――「自分たちのペースで気ままに進んでいこう」というのがテーマとしてある、今のお三方を表したような楽曲。昔はガツガツしていたときもあったと思いますが、マイペース感がしっくりくるようになったのはいつ頃からですか?

「風に預けて」ジャケット写真

井ノ原:わからないけど、僕が40歳になったとき、(坂本は)45歳だから、もうすっかりマイペースな感じで。僕は「肩の力が抜けてきました」って言いたい時期だったと思いますが、それももう言わなくなったので、今ぐらいがちょうどいい感じなんですかね。ラジオも27年目に入って、無理に自分らマイペースでやってますって言わなくても自分たちの空気でしかできないし。「頑張るのやめよう」という話はしているから、これ頑張らなきゃダメそうだなと思ったらやらないようにしているかもしれない。もう十分頑張ったから(笑)。頑張ってないわけではないんですけど、あくせくしちゃわないような感じで、そうしたら余裕も持てますし。

坂本:いろんなものを触ってきて、これは持てる、これは持っちゃいけないなというのがなんとなく自分たちでわかってきて、それが自分たちの引き出しとなって今があるような感じ。昔はいろんなことをがむしゃらにやっていましたが、自分たちができるものややりたいことが明確になってきて、それが形になっているのが今というか、なんとなくトニセンのペースになっていったのだと思います。

長野:年齢とともに自然にですけど、仕事の内容も変わってきますし、その一つ一つの課せられる部分も幅が変わってくる。それとともに、マイペースというか、もしかしたら頑張っていても頑張っているように見せないようにしているかもしれないし、それが自然に出せるようになってきたのかもしれないですね。

――「頑張らない」というのが今のトニセンさんのカラーのようですが、その中で新しいことにも挑戦されていくのでしょうか。

井ノ原:それは全然あるし、新しいことはけっこうやっていると思います。無理はしないとは言ってますが、面白いものとかお互い共有して、「今度これやってみない?」という感じで、けっこう新しいことはやらせてもらっているかなと思います。

――新しいことというと配信もそうですが、配信という形式は以前から考えていたのでしょうか。

井ノ原:あまりやってないことやろうと。僕らもレコード、カセット、CD世代だから、何か物がないと安心しないというのはわかるんですけど。配信のダウンロードの仕方とか、特にジャニーズのファンの子たちは知らない子も多いんですよ。今まで物を持っていたから。一緒に覚えていこうじゃないかっていうのもチャレンジ。安心できる物はいつか形としては残したいと思っていますが、今手軽に短いスパンでできることは何かなって探した結果ですかね。

長野:初めてなんだって話題にもなるだろうし、今までやってないことを体感してみるというか、そういった意味でも「いいね、配信」という話になりました。打ち出し方も、ちょっと出して、また完成版って、いろんな方法ができるというのも面白いなと思いました。

坂本:配信は手元に届けやすい、すごくいいツールだと思います。形に残らないという寂しさもあるかもしれませんが、配信するタイミングが常にあると考えると僕らもスタンスが楽だし、待ってくださる皆さんも期待感で待ってくれていたらうれしいなと思います。

――今後のビジョンのようなものはあるのでしょうか。

井ノ原:ビジョンね~。

長野:昔からそういうのは考えてなかったね。

坂本:頑張らないって何もやらないということではないんです。僕らが何かをやろうとすると無理がたたるような気がしていて、そういう頑張りではなくて、今までやってきたものを自分たちなりに租借して新しいものを作り出していくという頑張り。後輩たちが新しいことに挑戦していく頑張りとは意味が違うのかなと。僕らもアクロバット相当頑張ってきたので(笑)。それを経ての今なので。

井ノ原:後輩たちの挑戦は感心しながら見つつ、年齢も、通ってきた道も違うから、先輩とか後輩とか関係なく、一アーティストとしてお互い尊敬できる間柄だったらいいなと思います。なかなかこういうグループもないので、ゆるい感じでやらせてもらえるのがありがたいなと思います。