東京・大阪に続く3か所目の公式戦対局場が開設

渡辺明名人への挑戦権を争う第81期順位戦(主催:朝日新聞社・毎日新聞社)は、6月22日にA級1回戦の▲藤井聡太竜王―△佐藤康光九段戦、及びB級2組1回戦の一斉対局が行われます。

第81期A級順位戦のリーグ表

第81期A級順位戦のリーグ表

今期がA級初参加の藤井竜王、その初陣は地元愛知県の「名古屋将棋対局場」が舞台となりました。藤井―佐藤康戦と、B級2組の杉本昌隆八段―佐々木慎七段戦が同対局場での初めての対局となります。東海地区在住の棋士のみならず、順位戦で東西の棋士が名古屋将棋対局場で指すことも予定されています。

「順位戦を指して30年になりますが、まさか名古屋で指せるとは思いませんでした。話を聞いた時は驚きましたし、喜びもありますね。記念すべき日に藤井と一緒に指せるのは光栄です」とは杉本八段の談話です。

杉本八段の師匠である板谷進九段は、東海地方の重鎮として知られていました。そして板谷九段の弟弟子である石田和雄九段は「岡崎(市)の天才」と呼ばれており、かつてはこの両者が東海のホープでした。1970年頃には板谷―石田戦が日本将棋連盟東海本部で行われた記録も残っていますが、当時の東海本部は東西の将棋会館と比較にはならなかったといいます。

板谷九段は数多くの弟子を取って東海地方の将棋普及に並々ならぬ情熱を注いでいましたが、47歳の若さで急逝しました。板谷九段は、東海に3つ目の将棋会館を作ることを悲願としていました。孫弟子の活躍が大師匠の夢をかなえた形になります。

藤井竜王は初のA級となるわけですが、初参加のA級で挑戦権を獲得した棋士は9名います(第1期を除く)。そして名人奪取も果たしたのが、谷川浩司十七世名人(第41期)、羽生善治九段(第52期)、佐藤天彦九段(第74期)の3名です。

6月22日の午前10時に始まった記念すべき一戦は後手の佐藤康九段が向かい飛車を選択、最近ではあまり見掛けない形ですが、佐藤九段が自分の土俵に引っ張り込んだ格好です。本局の持ち時間は6時間。終局は本日の深夜になる見通しです。師弟そろって地元での開幕戦を白星で飾ることができるでしょうか。注目です。

相崎修司(将棋情報局)

名古屋将棋対局場での初めての対局に臨む藤井竜王(中央)(提供:日本将棋連盟)
名古屋将棋対局場での初めての対局に臨む藤井竜王(中央)(提供:日本将棋連盟)