京成電鉄と京成トラベルサービスは、「京成BINGO! バージョン2 引上線入線ツアー」を7月9日に開催した。専用列車に3700形を使用し、旅程は非公表。列車の行路を予想しつつビンゴゲームを楽しむ内容で、親子連れや鉄道ファンら100名以上が旅を満喫した。

  • 「京成BINGO! バージョン2 引上線入線ツアー」に使用された3700形(3838編成)。「臨時」の表示で運転された

両社は今年5月、「京成BINGO! 引上線入線ツアー」と銘打ったイベントを開催しており、好評を受けて第2弾を開催したという。「京成BINGO! バージョン2 引上線入線ツアー」の集合場所は京成押上線の八広駅。集合時刻が近づいた正午頃、駅構内は多くの参加者・関係者でにぎわっていた。

ツアー参加者には、集合・解散場所しか知らされていない。今回使用されるビンゴカードは、通常のように番号が振られているわけではなく、列車が通る可能性のある駅や引上線が記載されている。列車に乗り、経路を予想しながらゲームを楽しむことになる。

  • ツアーで使用されたビンゴシート(一例)。通常列車では走行しない経路もあり、期待が膨らむ

  • 出発地の八広駅では、京急電鉄1000形「YELLOW HAPPY TRAIN」と並ぶ姿も見られた

12時25分頃、ツアー専用列車として使用される京成電鉄3700形(3838編成)が八広駅2番線へ。「臨時」の表示で入線し、ツアーの参加者を指定の号車ごとに案内する。関係者は1号車に乗車して発車を待つ。発車前には、隣の3番線へ京急電鉄1000形「YELLOW HAPPY TRAIN」が入線し、鉄道ファンが貴重な並びに盛り上がっていた。

ツアー専用列車は12時39分に八広駅を発車。まずは京成津田沼方面に向かうのかと思いきや、列車はいきなり押上方面へと走り出した。普段はなかなか走行する場面を見られない渡り線を走り、押上駅へ向かう。

  • 八広駅を発車した列車はいきなり押上駅方面へ向かう。先の読めない展開が面白い

  • 京成高砂駅発車後、普段は立ち入れない高砂車庫引上線へ

  • 京成電鉄の車両が休む姿も、間近で観察できた

車内アナウンスは京成トラベルサービスの社員が担当。臨場感あふれるアナウンスで車内を盛り上げた。京成線や駅の歴史・トリビアも織り交ぜつつ、参加者が飽きないように工夫されていた。今回のツアーでは、チェックポイントが複数あり、それぞれの駅で何番線に入線するのか、引上線に入るか否かを考えていく。参加者もペンを片手に、真剣に予想している様子だった。

1つ目のチェックポイントである押上駅では、2番線と3番線のどちらに入線するかが焦点に。2番線は通常であれば都営浅草線へ直通する列車が使用するホームだが、発車からいきなり押上方面へ向かったことを考えると、入線する可能性も否定できない。そんな推理をしているうちに列車は地下に入り、スピードを落とし始めた。入線したのは押上駅の3番線だった。

ツアー専用列車は専属の運転士と車掌で運転されており、ホームのある場所で進行方向を変える際、ホームを歩いて交代していた。列車は押上駅を出発し、先ほど通った線路を戻り始める。2つ目のチェックポイントである八広駅では3番線を通過。日中に八広駅3番線を通過する列車は設定されておらず、これも貴重な走行である。そのまま四ツ木駅、京成立石駅を通過し、青砥駅へ向かう。

青砥駅は通過後に引上線に入線するか否かが焦点だったが、引上線には入らず、本線をそのまま走行。大きなチェックポイントだった京成高砂駅では、到着番線と引上線への入線の有無が焦点となった。同駅進入時に車体が揺れ、4番線へ。発車後、ゆっくりとしたスピードで高砂検車区に入り、引上線で停車した。周囲を見渡すと、多数の車両が休んでいる。なお、乗務員はここでのみ、方向転換時に車内を移動していた。

その後、ツアー専用列車は京成高砂駅2番線へ戻り、再び本線へ。京成小岩駅3番線を通過し、さらに東へ向かった。

  • 中川を渡る。車窓には夏らしい青空と雲が広がっていた

今回のツアーの終着駅である市川真間駅(4番線)で、列車は一旦折り返し、再び西へと走る。京成高砂駅2番線に入線し、最後の方向転換。再び東へ走って京成小岩駅4番線を通過し、14時13分、定刻通り市川真間駅4番線に到着した。

市川真間駅では、参加賞(ツアー列車の行路表レプリカなど)とビンゴの景品が配布された。ビンゴの景品は1等から3等まで用意され、各号車で先着1~5名にプレゼント。景品には市販の京成グッズだけでなく、非売品も含まれており、参加者らは満足そうな表情で帰っていった。なお、今回のツアーは7月9日のみの開催で、参加費は大人4,000円・こども3,000円。116名(うちこども16名)が参加したという。

  • ツアーの終着となる市川真間駅では、参加者プレゼントとして当日の行路表レプリカなどが配布された

  • ビンゴゲーム1等景品のひとつ、京成電鉄3600形リバイバルカラーのクリアファイル。他にも多数の景品が用意された

今回の取材では、筆者もビンゴを楽しみながら参加した。終着駅直前までビンゴは達成できなかったが、列車の行く先をあれこれ想像するのは楽しい。さらに、同じ区間をさまざまなルートで何度も行き来する旅は非常に新鮮だった。1日で江戸川や中川を3回以上渡り、引上線をゆっくり見学できる日はそうないだろう。今後、ツアーの続編が決定したなら、また参加してみたいと思った。