも、また新しい経験ができるかもしれないという前向きな気持ちのほうが大きくなりました」と語った。

舞台とドラマそれぞれに感じた難しさと楽しさについても聞いてみた。「舞台はセリフを間違えないように言うことが正解ではありますが、生ものなだけあって、毎日新しいことに挑戦して新しい発見があるという楽しさがありました。また、お客さんに来ていただける舞台って本当にすごいんだなと。愛を持って会場に足を運んでくださるお客さんの存在のありがたさが舞台は目に見えるので、そこも舞台ならではの楽しさや幸せだなと感じました」

ドラマについては、「同じシーンでもいろんなところからのカットがあって、毎回同じように演じるのが難しいなと。だからドラマに対して苦手意識があったのですが、『アビス』を経験して、画面の中でしか表現が伝わらないので、より表情の精度を上げなきゃとか、セリフも舞台はたとえ棒読みでも勢いで伝わる部分があるかもしれないけど、ドラマはより繊細に演じなければいけないと感じました」と語った。

舞台とドラマを経験して女優業への思いが変わった今、改めて今後について尋ねると、「女優さんとしてお仕事をしていきたいという気持ちが増えました」と告白。女優として頑張りたいとすぐ決めるつもりはないと話していた数カ月前とはだいぶ変わったようだ。

「私は感情に嘘をつけなくて、泣きたいときはステージの上でも泣いていたタイプなので、何かになりきって演じるという、頑張らないとできないことはあまりやりたくないと思って、女優業は意欲的ではなかったのですが、舞台とドラマとやらせていただいて、演じているときは役と北野日奈子を切り離すことができるんだなと思ったので、女優業への抵抗はなくなりました」

どんな女優になりたいか尋ねると、「自分自身、陽と陰の部分があるのと一緒で、自分でも気づいていない姿がまだあると思うので、いろんなカラーになれるような人になりたいです」と幅広い役に意欲。

好きな女優は、有村架純と永野芽郁とのこと。「出演していると見てしまいます。かわいいなって。演技もすごく好きで、演技されているときの目が好きです」と語り、共演願望を尋ねると、「うわ~実現したらうれしいですね。紅白の裏側でしかお見かけしたことないので」とはにかんだ。