佐奈を演じることで「頑張ることに前向きになれる」という永野。自身は「佐奈ほど行動力はない」と謙遜するが、仕事に対する考え方など、シンパシーを感じることも多いという。

「私は小学生の頃から芸能の仕事をさせてもらっているのですが、最初に『これは仕事なんだ』と思ったのは、中学生のときに出演した『繕い裁つ人』という映画のときでした。そのとき、あまり体調がすぐれないときがあったのですが『仕事なので休んじゃいけないんだ』と自分に言い聞かせて現場に行ったんです。そのとき『あ、私はこの仕事をちゃんと仕事として将来もやっていきたいんだ』と自覚したんです」。

それまでは、どこかで“習い事”という意識があったというが、この作品をきっかけに、しっかりとお金をもらって仕事をするという意識が芽生えたという。同時に、仕事とプライベートの切り替えもしっかり意識して分けるようになった。

「やっぱり仕事だからこそ、プライベートとはメリハリをつけなければいけないという意識も強くなりました。その切り替えは、うまくできていたと思います」。

そして現在も、仕事を頑張って、プライベートで頑張った自分を癒やすという循環をしっかりと自分のなかで落とし込めているという。そんな彼女にとって、仕事をするうえでのこだわりのルールはあるのだろうか――。

「面白そうだな、この役やりたいなと思ったものに関しては、どんなに忙しくても、やると決めています。もし断ってほかの人がやっていたら悔しいじゃないですか。やりたいと思った作品は、どんなことがあっても受けたいという思いでやっています」。

本作もそんな思いで挑む作品なのだろう。佐奈を演じていると、彼女の行動力にパワーをもらっているという。

「仕事を一生懸命頑張れる人って、男女問わずやっぱり素敵じゃないですか。3カ月間佐奈を演じることで、蓄えられることもあると思うんです。その意味でもしっかり頑張らなければいけないと思っています」。

■永野芽郁(ながの・めい)
1999年9月24日生まれ、東京都出身。 2009年に映画で女優デビュー。NHK連続テレビ小説『半分、青い。』(18年)でヒロインに抜擢され大きな反響を集める。近年はドラマ『親バカ青春白書』(日本テレビ・20年)、『ハコヅメ~たたかう!交番女子~』(日本テレビ・21年)、映画『仮面病棟』(20年)、『地獄の花園』(21年)、『キネマの神様』(21年)など話題作に多数出演。また映画『そして、バトンは渡された』(21年)では第46回報知映画賞 主演女優賞、第64回ブルーリボン賞 主演女優賞、第45回日本アカデミー賞 優秀主演女優賞を受賞。今秋に主演映画『マイ・ブロークン・マリコ』、11月23日には映画『母性』の公開を控えている。

(C)TBS 撮影:加藤春日