ミュージカル『フィスト・オブ・ノーススター~北斗の拳~』の製作発表が6日に都内で行われ、大貫勇輔、平原綾香、May’n、小西遼生、伊礼彼方、上川一哉、植原卓也、上田堪大、清水美依紗、三浦涼介、福井晶一、永井大、石丸さち子(演出)が登場した。

  • 前列左から石丸さち子、永井大、May'n、大貫勇輔、平原綾香、小西遼生、福井晶一。後列左から上田堪大、清水美依紗、三浦涼介、伊礼彼方、上川一哉 、植原卓也

    前列左から石丸さち子、永井大、May'n、大貫勇輔、平原綾香、小西遼生、福井晶一。後列左から上田堪大、清水美依紗、三浦涼介、伊礼彼方、上川一哉 、植原卓也

原作:武論尊、漫画:原哲夫による大ヒット漫画をミュージカル化作する同作。二千年の歴史を誇る北斗神拳の伝承者となったケンシロウ(大貫勇輔)が、南斗孤鷲拳伝承者のシン(植原卓也・上田堪大/Wキャスト)に婚約者・ユリア(平原綾香・May'n/Wキャスト)を強奪され、胸に七つの傷を刻まれる。さらに世紀末覇者・拳王を名乗り、混沌とした世界を恐怖で支配しようとする兄・ラオウ(福井晶一・永井大/Wキャスト)から世界に光を取り戻すべく救世主として立ち上がる。

製作発表ではスペシャルメドレーとして「抗いようもなく(リプリーズ)」(人々)、「宿命」(宮川浩)、「兄弟の誓い」(小西遼生・宮川浩・一色洋平・百名ヒロキ)、「抗いようもなく」(三浦涼介・清水美依紗)、「揺るぎなき信念」(福井晶一・永井大)、「ただ愛のために」(植原卓也・上田堪大)、「心の翼リプリーズ」(清水美依紗・渡邉蒼・山崎玲奈・桑原愛佳)、「願いを託して」(小西遼生・三浦涼介)、「この命が砕けようと」(平原綾香・May’n・AKANE LIV)、「ヴィーナスの森」(伊礼彼方・上川一哉)、「氷と炎」(平原綾香・May’n)、「心の叫び」(大貫勇輔)と12曲が披露された。

2021年に初演を迎え大きな話題を呼んだ同作は中国公演を予定していたものの、コロナ禍で中止に。日本での再演も中国へ行く計画のために決定したものだったが、代わりに今回の公演が中国に配信されることになったという。大貫は「残念な気持ちを共有したんですけど、中国で配信できることが決まって、またいつの日か中国公演、さらにヨーロッパとかアメリカとか、いろんな国でできたらいいなという思いも持ちながら」と意欲を見せる。

演出の石丸は再演について「よりシンプルに、よりダイナミックに。お客さまに愛されて育って行った作品なので、本番中に客席で感じていたこと、日々の本番を重ねる中で俳優たちと『次があったらこうしたいね』と言っていたことを少しずつ積み立てていった」と明かす。「1幕最後の、ケンシロウが救世主として覚悟を決めるシーンはもう一つ飛べるんじゃないかと話をしておりまして、今回は大貫さんが初演を演じきった時からずっと持っていたものを加え、自身が振り付けしました。その振り付けに合わせて、音楽も新しく用意しました」と新たな見せ場もあるという。

ヒロイン・ユリア役の平原は「できればケンシロウがやりたかった」と発言し、大貫が「ダブルキャストで……?」と提案。平原は「ケンシロウは何かに打ち勝って体得、成長していく役なのがうらやましかった。ユリアは最初から完成されている女性で、常に待ち続ける。こういう大役をやるのは難しくもあったんですけど、これからもっとお稽古に励んでいく所存ですので」と説明し、「1番ケンシロウをやりたいのはMay'nさん」と紹介すると、May'nは「いつでも、鍛えておりますので」と腕の筋肉を強調した。

