特に印象的だった場面は、大介さんが高校の卒業式や初出社で出かける際に、佳秀さんがそこにいなくても『父ちゃん、行ってくるね』と声をかける姿。「やっぱり離れて暮らしてひとつ屋根の下にいられなくても、家族っていうのが強いんだなと、この行動1つですごく感じました。お母さんも『じゃあお父さん、行ってくるよー』と言ってて、きっとお父さんと一緒に見たかったんだろうなと思うと、グッとなりました」と心に響いた。

それは、自身も似た経験があったためだ。富田は生まれる前に父親を事故で亡くしており、「母は、私の入園式、入学式、卒業式、成人式と、その場所に父がいなくても、『パパ。望生、大きくなったよ』と、きっと言葉に出しているときがあったと思います。言葉に出さなくても思っていたでしょうし、それがやっぱり家族なんですよね」と共感した。

  • 涙する母親 (C)フジテレビ

■流れに乗った語りに自分でも驚き

今回の収録は、「私、こんなに止まらずに読めるんだと思ってびっくりしました!」と、自分でも驚くほど流れに乗っていたのだそう。その理由は、「去年もこの作品で語りをやらせてもらって、1年後という時の流れを私もリアルに感じられたからこそ、こんなに噛むことも少なく、流れるまま語れたんじゃないかなと感じています」と分析。それほどの思いで、この一家に“語り”で寄り添っていたようだ。

自分の出演作品は、あまり家族と一緒に見ないそうだが、前回の放送は「久しぶりに自分が携わった番組を家族と一緒に見ました。みんなちょっとウルウルしながら見ていて、具体的に感想を言い合うことはなかったんですけど、それぞれが家族というものを改めて考える時間だったというのは、会話がないながらにも感じました」とのこと。

その上で、今回の放送について、「父ちゃんが施設に入って1年経った一家の新たな苦労もあり、希望もあり、未来もあります。『ザ・ノンフィクション』のリアルを、私と同じように温かい気持ちで見守るという形で、視聴者の皆様も寄り添っていただけたらと本当に思います」と願い、「共に、大介くんのことを応援したいと感じていただけたらうれしいです」と呼びかけた。

●富田望生
2000年生まれ、福島県出身。15年、映画『ソロモンの偽証 前篇・事件/後篇・裁判』のメインキャストをオーディションで射止めて女優デビュー。その後、『モヒカン故郷に帰る』『チア☆ダン~女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話~』 『SUNNY 強い気持ち・強い愛』などの映画、『3年A組-今から皆さんは、人質です-』『なつぞら』『教場』『おしゃ家ソムリエおしゃ子!』『ネメシス』『ナンバMG5』などのドラマに出演。今後、11月6日から上演される舞台『しびれ雲』が控える。