これから住宅購入を検討されている方や、すでに住宅ローン返済中の方は、「返済期間中にまとまった資金ができたら繰り上げ返済をする」といったお話を聞いたことがあるでしょう。一方で、まとまった資金を返済に回さずに、資産運用される方もいらっしゃいます。

この記事では、住宅ローンの繰り上げ返済の仕組みと、資産運用と比較した場合にどちらがお得なのかについて解説していきます。

■住宅ローンの繰り上げ返済の仕組みを簡単に解説

「繰り上げ返済」とは、普段返済している返済額とは別に、前倒しで元金(住宅ローンの残債)の一部、または全部を返済することです。繰り上げ返済をすることで、元金が早く減り、その元金にかかるはずだった利息がなくなるため、完済までの総返済額を減らすことができるお得な方法です。

繰り上げ返済には、2つのタイプがあります。毎回の返済額はそのままで返済期間を短縮する「期間短縮型」と、返済期間はそのままで毎回の返済額を少なくする「返済額軽減型」です。住宅ローンを早く完済したいという方は期間短縮型、毎回の返済額を少なくしたいという方は返済額軽減型を選ぶとよいでしょう。

■繰り上げ返済と資産運用、どっちがお得?

それでは、住宅ローン返済期間中にまとまったお金ができたとき、繰り上げ返済をする場合と資産運用をする場合で、どちらの方が家計にメリットがあるのでしょうか。

繰り上げ返済をした場合には、利息が軽減され、完済までの総返済額を減らすことができます。一方、資産運用の場合には、一定期間かけて手元にあるお金を増やすことが目的です。

検討される際の、住宅ローンの残債や金利、返済期間などによっても変わるため、今回は「残債3,000万円、返済期間20年、金利1.5%」で住宅ローンを組んでいて、500万円の余剰資金がうまれたばあいを例にとり比較してみましょう。

<繰り上げ返済の場合>

まず、繰り上げ返済をした場合の住宅ローンの利息軽減効果について、「期間短縮型」の場合と、「返済額軽減型」の場合でそれぞれ解説します。

期間短縮型の場合
・返済期間:16年3カ月(返済期間4年1カ月短縮)
・毎月の返済額:144,763円
・利息軽減効果:1,546,887円

返済額軽減型の場合
・返済期間:20年
・毎月の返済額:120,462円(毎月24,301円の負担軽減)
・利息軽減効果:783,678円

繰り上げ返済をすることで、「期間短縮型」と「返済額軽減型」のどちらも利息の軽減効果がありますが、返済額軽減型の方が利息の軽減効果が大きいといえます。

<資産運用の場合>

それでは、毎月一定額の積立投資をして合計500万円を資産運用した場合、20年後いくらリターンが期待できるのか解説します。以下の計算から、毎月約20,833円投資をした場合で計算をします。

5,000,000円÷20年÷12カ月=約20,833円

・毎月の積立額:20,833円(投資額合計5,000,000円)
・運用期間:20年
・年利6.0%
・20年後の想定受取額:9,446,000円(+4,446,000円)

年利6%の運用で20年間資産運用をした場合、約446万円お金を増やすことができます。

年利6%の運用の場合、投資信託をはじめとした金融商品でリターンが期待できます。 投資信託のインデックスファンドの代表例のひとつである、S&P500の過去40年間の動きをみると、平均年利6%程度の運用実績があるため、今回は年利6%の運用を例に解説しています。

資産運用の場合、住宅ローンの繰り上げ返済した場合の利息軽減効果と違い、リターンが保証されているものではないため、注意が必要です。ただし、NISAやつみたてNISA、iDeCoといった非課税制度もあるため、投資初心者でも制度を活用しながらはじめやすい運用といえます。

■まとめ

住宅ローン返済期間中にまとまったお金を準備できた場合の活用方法としては、繰り上げ返済、資産運用どちらも家計にとって効果的です。繰り上げ返済や資産運用を検討される際の、住宅ローンの残債や金利、返済期間などによっても変わりますが、今回のケースでは、資産運用の方がメリットがあるという結論になりました。

ただし、繰り上げ返済と、資産運用をする場合、どちらも大切なことは、将来を見据えた資金計画です。子どもの教育費や、車の買い替え、万が一の病気やお怪我といった緊急時の支出にも備えられるよう計画的にお金を活用しましょう。繰り上げ返済や資産運用する際のご予算や、タイミングなど計画的に行いたい方は、ファイナンシャルプランナーに相談してみましょう。

この記事を執筆したファイナンシャルプランナー

倉知洋平(くらちようへい)
所属:株式会社マネープランナーズ