NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』(NHK総合 毎週日曜20:00~ほか)で北条時連(のちの時房)を演じている俳優の瀬戸康史。裏切りや騙し合い……ヒリヒリした展開の中、瀬戸演じる時連は貴重なオアシスのような存在になっている。瀬戸にインタビューし、本作に感じている魅力や時連役について話を聞いた。

  • 瀬戸康史 撮影:蔦野裕

三谷幸喜氏が脚本を手掛ける本作は、源頼朝の右腕として活躍し、武士の世を盤石にした鎌倉幕府の2代目執権・北条義時の物語。瀬戸は、義時(小栗旬)の異母弟・北条時連(のちの時房)を演じている。

大河ドラマへの出演は『江~姫たちの戦国~』(2011年)、『花燃ゆ』(2015)に続き3度目。本作では、三谷氏ならではの大河の魅力を楽しんでいるという。

「三谷さんが描かれる大河ということで、今までの真っすぐな大河とは違って、いろんな寄り道があり、大河初心者でも見やすいと思います。僕が演じているような役も現代っぽいというか、大河の枠とは少し外れたような役を三谷さんがくださったので、存分に楽しみながらやりたいなと思っています」

演じる時連については「チャーミングな人物」と捉えている。「小栗さん演じる義時がどんどんダークなほうに行き、全体的に話が暗いんです。箸休めできる人間が少ししかいないので、そこはちゃんと責任を担わなければいけないなとは思っています。ずっと殺伐としていると見ているほうもしんどいと思うので、ちょっとほんわかできるといいなと」

公式サイトの人物説明では「末っ子ながら、やがて義時も政子も頼る大政治家に」とされているが、「キレッキレにはならないと思います。チャーミングさはずっと残るのではないかと、今の時点ではそう思っています」と話す。

三谷作品は舞台『23階の笑い』(2020)、『日本の歴史』(2021)に続き3回目で、映像作品では今回が初めて。「三谷さんが呼んでくださるというのはうれしいですね。しかもこの2年ぐらいで3回なので、すごいうれしいです」と喜び、「当て書きしてくれるって、作家に愛がないとできないことだと思うので、それをやってくださっているというのはとってもうれしいです」と続けた。

■時連の登場シーンで「ほんわかしてくれればうれしい」

17日に放送された第27回では、童顔の瀬戸をいじるクスッと笑えるシーンが登場した。

新たに鎌倉殿となった源頼家(金子大地)から若くて力のある者たちを集めるように言われた義時(小栗)が、「お前も加わってくれ」と息子の頼時(太郎、泰時)に伝え、「五郎(時連)、お前もだ」と時連にも加わるよう指示。時連は「えっ? 年かさの私がそこに加わるのはいささか無理が。これでも太郎の叔父です」と驚き、「悪目立ちしませんか?」と心配するも、政子(小池栄子)から「顔立ちが幼いから大丈夫よ」と言われ、「おさ…」と言葉を失う。心の中で笑っているであろう頼時の表情も面白かった。

SNSでも「爆笑しちゃった」「瀬戸康史さんが演じてるからこそのいじりだな」「いや、それ五郎じゃなくて瀬戸康史さんの話だよね?」「もう、三谷さんったら」と面白がる視聴者の声が続出したが、瀬戸が言うように三谷氏の愛があるからこそ、こういったシーンが生まれるのだろう。

瀬戸は「三谷さんからは僕が出ている全シーン笑かしてくださいって言われています(笑)。半分冗談みたいな感じですけど、半分本気だと思います。脚本を見る限り」と明かし、三谷氏から任された“笑かす”役割を全うするつもりだ。

とはいえチャーミングさを特に意識しているわけではないそうで、「計算してやっているということはないです。脚本通りにやればそうなるので、そのままやっている感じです」と説明。「演じていて楽しいです」と笑い、視聴者に向けて「ほんわかしてくれればうれしいなと思います」とメッセージを送った。