6日スタートの東海テレビ・フジテレビ系ドラマ『個人差あります』(毎週土曜23:40~24:35)に出演する夏菜。日暮キノコ氏が『モーニング』(講談社)で連載していた『個人差あり〼』をドラマ化した同作は、妻・苑子(新川優愛)と暮らすサラリーマン・磯森晶の身体的性別が変わってしまう「異性化」を通して、夫婦や恋愛の多様なあり様を描いている。異性化で女性になった主人公・晶を演じた夏菜が、作品から感じた「理想の夫婦の在り方」や「女優と母の両立」について語った。

  • 女優の夏菜 撮影:宮田浩史 スタイリスト:星翔子 ヘアメイク:枝廣優綺 持道具:北川幸江

■「晶と苑子は“私の人生の理想の夫婦像”」

――今作は「異性化」というとても難しいテーマの作品だと思います。台本を読んだときの印象はいかがでしたか?

最初は、素直に面白そう! やりたい! と思いました。まず「異性化」という言葉に興味を引かれましたし、男の人が女の人になる夫婦の話って普通に面白そうじゃん! ぐらいの感覚で。そこまで深く考えてなかったと言ったら語弊がありますが、単純に面白そうなストーリーだなと思ったんです。しかもマネージャーさんは最初コメディだって伝えてきていたんですよ! 全然わかってないじゃん! っていう(笑)。なので楽しそうな作品なんだなぁという感覚で台本を読み進めていたら、全然違うじゃないか! ってなりましたね。

あとは、晶と苑子の関係が究極の愛だなと。男性も女性も飛び越えて、人として好き同士でずっと一緒にいることを決めていく。とても勉強になったし、こうやってお互い思い合って生きていけたらいいですね。私の人生の理想の夫婦像で、教本のような存在です。そこも大きなポイントでしたね。

――設定だけ聞くと一見、ラブコメっぽさはありますがとても深いテーマですよね。

白洲(迅)くん演じる晶が女性になって私になるので、精神的に男性ってどういう状態なんだろうと考えました。白洲くん晶が優愛ちゃん演じる苑子を好きっていうのはわかるけど、私が演じる晶が苑子を好きっていうことは、同性愛や性同一性障害など様々な角度から“性”というものを考えて理解を深めないと、演じるのは難しいと思って。なので、報道特集などを見て準備を重ねましたし、役を自分に落とし込むまでに時間がかかりました。

■晶を演じて感じた“違和感”

――実際に演じて手応えはありましたか?

準備をして臨んではいるんですけど、演じていてなんかずっと違和感というか、変な感覚があって。それは多分、心は男性なのに外見は女性という方が感じている違和感と同じなのかなと思いました。撮影を通してそういう感覚が生まれる瞬間があるので、役へのアプローチとしては合っているのかなと思いながら……。でも、こればっかりは作品を観た方次第だとも思うんです。今の世の中が生きづらいと思っている方々が「私たちもそうだ」と少しでも思ってもらえたら、そこで初めて手応えを実感できると思います。

――なるほど。実際に観た方がどう感じるかが大事な作品ですよね。また、夫婦関係の教本に感じたとのことですが、どのような部分で感じましたか?

根本的に男と女って、別の生き物だから思考回路とか遺伝子的にも違うと思うんです。自分の中で矛盾していない意見でも、異性からみたら全然納得できないみたいな。思考だけじゃ絶対に超えられない隔たりがある気がしていて。でも、晶と苑子がそういうものを跳ねのけていく姿を見て、こういう関係性になりたいなと思いました。今作では異性化という、非現実的なテーマではあるけれど、なにか大きなトラブルがあっても乗り越えられる夫婦ってこういう感じなんだろうなって思います。素直に私自身もこういう夫婦になれたらいいなと感じました。