スノーピークビジネスソリューションズとチェンジは2022年9月より、チームのあり方を再構築するための法人向け人材育成研修プログラム『RE』(アールイー)を提供開始した。キャンプギアを使いながらチームビルディングできる、ユニークな研修になっているという。一体、どんな内容なのだろうか?神奈川県横須賀市の京急観音崎ホテルにて13日に行われた研修を取材した。

  • スノーピークビジネスソリューションズとチェンジが共同開発した、法人向け研修プログラム『RE』とは?

『RE』とは?

コロナ禍によりリモートワークが浸透したことで、働き方、人と人との関係性が大きく変わってしまった組織やチームも多い。かつてのように同僚がお互いに信頼して助け合う関係性に戻したい、創造的に仕事ができるチームに生まれ変わらせたい―――。そうした企業のニーズに応えるために、『RE』は誕生した。チームのあり方、仕事への取り組みを「見つめ直し(RE-consider)」「つなぎ直し(RE-connect)」「考え直す(RE-think)」としている。

  • この日の研修には、通信・IT・製薬・メーカーなどの一般企業18社(人事や組織開発を担当する29名)が参加した

その冒頭、『RE』プログラムの責任者であるチェンジの懸山聡氏は「仕事の効率化が進んでいます。たとえば従来なら60分かかっていた会議も30分で済むようになった。一方で、お互いが普段から感じている気持ちを共有する機会が失われました。遊びがなくなったことで無駄はなくなったけれど、余幅がなくなったのでチームの関係性が希薄化してしまった。『RE』ではそんなチームを見つめ直し、お互いを会話で結び直すプログラムを用意しています」と説明する。

  • チェンジの懸山聡氏(左)と、スノーピークビジネスソリューションズの山本真道氏(右)

またスノーピークビジネスソリューションズの山本真道氏も「テクノロジーが進化し、AI、メタバースといった言葉が身近になりました。それに伴い、働く環境にも変革が求められています。でも多くの企業では、人と人の関係性に変化をもたらすことができないでいる。そこでスノーピークとチェンジでは、システムの側面、アウトドアの側面から企業を変えていこうと考えました」とし、『RE』がこれからの時代を生き抜くチームに学びと気づきを与えるプログラムであると強調した。

  • 『RE』プログラムが与える学びと気づき

実際の研修は、京急観音崎ホテルの敷地内にあるCAMPING OFFICE KANNONZAKI(キャンピングオフィス観音崎)で実施された。海の見える広々とした環境で、手入れのされた芝生がとても気持ち良い。この日は省略されたが、タープテントの設営を通じてチームの主体性を見つめ直すプログラムも用意されているという。

  • CAMPING OFFICE KANNONZAKI(キャンピングオフィス観音崎)

この日、参加者が最初に体験したのは「虫・鳥・魚」と呼ばれるプログラム。自分の五感を拡張して、周りが知らない自分を表現し、メンバー同士の新たな繋がりを作ることを目的にしている。まずはメンバーと距離をとり、マスクを外し、海の潮の匂い、草木の沸き立つ匂いを感じながら深呼吸。そのあとでテーブルを囲んで、お互いの印象を話し合う。さらには「人から見える印象とは異なる自分」を写真で表現する、というお題が出された。

  • まずはお互いの印象を語り合い

  • その後、人から見える印象とは異なる自分を写真で表現する

いつもニコニコと笑顔で周りの雰囲気を明るくしてくれそう、と言われた女性は「椅子」の写真を見せて「実は人見知りで、1人でいる時間も大切にしたいと思っているんです」と意外な一面を明かす。また落ち着いた印象でいつも冷静そう、と評された女性は絡み合った水道ホースの写真を見せて「実はお酒を飲むと人に絡んでしまうんです」と言ってチームの仲間を笑わせていた。

  • 普段、スーツ姿の職場では見せない一面を見せることで、バイアスからの脱却をはかる

次に、焚き火を囲んでのトークに移った。普段なら夕食後、日没の頃からスタートするプログラムだ。話しやすいよう「今、ワクワクしていることは?」「わたしが幸せを感じるとき」「成し遂げたいこと」「実は私○○なんです」といったお題が用意された。メンバー同士で対話することで、チームの関係性の深化を狙う。

  • 焚き火を囲んでのトーク

実際、この段階ではどのチームもトーク内容が深まっているのを感じた。焚き火を囲むことで、普段、会議室では話さないようなことを話せる雰囲気もある。仕事のこと、プライベートのこと、ざっくばらんに話題が進行する。

最後に、参加者に感想を聞いた。30代の人事担当者は「社内にいたら、なかなかできない体験だった。今後、うちの企業にも導入できるか検討したい。まずはメンバーに情報を共有します」。プライベートでもキャンプの経験はなく、したがって目新しいことばかりで個人的にもシンプルに楽しめた、と笑顔になる。「キャンピングチェアに深く座って、焚き火を見ながら話して。すると自然と”話すモード”になるんですよね。研修とは言え、研修のイメージとはかけ離れた環境で驚きもあった。すべてが新しい体験でした」と満足そうな表情で話してくれた。

  • この日は「虫・鳥・魚」「TAKIBI」を体験。「テンティング」「ソウゾウ」も趣向が凝らされた内容になっている