東京商工リサーチは8月23日、「2021年度決算『女性役員比率』調査」の結果を発表した。同調査はすべての証券取引所に株式上場している企業のうち、7月31日までに有価証券報告書を提出した2021年度(2021年4月期-2022年3月期)決算を対象に、有価証券報告書の役員状況に記載された男性・女性の人数を集計、分析した。なお、同調査の「役員」は、「会社法上の取締役、監査役」および「執行役など」を対象にしている。
2021年度の上場3,795社の役員総数は3万9,601人で、このうち女性役員数は3,575人(前年度比21.8%増、前年度2,934人)で前年度と比較して増加した。女性役員比率は9.0%で、前年度の7.4%から1.6ポイント上昇している。
一方、女性役員がゼロの企業は1,443社(前年度比14.7%減、前年度1,693社)で、構成比は38.0%と前年度(45.7%)から7.7ポイント低下した。女性役員比率が前年度より上昇したのは978社(前年度851社)、低下は328社(同310社)、前年度と同比率は2,355社(同2,414社)だった。
産業別の女性役員比率を見ると、4年連続で10産業すべて上昇している。女性役員比率の最高は、小売業の11.4%(前年度9.1%)で、水産・農林・鉱業11.28%(同8.8%)、電気・ガス業11.26%(同10.9%)、金融・保険業10.8%(同9.8%)と続いた。
女性役員比率が10%以上の4産業のうち、水産・農林・鉱業、小売業、金融・保険業の3産業が初めて10%台に乗った。女性役員比率の最低は、建設業の7.6%(同6.6%)となっている。
女性役員数の増加率では、最も多いのは運輸・情報通信業の前年度比28.1%増(444→569人)だった。以下、サービス業の同24.7%増(392→489人)、小売業の同23.9%増(301→373人)と続く。女性役員ゼロ比率の最高は、不動産業の44.8%(前年度53.7%)。次いで、卸売業43.8%(同50.4%)、運輸・情報通信業40.1%(同47.7%)となった。
女性役員ゼロ比率の最低は、水産・農林・鉱業の11.1%(同27.7%)。以下、電気・ガス業の12.0%(同8.3%)、金融・保険業の19.8%(同23.9%)と続いている
業種別では、33業種すべてで女性役員比率が上昇した。最高は、石油・石炭製品の16.1%(前年度12.2%)で、保険業12.4%(女性役員25人、前年度9.7%)、水産・農林業12.1%(同15人、同10.0%)、小売業11.4%(同373人、同9.1%)と続いている。女性役員比率が10.0%を超えたのは9業種だった。
一方、最低は倉庫・運輸関連業の4.4%(同21人、同3.9%)。女性役員ゼロ比率の最高は、海運業の60.0%(6社、前年度60.0%)で、以下、倉庫・運輸関連業58.5%(24社、同60.9%)、金属製品51.0%(48社、同54.2%)、非鉄金属50.0%(18社、同50.0%)と続く。この4業種は、半数以上の企業で女性役員が存在しなかった。
個別企業別の女性役員比率を見てみると、最高がユニデンホールディングスの60.0%で、前年度の10.0%から大幅増となった。2位には、女性役員比率50.0%で、老人介護ホーム運営の光ハイツ・ヴェラス(女性役員4人)と、コンビニ経営のローソン(同5人)、書店経営の三洋堂ホールディングス(同5人)、コミュニケーションツール提供のAI CROSS(同3人)、ストレージ製造のニューテック(同4人)、バイオベンチャーのセルシード(同3人)の6社が入った。
女性役員数では、資生堂(女性役員比率46.1%)、ノエビアホールディングス(同42.8%)、ゆうちょ銀行(同17.6%)、イオンモール(同35.2%)の4社の女性役員数が6人で最も多かった。化粧品、銀行、ショッピングセンター運営など、事業内容が女性に身近な企業が女性役員の人数が多いという。女性役員が5人の企業は、ローソン、味の素、三洋堂ホールディングス、オイシックス・ラ・大地、セブン&アイ・ホールディングス、エーザイ、サイボウズ、LIXILなど。