気付けばもう6月も後半。そろそろ夏休みの計画を立てなければヤバい時期である。

エイチ・アイ・エス(HIS)によると、今年の夏休みに国内旅行を計画している予約者は前年比で486.4%と約5倍増。海外旅行に至っては前年比で2191.1%、約22倍にもなっているらしい。ものすごいV字回復……かと思いきや、コロナ禍前の2019年と比べれば、海外旅行の予約者数はこれでもまだ1割程度にとどまっているようだ。

ずいぶん緩和されたとはいえ、まだコロナ禍による制限がいろいろ残っている以上、やむを得ない状況なのだろう。ただ、それでも外国の空気が恋しい。飛行機で海を飛び越えたい。そうムズムズしている人は少なくないはずだ。

そこで今日はある朗報をお届けしたい。なんと……羽田空港の自動販売機で機内食が買えるのである!もちろん、“機内食風の弁当”ではなく、国際線でリアルに出される“本物の機内食”だ。これ、試さない手はないでしょ!

羽田空港で発見! 冷凍自販機「世界の機内食」

その存在に気づいたのはただの偶然だった。出張を終え、羽田空港に到着した筆者は「家に戻る前に何か飲み物でも買っていこう」と近くにあった自販機にフラ~ッと近づいた。すると……

んっ?

これは、ドリンクではなく……

えっ、機内食!?なんで自販機で機内食が売ってんの!?

調べてみると、この冷凍自販機「世界の機内食」は今月3日に設置されたばかり。機内食の製造元はコスモ企業で、実際にシンガポール航空やニュージーランド航空、カタール航空、キャセイパシフィック航空などに機内食を提供しているガチモンの企業である。

設置場所は羽田空港第2ターミナル1階の出会いのひろば。ひろばのベンチには多くの人が腰を掛けていたが、誰もこの自販機の存在は気にしていない。えっ、こんな珍しい自販機、よく無視できますね……?

販売されていたのは、【1】コック・オー・ヴァン(フランス)、【2】エビの柚子胡椒クリームソース(アメリカ)、【3】パエリア(スペイン)、【4】ガパオライス(タイ)、【5】マッサマンカレー(タイ)の全5種類。価格はすべて980円に設定されている。

どれも魅力的だなぁ。全部をゲットするのは財布的にも荷物的にも負担が大きい。苦渋の決断で選んだのは、味の想像がつきにくい(=特別感のある)コック・オー・ヴァンとマッサマンカレーの2種類である。ちゃんと保冷袋付きなのもありがたい。

ちなみに、筆者が写真を撮ったり実際に買ったりしているうちに、周りのお客さんもこの自販機の存在に気づいたようだ。筆者がその場を離れたあと、物珍しそうに自販機に近づいていくお客さんは一人や二人ではなかった。やっぱり気になるよね!

ということで、前段が長くなったが、いよいよ実際に食べてみたい。

えーっと、作り方は……

【1】24時間冷蔵庫で解凍してからレンジ(500w)で5分間加熱。
【2】レンジ(200w)で2分間解凍し、改めてレンジ(500w)で5分間加熱。

この2パターンである。

正直すぐにでも食べたかったが、製造者側は【1】をオススメしているので、1日我慢することにしよう。

ということで、24時間後ーー。

おっ、しっかりと解凍できているっぽいぞ。じゃあ、まずはマッサマンカレーから食べようかな。そそくさと袋に切れ目を入れ、500wのレンジで加熱……うわっ、もう何かいい匂いがしてきた。レンジの中から、そこはかとなくいい香りが漂ってくるんですけどー!

で、実際に出来上がったのがコチラ!

う、美しい……。サイズは小ぶりだが、コンビニやスーパーのお弁当とはまったく違った威厳のようなものを感じる。やはり機内食って特別な存在なんだなぁ。

ではさっそく一口。いただきます。

うっま!想像より美味しくて思わず笑う……。正直、機内食を食べて「めちゃくちゃ美味しい!」と感じることはあまりない(今さらだな!)。だけど、このマッサマンカレーはめちゃくちゃ美味しい!さすが、「世界で最も美味しい食べ物50」で1位に輝いた料理である。

その味わいはスパイシーながらココナッツミルクのまろやかな甘みも際立っていて、とにかく食欲を掻き立てる。病みつきになるタイプの味わいだ。具は大きなチキンが2つ入っていて、これもめちゃくちゃ柔らかくて美味しい。その他、とろとろのじゃがいもやピーナッツなどもいい味を出している。こんな美味しい食事が機内で出てくるなんて……実際に機内で食べた乗客たちの驚く顔が目に浮かぶようだ。

お次は「コック・オー・ヴァン」。フランス語でコックは鶏、ヴァンはワインを意味するらしい。 要するに鶏肉の赤ワイン煮込み料理ということらしい。こちらもマッサマンカレーとまったく同じ要領で加熱。出来上がったのがこれだ。

うわっ、これはこれでまためちゃくちゃいい香りだな……。いただきます!

ああ~、これはソースが美味い!ブラウンソースは上品ながら濃厚なコクがあるし、チキンは分厚くて超ジューシー。もし機内だったら、確実にCAさんに「レッドワイン プリーズ」なんて言っちゃっていただろう。パスタは残念ながら、柔らかくなっている部分と硬くなっちゃっている部分で食感にムラがあったが、味自体は文句なし。バターライスなんかと合わせて食べてもきっと美味しいに違いない。

この夏、国内旅行で羽田空港を訪れる人も多いだろう。第2ターミナルにお立ち寄りの際は、ぜひこの自販機を訪れてみてほしい。なかなかレアで美味しい体験が待っているはずだ。