俳優の金子大地が、大河ドラマ『鎌倉殿の13人』(NHK総合 毎週日曜20:00~ほか)で、源頼朝(大泉洋)の嫡男で2代鎌倉殿・源頼家を好演している。金子にインタビューし、頼家としての役作りや大河ドラマ初出演の感想、大きな救いになったという主演の小栗旬とのエピソードなど、話を聞いた。
頼朝が急死し、若くして2代鎌倉殿となった頼家。13人の御家人が頼家を支えようとするがその体制に反発し、暴走するように。そして病に倒れている間に後継者をめぐって北条と比企の争いが激化し、奇跡的に息を吹き返したときには、妻のせつ(山谷花純)や舅の比企能員(佐藤二朗)ら比企一族が全滅しているという受け入れがたい現実が待ち受けていた。母・政子(小池栄子)から聞かされ、北条への怒りが爆発。義時(小栗旬)は、頼家を修善寺に送ることを決めた。そして、頼朝と政子の次男・千幡が元服し、実朝として3代目鎌倉殿に就任。新体制が始まった。
金子は頼家について、「いずれ鎌倉殿になるというのは生まれたときから決まっていたので、鎌倉をよくしていきたいという気持ちは強かったと思います。しかし、あまりにも早い段階で鎌倉殿になり、自分でいいのかということは頼家自身が一番感じていたと思うので、最初から誰も頼る気がなく、欲まみれの大人たちに囲まれていることが嫌で嫌でしょうがない。何をやっても源頼朝という圧倒的なスターと比べられるという、その重みをすごく感じていたと思います」と解説。
「心も未熟で、信用されてもいないし、頼られてもいないので、自分のやりたいことに反対されると逆に反発したくなるというか、どこか開き直りがあり、でも1人になったときにいろんなことを考えていたのではないかと。その葛藤が少しでも見えて、さらには18歳で征夷大将軍になるということはとてつもない重圧があり、相当不安だったというところがどこか垣間見えたらいいなと思って演じました」と役作りを明かす。
そして、「頼朝と政子の息子というだけあって才能はあったそうですが、それ以前に、御家人と対立関係になってしまったところがよくなかったのかなと。もっといろんな人を信じて、人に弱みを見せられるところがあったらもう少しうまくいったと思いますが、あの時代でそれをやることの難しさもあったと思います」と語る。
演じるにあたって、尊敬する父・頼朝に寄せて「ユーモア」も少し意識したそうで、「気づいてくださった人は少ないかもしれませんが、例えば、時連(瀬戸康史)の蹴鞠を褒めるシーンは、自分の中で頼朝のようなユーモアを入れました」と明かす。
比企一族が北条によって滅ぼされたことを知ったときの頼家の心情については「頭が真っ白になるような、言葉ではとても表しがたい感情……絶望と怒りと悲しみが全部入り混じったような感じでした」と表現した。
暴君ぶりだけでなく、内面の葛藤や苦しみも表現されている本作の頼家。金子は「未熟な部分もありますが、一生懸命頑張る姿だったり、不安や孤独も三谷(幸喜)さんが描いてくださったので、ただの暴君というイメージではない頼家像はできたかなと思います。台本もそう書かれていたのですごくうれしかったです」と述べ、「大好きな役です」と役への愛を語る。
頼家を演じられて心からよかったと感じているようで、「この役を演じさせてもらえるというだけで本当にうれしかったです。全力で挑もうという気持ちでした」とも話した。
ちなみに、金子自身は頼家とは違い「周りに頼れる」性格だという。「頼家は逃げないところもあるので、肝が据わっているというか、覚悟がある青年だったと思います。絶対僕はできなかったと思うので、似ている部分はそんなにないのかなと。頼家よりもっともっと僕は弱いと思います」