高校1年のときにスカウトされ、2013年にフジテレビ系ドラマ『ラスト・シンデレラ』(・はハートマーク)で女優デビューした芳根。事務所に入って1年半~2年経った頃に演技の楽しさを感じて芸能界でやっていきたいと気持ちが固まったのだという。

「15、16歳くらいから事務所に入ってお仕事させてもらっていたので、最初は部活感覚で、うまくいかなくてもまだ道はあるみたいな。もともと料理の専門学校に行こうと思っていたので、今だったら取り返しがつくという気持ちで最初の1、2年はやっていました」

心境が変わる転機となったのが、朝ドラデビュー作であるNHK連続テレビ小説『花子とアン』(2014)。「最後の1カ月に参加させてもらうことになったときに、ずっと見ていた作品に自分が出るという恐怖感をものすごく感じて、初めてインの日に胃がもげるほど痛かったんです。すごく重要なことを任されているという実感が湧いたときに自分の中で変わりました」

そして、TBS系金曜ドラマ『表参道高校合唱部!』(2015)でドラマ初主演、さらに、2016年度後期のNHK連続テレビ小説『べっぴんさん』でヒロインを務め、その名を全国に知らしめた。

「『表参道高校合唱部!』で初めて連ドラ主演をやらせてもらって、まだ3年目とかで全然お芝居のこともわからない中で、本当にたくさんのことを教えてもらって、現場にいる時間が一番長いという喜びを感じられて、そこですごくお芝居に対する思いが強く変わりました。そして、その1年後に朝ドラのヒロインをやらせてもらって、責任もすごく感じるように。私が頭で思う前に環境が私を変えてくれました」

■「夢は大きくていいんじゃないか」と思うように

続けて、「まさか自分の人生がこういう風になるなんて15歳まで思ってなかったですし、一番驚いているのは家族だろうなと思いますが、やりたくてもできるお仕事ではなく、本当に必要とされないとやれないお仕事で、朝ドラのヒロインなんてわかりやすくみんなが狙う場所。それを経験させてもらったり、本当に貴重な経験をたくさんさせてもらっている10年間でした」としみじみ。「なので、感謝の気持ちは忘れたくないなと常に思いながらやっていきたいと思います」と語った。

また、経験を重ねるごとに「面白さも難しさもやりがいも増しています」とのこと。「疲弊することも多いですが、その分たくさんのものが入ってくる、すごく濃い人生にしてもらっているなと感じます」と充実した表情を見せる。

そして、これまでの芸能生活を「自分の想像を超える10年でした」と表現。「連ドラの主演なんて10代でやらせてもらえると思っていないし、朝ドラの主演も10代でやらせてもらえるなんて思ってないし、自分が想像することはちっぽけなんだなと。大きい夢を言うのは恥ずかしいと思っていましたが、大きくていいんじゃないかと思うようになりました」と心境の変化を明かす。

夢は大きくていいんだと思うようになった芳根は、「自分で夢を狭めたくない」との思いでさらなる飛躍を目指している。「なんでもどんと来いという気持ちでいたいですし、もっともっと遠くに行きたいと強く思っています。それは海外に行くとかではなく、感覚的なものなので一言では言えませんが、自分の中では目標を高く持っているつもりです」と真っすぐな眼差しで未来を見据えていた。

  • (C)TBS

■芳根京子
1997年2月28日生まれ。東京都出身。2013年にフジテレビ系ドラマ『ラスト・シンデレラ』で女優デビュー。2015年にTBS系金曜ドラマ『表参道高校合唱部!』でドラマ初主演を務めたほか、2016年度後期NHK連続テレビ小説『べっぴんさん』でヒロイン・坂東すみれ役を演じた。また、2019年3月、映画『累―かさね―』、『散り椿』で第42回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。近年も、NHK『半径5メートル』、日本テレビ『コントが始まる』、日本テレビ『真犯人フラグ』、テレビ朝日『俺の可愛いはもうすぐ消費期限!?』、映画『Arc アーク』、『峠 最後のサムライ』など、多くの作品に出演している。