DXによる企業の競争力向上を見据え、山梨県内企業のDX推進について情報提供や支援を目的に、7月25日に発足が発表された「山梨DX推進支援コミュニティ」。

山梨県内の企業と経済団体が連携しながら、DX推進においてニーズや課題を抱える県内企業を支援する同コミュニティの公式プラットフォーム「やまなしDXエンジン」が、8月22日にオープンした。

これに伴い、同コミュニティの発足メンバーの企業・団体が集まり、「やまなしDXエンジン」での取り組みや、今後の事業展開などについて紹介する説明会が実施された。

■迅速かつ実効性の高い課題解決を実現

「山梨DX推進支援コミュニティ」は、山梨県内の企業を対象にDX推進に役立つセミナーの開催、個社別のDX相談の受付など、情報共有の促進や解決策の立案・実行支援までをワンストップで行う取り組み。

県内企業のDX推進支援にあたる企業・団体は構成員と呼ばれ、金融機関、ICTサービスの提供企業、商工会議所、経営者・経済団体等、多岐にわたるメンバーが参画している。

  • 右から株式会社山梨中央銀行常務取締役・田中教彦氏、甲府商工会議所中小企業振興部部⾧・佐藤達也氏、山梨商工会連合会事務局⾧・齋藤正信氏、山梨県経営者協会専務理事・一之瀬滋輝氏、山梨経済同友会事務局⾧・深沢文雄氏、一般社団法人 山梨県法人会連合会専務理事・酒井信氏、株式会社ウィンテックコミュニケーションズ取締役統括・清田幸彦氏、株式会社ワイ・シー・シー取締役執行役員・柳本裕氏、NTT東日本山梨支店支店⾧・横山明正氏、富士吉田商工会議所専務理事・渡邊隆信氏(リモート参加)、NTTDXパートナー代表取締役・⾧谷部豊氏

本コミュニティの活動は大きく「DXセミナー/研修」「DX事例共有」「ソリューション提案」「個社別DX相談」「DX戦略策定支援」「ビジネスマッチング」の6つ。各地域における企業や団体等へのDX推進事業に取り組むNTTDXパートナーはじめ、発足メンバーの各社・各団体の強みを活かすことで、山梨県内企業がDX推進に挑戦できる環境を整える。

「本日22日から常時ご相談の受付を開始し、県内の企業様が関心を持つDXの具体的な事例をピックアップしてご紹介していきます。今月26日にはオープニングセミナーを開催し、セミナーはリアルでの対面セミナーとオンラインを合わせ、月2回ほどのペースで実施する予定です。セミナーや事例紹介などの内容は、本コミュニティに参加する会員企業様の関心事・ニーズを捉え、柔軟に変えていくことで、実りあるコミュニティにしていきたいと考えております」(NTTDXパートナー代表取締役・長谷部豊氏)

本コミュニティでは構成員や会員企業などのリアルな交流の場として、山梨中央銀行が運営する「TAKEDA STREET BASE」の活用も発表。

同コミュニティの構成員である山梨中央銀行が保有するビルの1階を改装した交流スペースで、同社が中心となり地域課題・社会課題の解決に取り組む人々のネットワーク形成などを支援する。

同施設内には公益財団法人 山梨中銀地方創生基金や、山梨中央銀行の関連会社である山梨中銀リースも入居しており、新事業を始めるにあたって、迅速かつ実効性の高い課題解決を実現するという。

■「やまなしDXエンジン」を新たにリリース

企業や業界などの壁を越えて、それぞれの知識や強みを持ち寄り、デジタル技術による地域の課題解決や新たな価値創造を目指す「山梨DX推進支援コミュニティ」だが、今月22日には「やまなしDXエンジン」をリリース。

「やまなしDXエンジン」はDXに関する情報が総合的に集まるポータルサイトで、オンライン上のコミュニティスペースとして機能し、「TAKEDA STREET BASE」との連携を進める。 「DX相談窓口」「DX事例紹介」「DXソリューションの情報提供」「セミナー開催情報の確認・申し込み」「交流掲示板」といった機能を備え、DXに取り組む上で課題や不安を抱える県内企業をサポートする。

「DXに関する相談から情報収集、解決まで実現できるポータルサイトを目指し、まずは認知の拡大に取り組み、DX事例や解決策の情報発信を重点的に進めます。FacebookなどSNSツールとも連携し、広報活動などを行っていくほか、さらなる機能やコンテンツを拡充させていきます」(NTTDXパートナー・小林和貴氏)

企業間の交流活性化のため、企業と企業をつなぐ役割を担うコミュニティマネージャーを設置。当面はNTTDXパートナーのメンバーが随時、他の構成員と相談しながら、コミュニティの活性化に注力する。

「DX事例の紹介では、本コミュニティの活動の中で培った事例などを今後載せていきたいと考えています。DXについて気軽に相談できる窓口もサイト内に設置し、専門家によるタイムリーなサポートをしていける点も特徴のひとつです。また、参加企業同士が情報交換を行える交流掲示板も用意しており、新たなビジネス創出のきっかけづくりなどにも寄与していきたいと考えています」(小林氏)

なお、相談受付段階のヒアリングはNTTDXパートナーがリード役として対応にあたり、相談企業の課題や状況などを構成員へ迅速に共有。ケースに応じ、より具体的な支援を担当するメンバーを構成員から選定するという。

■「山梨は大きなポテンシャルを秘めたエリア」

先月25日に開設した「やまなしDXエンジン」のティザーサイトで、先行エントリーを募集したところ、「DX化に向けて、自社ICT環境を整備している。これが正しい進め方なのか」(サービス業)、「DX推進を進める上で、どのように社員を巻き込めばよいか?」(食品製造業)といった声が、すでに約10社の県内企業から寄せられたという。

「他の従業員の理解を得て、実際に現場で働かれている社員さんをどう巻き込んでいくか。DX推進ではかなり多いお悩みかと思います。実際にこれだけの声を見ても、改めて県内企業様がDXに強い課題感を持っていると認識させていただいています」(小林氏)

  • NTTDXパートナー・小林和貴氏

本コミュニティでは相談やセミナー受講、継続的なポータルサイトやリアル拠点の利用などに参加する企業を、今年度中に100社とすることを目標に掲げる。

「個社別の相談や具体的な課題設定、ソリューションの提案などの費用はかからないかたちで対応いたします。具体的なツールの導入、ソリューションの実装に関する費用については、事前に相談企業様にご説明した上で実施しますので、安心してお気軽にご相談いただければ」(長谷部氏)

  • NTTDXパートナー代表取締役・長谷部豊氏

最後にNTT東日本山梨支店の横山明正氏は、「山梨県はコンパクトな県ですが、自然環境にも恵まれており、ロケーション的にも非常に大きなポテンシャルを秘めているエリア。今回、構成員の皆さんとオール山梨で、良いチームができたと思います。多くの県内企業様にデジタルをうまく取り入れ、活用していただくことで、山梨全体が盛り上がっていく。そんなコミュニティに育てていければと思っています」と、メッセージを送っていた。

  • NTT東日本山梨支店支店⾧・横山明正氏