アニメーション映画『僕が愛したすべての君へ』(10月7日公開)でヒロインの声優を務め、「夢が叶いました!」と笑顔を見せる女優・橋本愛。中学生のときに芸能界デビューし、ドラマや映画で大活躍の橋本だが、子供時代からアニメのヒロインへの憧れがあったという。アニメとの関わりや声に対する強い意識、また、ここ数年で変わったという仕事との向き合い方について話を聞いた。

  • 橋本愛 撮影:加藤千雅

『君を愛したひとりの僕へ』と同日公開される『僕が愛したすべての君へ』。乙野四方字氏の小説を原作とする2つの作品は、“並行世界”を行き来することができる世界で、1人の少年がそれぞれの世界で別々の少女と恋に落ちるラブストーリー。『僕愛』『君愛』2作品の主人公・暦を宮沢氷魚が担当し、『僕愛』で暦と恋仲になるヒロイン・和音を橋本愛、『君愛』で暦と恋仲になるヒロイン・栞を蒔田彩珠が演じた。

橋本はこれまで、『劇場版 BLOOD-C The Last Dark』(2012)、テレビアニメ『なつなぐ!』(2020)でも声優を務めたが、「1作目は自分が未熟で至らなかったなという思いが強く、『なつなぐ!』は1作目より楽しめましたが、もっとやりたいという思いがありました」と再び声優に挑戦してみたかったという。そして、「特にアニメーション映画への憧れが強かったので、今回ヒロインを演じさせていただき夢が叶ったという気持ちです」と声を弾ませた。

アニメ映画に憧れを抱いたきっかけを尋ねると、「子供の頃からジブリ作品を見て育ってきて、ジブリのキャラクターの声をよく真似していました。ほかのアニメを見ているときも、声優さん独特の抑揚や声色の使い分けを自分もできないかなと思って真似していて、それがすごく楽しくて。自分もアニメーション映画の声のお仕事をやってみたいとずっと思っていました」とアニメ愛を語った。

ジブリのキャラクターで一番真似ていたのは『となりのトトロ』だそう。「メイちゃんは楽しみながらやっていて、サツキはけっこう真剣にやっていました。ほかにも『天空の城ラピュタ』のシータや、『借りぐらしのアリエッティ』のアリエッティなど、ヒロインの女の子をよく真似していました」

アニメ作品の経験を重ねても「声優さんの表現はなかなかたどり着けないです」とプロのすごさを痛感しているという橋本。

また、「周りが全員声優さんだとどうしても浮いてしまうというか、毛色が違うと感じてしまいます」と言い、「今回は俳優さんが多いので、声優さんのことを勉強してあまりにそういう表現に偏ってしまっても逆に浮いてしまうと思い、俳優だからこそできる表現と、アニメーションならではの抑揚など、バランスをとりながらやりました」と説明した。

『僕愛』の和音役では、制作サイドから「理系っぽい話し方、固い口調、抑揚をなくす」とリクエストされたそうで、「どうすればそこにたどり着けるのだろうと試行錯誤し、自分のできることと皆さんのイメージをすり合わせていきました」と語った。