東京幻想氏ミニインタビュー

――ゴジラと機龍(メカゴジラ)をモチーフにイラストを描かれたご感想は?

これまで僕は東京の風景を「廃墟」と絡めて描いてきて、作品の中で東京の町を破壊することもありました。ですからゴジラは僕にとって大先輩だと思っています(笑)。手塚監督から示されたコンセプトストーリーには、『東京SOS』から24年後の機龍の姿が説明されていました。長い間、品川の町に放置された機龍のボディから「緑」が発生し、周辺一帯が再生していく様子を描いています。最初は機龍に苔がむしているイメージだったのですが、描いていくうちに、もっとやっちゃえとばかりに樹が生い茂るような感じになりました。文章をもとにイメージを膨らませていくやり方は初めてだったので、とても新鮮な体験でしたね。

――イラストの舞台に品川を選んだ意図を教えてください。

品川は『ゴジラ×メカゴジラ』の決戦場になり、第1作『ゴジラ』でゴジラが上陸した場所でもあるので、品川を舞台にしてほしいという依頼を受けました。

――夕陽を浴びてたたずむ機龍とゴジラ、モスラがとても美しく描かれています。情景へのこだわりポイントがあれば教えてください。

手塚さんのコンセプトにある「機龍の目が夕陽に照らされる」という部分が大事だなと思い、昼から夜に変わる、もっともドラマチックな瞬間を描こうとしました。設定的には夕焼けですが、夜から朝になる「朝焼け」のイメージも感じられるような、繊細な色合いにこだわりました。

――今後、ゴジラをモチーフとするイラストの依頼が来たら、次はどんな光景を描いてみたいですか。

こんどはゴジラと強敵が激しい「戦い」を繰り広げている瞬間を描いてみたいです。「東京」と「破壊」というテーマが共通していますし、僕なりの考え方でゴジラをどう描くか、想像するだけで楽しいですね。東京という場所は面白いんです。昔から破壊と再生、スクラップ&ビルドを繰り返して、今までずっと目に馴染んでいた街並みが、次に観るとガラリと印象を変えていたりします。移りかわる景色の記憶や、その後の姿などを「遺跡」を訪ねるかのように、イラストという形で残していこうと活動を続けています。特撮・怪獣映画のファンのみなさんが僕の描いた作品に興味を抱いてくださり、画集とかに触れていただけたらいいなと思います。