今回初参加となる小西は、同作のカンパニーについて「ちょっと怖かったです。もともといるメンバーの熱量がハンパなくて、高校1年生の時にバスケ部に入ろうと体育館の扉を開けるんだけど、あまりの怒号に扉をそっと閉めてバスケはやらなかったという過去があったので、思い出してしまいまして、慣れるまで様子を見ながら少しずつ上げて上げて、ようやく一緒の空気を吸えるようになった」と表す。この発言は「僕も初めてお稽古場に参加させていただいた時は皆さんの熱量に圧倒されました」(上川)、「小西さんとずっと共感しあって、やばいね、やばいねと話してた」(清水)、「とにかく最初の顔合わせ、ホン読みから熱がすごいんです。パイプ椅子の上で演技したり」(永井)と続々共感を呼び、続投組の上田も「いまだから言えるんですけど、初演の時にマジで怖くて、稽古に行く時の足が重くて……それくらい苦しかったりしたんですけど、稽古場で先輩方、仲間たちに愛で包まれてて、本番でまたお客さまと育んで行った作品」と告白していた。

歌唱披露では「皆さん、お待たせしました」と登場しダンスでも盛り上げた伊礼は、小西から「ディナーショーみたい」と言われつつ、「初演はゼロから作る面白さがありましたけど、再演は続投組の熱意が込められてるものですから、新しいメンバーはついていくのは大変だったんだろうと思いまして。小西くんのお話を聞いても相当嫌だったんだろうなと……」と語り、小西は「いやとは言ってないよ」とツッコミ。伊礼節は止まらず、演出の石丸も太鼓判を押したレイの新たなシーンについては「レイのシーンがまあよくなってるんですよ! よかったわね三浦くん! 三浦くんが素敵なのよ。うらやましくて嫉妬しちゃう! なぜあのシーン、僕にやらせてくれなかったのか」と大声で会場の笑いを誘う。

さらに伊礼は「僕は今、(ミュージカル『ミス・サイゴン』で)ベトナムにいるんですよ。アメリカンドリームを掴んでる最中なんですけど、ベトナムの役もジュウザもテンション高くて、前回はレイとジュウザで心のバランスが取れてたんですけど、今はものすごい陽なんですよ。暗い男たちばっかりの話でしょ? ジュウザが出た時には素敵な箸休めになったら」と期待を煽った。

そんな伊礼について、三浦が「伊礼さんとお会いするのがすごく楽しみで、稽古場にいたたらなかなかお会いできなくて、ちょっとしてから遅れて入られていたんですけど、すごく暑苦しいというかなんというか……」といじると、伊礼は「おいおい言葉選べや、製作発表だぞ!」とツッコミ。また植原は「僕は前回に引き続き出演させていただいてるんですけど、稽古のスタートライン、基準値が高いところがあるなというのは感じまして、僕自身も気合を入れ直してシーンと向かい合って戦っていきたい」と意気込み、上田は「たっくん(植原)とは今回も同じく続投なので、相変わらず仲良し全開」と和気藹々とした姿を見せていた。

ラオウ役の福井も「男ども一人ひとりをぶっ倒していくわけですけど、本気にさせることが僕の使命だと思っている。ケンシロウが愛をつかんでそして目覚めていく過程においてラオウは重要な圧倒的な存在だと思うので、初演に引き続き突き詰めていきたいと思います」と気合十分。本番に向けて食事制限と筋トレを欠かさないという大貫は「1幕最後が1分10秒くらいで、本当にしんどいんですけど、軽くなればなるほど楽になってきているので、もうちょっと軽くして楽になればなと思いながら日々頑張っております」と、公演のための体づくりについても明かした。

東京公演はBunkamura オーチャードホールにて9月25日〜30日、福岡公演はキャナルシティ劇場にて10月7日〜10日。