パルコ・プロデュース 2022『スルメが丘は花の匂い』の公開ゲネプロが22日に東京・紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYAにて行われ、吉岡里帆、伊藤あさひ、鞘師里保、岩崎う大、ふせえりが取材に応じた。

  • 左から岩崎う大、鞘師里保、吉岡里帆、伊藤あさひ、ふせえり

    左から岩崎う大、鞘師里保、吉岡里帆、伊藤あさひ、ふせえり

同作は岩崎う大によるファンタジー・コメディー。シンデレラや浦島太郎など童話の登場人物が生まれる不思議な世界に迷い込んでしまった、会社員の縁緑(吉岡里帆)は、「スルメ姫」という物語の主人公として生まれた少女クロエと出会う。緑の登場により混乱していく「スルメ姫」の物語と、物語を成立させようと必死な登場人物たちの姿を描く。

作・演出の岩崎は、キャストについて「鞘師はファンタジー世界の人間をすごく着実にやってくれて、手がかからない。僕の娘の役でもありましたから、本当に自慢の娘」「里帆ちゃんは、僕を投影している役なので、僕が正解を持っていて、役作りへの困難な道もあったと思うんです。ルートからそれ始めちゃったかなという時間帯もあったからこそたどり着いて、道を迷わないでいけるのかな」「あさひは、もう面白い子ですよね。不思議な子。イカみたい。天然でもあるんですけど頭がいい。こういうことだからこうして欲しいと言えば通じやすい。ナチュラルな面白さがあるので、そこを消してしまわないように」「ふせさんは本当に頼りにしながらやらせていただいて、コメディが主戦場だと思うので、お互いリスペクトを感じながらさせていただきました」とそれぞれ表す。

吉岡は演じた役について「本当にう大さんの分身なんです、きっと。リアクションひとつひとつとってもものすごく難しくて」と苦労した様子。「ちょっと変えると全然違う人に変わってしまう危うさがあったんですけど、私が少しでも迷うと、う大さんがすぐ察知してくださって、例え話をしてくださるんです。そこが演出で面白くて素敵だなと思っていた場所です」と感謝する。台本もメモだらけだったそうで、岩崎は「こないだ見たんですけど、申し訳ない。嫌われるぞというくらい書かせちゃって」と苦笑。吉岡は「1番メモした台本かもしれないです。細かい! ニュアンスがそこ!? みたいな」と明かした。

吉岡は初の舞台主演となったが「もっといろんな苦しいことが起きたりもするのかなと思って始まったんですけど、本当に共演者の方も演出家のう大さんもあたたかいし優しい方ばかりで、むしろたくさん助けていただいたりとか、よくしていただいて支えてもらってっていう感じだったので、初めての座長をこういう風に迎えられたのは貴重、なかなかないんじゃいかな。すごく幸せな座長だと思います」と感謝する。

また稽古を通じて発見したキャストの新たな一面について聞かれると、鞘師は「吉岡さんは最初から上品で知性のある方だなというイメージは変わらないんですけど、おっちょこちょいなところが垣間見える。ベースボールの衣装も真逆で着てらっしゃって」と指摘する。「恥ずかしいなあ」と言う吉岡に、岩崎も「運動神経が悪いよね。ちょっと動いてみようかってなった時に、あんまり見ちゃいけない感じの運動神経の悪さ。だんだん簡単に『動いてみて』と言えないような」と語る。吉岡は「私は大真面目ですから、全然見ていいですよ!」と主張するが、ふせも「本人が思ってるよりしっかりしてない」とつっこんでいた。

そんな様子を見て、伊藤「は今すごい叩かれてるんで……『お腹すいた』って誰かが言うと、(吉岡は)絶対に反応して、自分の持ってるものをくれるんです」とフォロー。岩崎が「そこで座長ぶりを発揮してたんだね」と苦笑すると、ふせも「私が副鼻腔炎になっちゃって病院に行ってたんですけど、漢方薬を買ってきてくれて、優しいの。すごく嬉しかったですよ」と座長らしいエピソードを披露する。しかし、最終的には「みんなに気を使う里帆ちゃんですけど、ちょっと間抜け」とまとめていた。

東京公演は東京・紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYA にて22日〜31日に上演され、8月には大阪ほか6カ所を巡演する。