ヒューリック杯第97期棋聖戦(主催:産経新聞社、日本将棋連盟)は藤井聡太棋聖への挑戦権を争う決勝トーナメントが進行中。4月23日(木)には準決勝の羽生善治九段―広瀬章人九段戦が東京・将棋会館で行われました。対局の結果、相掛かり持久戦の中盤から抜け出した羽生九段が92手で勝利。難敵を下して挑戦者決定戦に進出しています。

相掛かりの乱打戦

羽生九段は伊藤匠二冠に、広瀬九段は斎藤慎太郎八段に勝っての準決勝進出。特に羽生九段は前人未踏のタイトル獲得100期に向けて期待が高まります。振り駒が行われた本局は先手となった広瀬九段の注文で相掛かりと進展。対する後手の羽生九段は棒銀に似た要領で先手に守勢を強要し、やがて盤上は先手右玉対後手矢倉の持久戦に落ち着きました。

広瀬九段が右辺で歩をぶつけて戦いが始まります。これに対し素直に応じるのは利かされと見た羽生九段も左辺の桂頭攻めから反撃開始。ともに我が道を行く攻め合いは形勢判断の難しい乱打戦となりますが、一段落した局面で愚直なつなぎ桂を打ったのが羽生九段の大局観を示した好手。筋悪のようでも敵玉そばの拠点にものを言わせて優位に立ちました。

ファン大盛り上がりの快勝

逆転を目指す広瀬九段も急所の桂打ちで後手玉に肉薄。玉頭戦で一手のミスが命取りという心理戦を突きつけますが、ここで羽生九段の指した歩成りが視野の広い決め手となりました。忙しい終盤戦の真っ最中にそっぽの金を取りに行くのは悠長なようですが、直後に打った攻防の角打ちとの連携でどうしても先手の攻め駒が1枚足りないのを見越しています。

終局時刻は19時2分、最後は攻防ともに見込みなしと認めた広瀬九段が投了。終局図で先手からは有効な攻めが難しく、また受けても玉頭の傷が大きく攻防ともに見込みが無い状況でした。快勝と言える内容での挑戦者決定戦進出にファンも「羽生先生強すぎる」「100期を目指して勝ち進んでほしい」と盛り上がりを見せました。注目の挑戦者決定戦は服部慎一郎七段との間で戦われます。

水留啓(将棋情報局)

  • 羽生九段は公式戦直近8連勝と絶好調をキープ(未放映のテレビ対局除く)

    羽生九段は公式戦直近8連勝と絶好調をキープ(未放映のテレビ対局除く)