3本目の出演となった大河ドラマについては「歴史がありますし、僕が小さい頃に祖父も毎週観ていた身近なドラマです。時代設定や細かい所作も含めてクオリティの高い環境で撮影されているイメージがあります」と印象を述べる。

「役者の方々も錚々たる顔ぶれなので、これまではNGは極力出さないほうがいいといった変な緊張感を勝手に持っていました。でも、今回は失敗してもいいからトライすることを受け入れてくださるような環境でした。きっとこれまでの現場もそうだったのかもしれないけど、僕自身が心の余裕を持てなかったことも大きいのかなと。今回は小栗さんをはじめ、ほかのキャスト陣も無理のない範囲で現場を盛り上げてくれている印象を受けます。温かい現場なのに、決して馴れ合いになってないところもすごいです」

そして、義時役の小栗について「主役、座長として長い期間、やっていかなければいけないし、義時もかなり難しい役なので、普通の役者なら自分のことでいっぱいいっぱいになるはずですが、まったくそうではない。小栗さんは常に周りのことを考え、広い心を持ってキャストやスタッフの方に話しかけてくれるのですごくありがたいです」と心から感謝する。

また、「現場に変な緊張感は一切ありません。今はコロナ禍で、マスクをしながらリハーサルをしていますが、僕がインした時、小栗さんがマスクに『実朝ようこそ』と書いてくれていてすごくうれしかったです。小栗さんは常にみんながハッピーになれるようなやり方をされます。非常に頼もしい座長なので、僕自身も勉強にもなりますし、刺激をもらえるような存在でした」

共演シーンにおいても、小栗が言葉に出さなくても柿澤の想いをくんでくれたやりとりが心に残っているという。

「小栗さんとの共演シーンで『ここでこうしてこう動く』といった演出の指示が入りまして。基本的に僕は言われたとおりにやってみるタイプですが、僕の表情から小栗さんが何かを察してくれたらしく『カッキー、自分のやりたいようにやってみなよ』と言ってくださったんです。小栗さんも自ら考えたプランを持って動くことで豊かな芝居になることをわかってくれているので、それを自分だけではなく、後輩や監督に対しても提案してくれたことがすごくありがたかったです」

今後、幕府のトップとして少しずつ成長していく実朝と、執権となった義時が、どう鎌倉を動かして行くのか? 2人の間で生まれるのは、固い絆かもしくは亀裂か? 今後の展開に注目したい。

■柿澤勇人
1987年10月12日生まれ、神奈川県出身。2007年に劇団四季の舞台『ジーザス・クライスト=スーパースター』で俳優デビュー。主な出演舞台は『スリル・ミー』『スウィーニー・トッド』『デスノート THE MUSICAL』『サンセット大通り』『フランケンシュタイン』など。2011年に『ピースボート -Piece Vote-』でテレビドラマ初出演、同年『カイジ2』で映画初出演。映画の近作は『すくってごらん』(21)、『鳩の撃退法』(21)など。大河ドラマは『平清盛』(12)、『軍師官兵衛』(14)に続いて『鎌倉殿の13人』で3度目の出演。

(C)NHK スタイリスト:杉浦優 ヘアメイク:松田蓉子