会話の中で「いえいえ」という言葉をよく使うのではないでしょうか。普段何気なく使用している言葉ですが、使い方を間違えると相手に対し失礼になることも。「いえいえ」の意味は1つだけでないため、自分が置かれている状況や立場、組み合わせる言葉などによって、意味合いが変わってきます。

今回は「いえいえ」の意味や使い方、注意点などをご紹介します。

  • 「いえいえ」の意味とは?

    「いえいえ」の意味や使い方、例文などを解説する記事です

「いえいえ」の意味とは?

「いえいえ」は、打ち消しの意味を持つ言葉です。ただ厳密には、言葉の意味を2つに分類できます。どのように分類されるのでしょう。

以下で「いえいえ」が持つ2つの意味についてくわしく解説します。

謙遜の意味

まず「いえいえ」には「謙遜(けんそん)」の意味があります。謙遜とは、控えめな態度やへりくだった態度を表現することです。人から褒められたり感謝されたりした場合に「いえいえ」を使うことで、控えめな態度を表現できます。

例えば「いえいえ、そのようなことはございません」や「いえいえ、それほどではありません」といった使い方ができます。基本的には言葉の前に「いえいえ」をつけ、謙遜を表現するのが一般的な使い方です。

否定の意味

「いえいえ」には「否定」の意味もあります。主に人から問いかけられたことや相手の意見や考えなどを否定する際に、「いえいえ」を使います。

例えば「いえいえ、それは違います」や「いえいえ、そうではございません」という使い方です。この場合においても謙遜同様に、「いえいえ」を言葉の前につけます。

「いえいえ」は敬語?

「いえいえ」という言葉は、単体では敬語ではありません。

「いえいえ、とんでもございません」「いえいえ、恐縮です」というような言葉を後に続けることで、敬意を表すことができます。

  • 「いえいえ」の意味とは?

    「いえいえ」は謙遜と否定を表す言葉です

「いえいえ」の使い方

2つの意味を持つ「いえいえ」ですが、自分が置かれている立場によって、適切に使い分ける必要があります。ここでは「いえいえ」の使い方について、もう少し深堀りして、理解を深めていきます。

自分の立場が下であることを表現する

「いえいえ」という言葉が、敬語表現だと思っている方は多いのではないでしょうか。

実際は、「いえいえ」は敬語だとはいえません。そのため、目上の人に対する表現として「いえいえ」は不適切だと考えられます。

一方で、「いえいえ、そんなことございません」や「いえいえ、こちらこそありがとうございます」など、「いえいえ」の後に続く言葉は謙遜の気持ちを表現しているものも多いです。そのため、謙遜としての「いえいえ」は目上の人に対して使う言葉として間違っているわけではないといえるでしょう。

上司や取引先、目上の人への使用は失礼にあたることも

しかし、「いえいえ」は失礼な言葉であると捉えている人も中にはいるため、目上の人に使用すると無礼だと受け取られてしまう可能性もゼロではありません。

そのため、シチュエーションによっては否定を表現する際に「いえいえ」よりも、はっきりと言い切る「いいえ」を使用した方がベターなこともあるでしょう。

  • 「いえいえ」の使い方

    状況や立場によって「いえいえ」の言葉を使い分けることが大事です

「いえいえ」の例文

具体的には「いえいえ」はどのように使用すればいいのでしょうか。ここでは、謙遜・否定それぞれの意味での例文をご紹介します。

謙遜で使う「いえいえ」の例文

以下の例文は、相手から感謝されたり褒められたりしたときに使用できます。

・いえいえ、滅相もないことでございます

・いえいえ、とんでもないことでございます

・いえいえ、お気になさらないでください

・いえいえ、お役に立ててうれしい限りです

・いえいえ、こちらこそありがとうございました

否定で使う「いえいえ」の例文

相手の質問や話を否定するときに使える例文です。

・いえいえ、違います

・いえいえ、そんなことはありません

・いえいえ、予算内でプロジェクトを進められます

・いえいえ、私から申し上げることは何もございません

  • 「いえいえ」の例文

    使い方によって、「いえいえ」の意味が変わります。

「いえいえ」を使用する際の注意点

「いえいえ」を使う際に、押さえておきたい注意点をご紹介します。相手に対し失礼にならないためにも、以下で紹介する注意すべきポイントをしっかりと理解しておきましょう。

「いえいえ」の後に言葉を付け加える

「それほどでもありません」や「お気遣いなく」といった言葉を、「いえいえ」の後に付け加えましょう。そうすることで、どの内容に対して謙遜・否定しているかを、相手にはっきり伝えることができます。

「いえいえ」の言葉一つで終えてしまうと、どの内容に対しての「いえいえ」なのか、相手に伝わりにくくなってしまいます。そのため「いえいえ」を使う際は、後に言葉を付け加えることを意識しましょう。

否定の「いいえ」に誤解されないようにする

謙遜として使用する際、「いえいえ」のひとことだけで返事をしてしまうと、否定の言葉として捉えられる恐れがあります。謙虚さが伝わりにくくなるだけでなく、相手の言動を否定することにつながりかねません。

誤解を生まぬよう注意を払いながら、慎重に使用することを心がけましょう。

「いえいえ」を繰り返さない

ひたすら「いえいえ、いえいえ…」という言葉を使っていると、相手に失礼な印象を与える恐れがあります。

同じ会話の中で「いえいえ」と何度も繰り返す使い方は、避けるべきでしょう。たとえ「いえいえ」が謙遜の表現であったとしても、相手にいい印象は与えません。相手がどのような立場の人であれ、繰り返し使わないよう注意が必要です。

  • 「いえいえ」を使用する際の注意点

    「いえいえ」を使うときの注意点を押さえましょう

「いえいえ」の意味や使い方を理解して正しく使おう

「いえいえ」は、2つの意味を持つ言葉です。自分が置かれている状況や会話の流れなどから、適切な意味を判断し使用することが大切です。

使い方によっては相手に対して失礼になる恐れもあります。不快な思いをさせてしまうと互いの関係に悪影響を及ぼす可能性もあるため、特に注意が必要です。今回ご紹介した例文などを参考にして、使い方を理解しておきましょう。

「いえいえ」を使用する際の注意点は多いですが、しっかりと考慮した上で使用すれば適切に使いこなせるでしょう。ぜひ今後の会話の役に立ててください。